「ディーラー下取りは安い」と聞いたことはありませんか?
残念ながら、本当です。安い金額になるうえ、現金そのものも手に入りません。
ディーラーの下取りだから、信頼性は抜群。安い金額になるなんて微塵も思わず、安心して高価買取できると思っているかもしれませんね。
確かにディーラーの下取りは安心感抜群です。
しかしハッキリいって、ディーラー下取りは、新車購入を促進させるためだけの方法ですから、安い金額になるのも無理はありません。オマケですから。
「高く売って多くの現金を手に入れたい」と考えている人にとっては、安い金額になりがちなディーラー下取りは絶対に行うべきでない買取方法といえます。
すこしでも高価で売り、売却代金を現金で得たいのであれば、ガリバーやビッグモーターなどの買取店を使う方がベストな選択です。
今回の記事ではディーラー下取りを3度経験し、車雑誌の編集を務めた筆者がディーラー下取りがなぜ安いのか、という実態を店舗別の事情に分けて解説していきます。
- ディーラー下取りを使うべきか迷っている
- なぜディーラー下取りの金額は安くなるのか知りたい
- ディーラー下取り以外の買取方法を知りたい
上記のような悩みを持つ人には、必ず役に立つことでしょう。
あなたがディーラーで車を売るべきかどうか、答えが出るようになっていますので、ぜひ最後までご覧ください 。
ディーラー下取り価格はなぜ安いのか:
なぜディーラー下取りは買取金額が安いのか、というと仕組み的にそうならざるを得ないからです。
ディーラーの下取りとは 、新品の車を購入する時に、代金の一部として割引するために、古い車を引き渡すという行為。
車だけではなく、最近ではテレビショッピングの家電通販などでも下取りが使われていますね。
ディーラーは 基本的に新車を売るのが目的です。
その新車をなるべく多くの人に買ってもらうために、下取りをやっているというワケなのです。
そんな下取りですが、さきほどもお伝えしたとおり、全然買取金額が高くありません。
ではなぜなのでしょうか。その真相を解き明かしていきましょう。
ちなみにこの章ではメーカー・店舗かかわらず、すべてのディーラーに該当する理由を解説していきますよ。
- ディーラー下取りが安いのは”新車購入の促進”だから
- 下取りは買取より仕組み的に精度が低い
- ディーラーには下取りの競合相手がいない
- 下取りした車をディーラーは上手く転売できない
- 下取りは純正パーツ以外を評価しない
ディーラー下取りは「新車購入の促進」:
そもそも、ディーラー下取りは、車を買い取ることそのものの目的が違います。以下の「ズバット」から引用した画像がわかりやすいですね。
一般的な買取店の場合は、買取をした車を整備してオークションや第三者の買取業者に向けて売るために買取をします。
つまりは「転売」をするための「仕入れ」として、買い取りをしているのです。
しかしディーラー下取りは、仕入れのために行っておらず、ディーラーで販売している新車の購入を促進するために行っています。
新車の金額は中古車に比べて、どうしても高くなりがちです。
乱暴な言い方をすると、その金額を少しでも安くするために、中古車の買取をしていると思ってください。(厳密には違いますが)
また新車を買い換えるのであれば、どうしても元々乗っていた車が手に余ってしまいます。
だからこそ、新車購入と同時に買い取ってもらうのは非常に都合が良いもの。
このように「買取金額を安くする」「もともと乗っていた車を処分する」という2つのニーズを叶えるために行われているのが、ディーラー下取りなのです。
下取りは買取より仕組み的に精度が低い:
先述したようにディーラーの場合、中古車の買取は、あくまでも新車を買ってもらうための「動機付け」です。
そのせいか、査定も精度が低くなってしまうという事情もあります。
精度が低いなら「ちょっと高めの金額をつけよう」としてくれればいいのですが・・・精度が低いが故に、本来の相場よりも低めの金額を付けることの方が多いです。
これらの事情については、ヤフー知恵袋の以下の回答がわかりやすいですね。
ディーラーと買取り店の査定には違いがあり、ディーラーでは年式と距離で評価する査定本があり、その基準価格から判断するのに対し買取り店は中古車オークションの相場で判断します。
年式が古いと、いくら距離が少なく、中古車として人気があっても、ディーラーの基準価格は安くなるので、買取り店の方が高くなるでしょう。
ディーラーには下取りの競合相手がいない:
車の買取業界は買取にして、なんぼです。
だからこそ「高い金額で買い取りします」と言わなければ、買取することができません。
しかしディーラーの下取りは競争する相手がいないので、高くする必要がゼロ。
