車を査定に出す時、店側から最初に「事故歴(修復歴)は有りますか?」と聞かれる事が有ります。
この時に「最初から事故歴が有ると答えてしまうと、査定額が低くなってしまうのでは?」と考える方もいるかもしれません。確かに、修復歴が有る車は査定上はマイナスとなります。
しかし、以下の理由から事故歴については正直に答えた方が良いですし、聞かれなくても自ら伝えておいた方が良いでしょう。
契約上の告知義務
通常、店側と交わす契約書の中には「買取査定規約」というものが有ります。
これには、もし事故歴を把握しているのであれば予め申告する義務が有り、後日不備が発生した場合は買取店は「事後減額要求」をする事が出来る、といった内容が織り込まれています(*)。
*:ガリバーやビッグモーターに売却する際には「クレームガード保証」や「クレーム安心保証」といった、オプションの保険が有ります。これは簡単にいうと「売却後に事故車だったなどの問題が発覚しても、売り主に損害賠償請求はしない」というものです。
また、民法第1条2項には「信義則」という以下の様な「法律上の行為の基本原則」が定められています。
(基本原則)
第一条 2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
従って、契約上は告知の義務を課されている事が多く、法律上は事故歴を告知しなければ罰せられるというものではないものの、取引をする上では相手側と隠し事等はせずに「誠実に」やり取りをしなければならない、という事ですね。
嘘をついてもすぐにバレる
査定をする方は車のプロです。素人目には事故車に見えなくても、査定士は簡単に見破ってしまいます(*)。
*:日本自動車査定協会の実態調査によれば、査定士による修復歴見落としの発生率は0.2〜2%程度の様です。
また、修復歴の有無は査