近くに買取業者があったとしても、自分たちの仕事はそもそも新車を売ることだ、という考えがあるため、買取金額を高くしようなんてそうそう思いません。
あれ?ディーラーの下取りって安い?買取業者の査定だったら10倍くらいになったんだが
— ガチオジサンのかず (@Kazz_DSL) February 3, 2019
だからこそ、10倍ぐらいの差が平気でついてしまうというわけ。
ディーラーは転売がヘタクソ:
車を買取で手に入れたら、次は転売しなければなりません。
手に入れただけでは利益を得ることができないので、誰かに売ってしまって、その利ざやをとらなければならないのです。
転売車を購入してもらうためには、広告や販売店の充実、インターネットサイトの拡大など、様々な手段が必要なります。
その点に関して、ビッグモーターとかは、めちゃくちゃやる気だしていますよね。
ホームページがやる気ありすぎです。主張がすごい。
しかし、ビッグモーターのような手段をディーラーは持ち合わせておらず、持ち合わせるつもりもないため、高い金額で買い取るわけにいかないのです。
下取りは純正パーツ以外を評価しない:
ディーラーの下取りほど、純正パーツを好む買取はありません。
ディーラーは下取りをした場合、店舗内でその中古車を売却しますが、バッチリ純正の新車がある中で、純正パーツ以外の部品をゴリゴリに使ったものを置くのはさすがに問題ありです。
そうはいかないため、純正パーツ以外のものは一切評価しないというスタンスを持っています。
仮に車の価値を高める純正パーツだったとしても、容赦なく低評価をしますよ。
そのせいか、価格コムでもよく以下のような口コミが見られます。
買い取りはディーラーより、買取店が絶対おすすめ!
ガリバーとかアップルとか、面倒でも足を運んでみてください!
田舎のディーラーの下取り額が安い理由:
次は一部の店舗にのみ該当する「ディーラー下取りが安い理由」についてみていきましょう。
とくに田舎にあるディーラーが該当するでしょうね。
- 一部のディーラーには必要な査定機材がない
- 郊外になると中古車を買う人が来ない店舗も多い
- 営業マンに下取り数のノルマが設定されていない
一部の店舗には必要な査定機材がない:
オートバックス等の車買取の専門店に行くと、車をジャッキアップして車の下から上を覗き込んだり、以下のCMのようにライトで照らして確認、と様々なところをチェックしていきます。
このように買取査定の精度を高めるためには、それ相応の機材が必要になるのですが、ディーラーはそれを持ち合わせていません。
そのため、査定は簡易的なものとなり、買取価格をどうしても強気にするわけにはいかない、という悪循環に陥ってしまいます。
郊外・田舎だと中古車を買う人が来ない:
自社で売っている車であったとしても、買取価格が低くなってしまうのは、「ディーラーには中古車を買いに来ない」という理由もあります。
買取をした場合、どうしても新車と中古車を並べて同じ売り場で売ることになります。以下のような感じですね。(引用:カーセンサー)
そうなると、新車の方が見栄えが良くなるのは当然のこと。
ディーラーの売り場においてそもそも売れにくい中古車が、余計に売れにくくなるのです。
ずっと売れなければ、当然ながら保管料などの維持費もかかるため、低い金額で買い取りをしなければ元が取れません。
営業マンに下取り数のノルマがない:
ディーラーの下取りにはノルマが存在しません。つまり無理やりに下取りをする必要はないというわけ。
もちろんノルマを設定している店舗もあるでしょう。しかし筆者は調査をしてきた中では下取りにノルマが設定されているディーラーは存在しませんでした。
ゴリゴリの買取業者である、ビッグモーターやガリバー等は買取してなんぼの世界です。
だからこそどれくらい査定をしたのか、査定の見積もりを何件出したのかというのは細かくノルマが決まっています。
さて 中古車査定の査定士には買取のノルマがあるのです https://t.co/9nYwpMDnVp
— えっくすげん (@9B3EAqZX5352BVw) February 28, 2019
ノルマを達成するかしないかでは自分の給料に大きな違いが出てくるため、死に物狂いで査定をするというわけ。
一方でディーラーの下取りにはノルマが一切存在しないため、早い話が下取りに手を出せば、自分のやるべき仕事が無駄に増えてしまいます。
ディーラーの営業マンは新車を購入してもらうためのノルマがきつく設定されています。
それを達成するために日々頑張っているにも関わらず、下取りという全くノルマには関係ないものにそんなに力をいれると思いますか?
給料に関係のないことに頑張る人なんて一握りですよね。
ディーラーの営業マンもご多分に漏れず、ノルマに関係ない下取りなんて頑張らないのです。
そのような社風もあり、ディーラーの下取りは安い金額になるという現状があります。
安いディーラー下取りより買取業者を使う:
ここまで安い金額になりがちなディーラー下取りを活かすコツを紹介しましたが、これではまだ足りません。
そう、肝心の「車を高く売って多くの現金を手に入れる方法」が明らかになっていないのです。
結論からいいましょう。中古車を現金支払いのうえで高価買取してもらうには、買取業者を使う他ありません。
ディーラーでの買取と違って、買取業者は「新車購入のための促進」ではなく自らが利益を出すための「仕入れ」として購入をします。
査定金額は中古車の販売相場から逆算されるため、ディーラーの買取金額よりも圧倒的に高くなります。
ディーラーではなく、買取業者を選択するだけでも一気に買取金額が上がりますよ。
振込という手段を使いますが、しっかりと現金として売却金額が手元に来るのも魅力です。
あくまでも「おまけ」である事を忘れない:
解説してきた通り、ディーラー下取りは、買取金額は低くなるうえ、現金そのものは手に入りません。
ハッキリいって、ディーラー下取りは、新車購入を促進させるためだけの方法(つまり、「おまけ」みたいなもの)なので仕方がないことともいえます。
ただ「車を高く売って、多くの現金を手に入れたい」と考えている人にとっては、絶対に行うべきでない買取方法なのは確かです。
今持っている車が古すぎたり、そのディーラーで新車を購入するつもりなら、ディーラーで買取してもらいましょう。
しかしすこしでも高価で売り、売却代金を現金で得たいのであれば、買取業者を使う方がベストな選択といえます。
【補足】ディーラー下取りでも安い金額にならない車とは
安い金額になりがちなディーラー下取りを使いこなすのうえで1番良いのは、本来の目的に沿うことです。
つまりは、ディーラーで新車を買うために下取りをしてもらい、素直にディーラーの思惑に乗りましょうというわけです。
これまで解説してきたように、ディーラー下取りは「新車を買いたい」と思っているのであれば、これほど便利な買取方法はないと言っても過言ではありません。
はっきりって買取金額自体は高くはなりませんが、新車購入との親和性を考えると選択肢としては全然アリです。
そんなディーラー下取りですが、以下のような車を対象にすると、買取より価格差がつきにくいですよ。
- ボロボロの車を買取してもらう
- ハイブリッド車を買うなら必ず下取りに出す
この章では上記のポイントの詳細について、しっかりと解説していきます。
ボロボロの車を買取してもらう
ディーラーの下取りを最大限に活かせる方法と言えば、買取業者では1円にもならない車を買い取ってもらうことです。
筆者の個人的な経験になりますが、この方法でめちゃくちゃトクをしたことがあります。
昔、トヨタの新車を買う際、200,000キロ運転したボロボロの「マーチ」(日産)をディーラーで買取してもらったのです。
当然、ディーラー以外の買取業者にも査定してもらいましたが、値段がつくことはありませんでした・・・。
しかしトヨタの新車を買う際、ディーラーの下取り査定をしてもらったところ、なんとボロボロのマーチに10万円もの値がついたのです。
10万円が現金になる事はなく、次に購入することをになった新車のヴォクシーの支払い金額の一部と化したのですが、個人的には大満足でしたね。
走行距離200,000キロのボロボロのマーチを現金ではないとは言え、高い金額で査定してくれたことに感謝すら覚えました。
このようにディーラーの下取りは古い車のオーナーにとっては、非常に役に立ってくれる買取方法になってくれますよ。
ハイブリッド車を買うなら必ず下取りに出す
ハイブリッド車ってめちゃくちゃ高いですよね。コンパクトタイプの車でも2,000,000円以上は必ずします。
ミニバンになると3,000,000から4,000,000円になる事も。ディーラーの営業マンは台数もそうですが、売り上げ金額でノルマを競っています。
そのためハイブリッド車等の高い車はなんとしてでも買って欲しいのです。そのせいか、車を下取りに出すと馬鹿みたいな高い金額でなることがあります。
筆者も他の買取業者では500,000円ほどの買取価格だった車が4,000,000円以上のハイブリット車を買う時に、800,000円の下取り価格になったことが。
このように高い金額を購入すると営業マンも喜ぶため、そこで価格が跳ね上がる時が多いです。
もしハイブリッド車を買おうと思ってるのであれば、下取りに出した方がいいかもしれませんね。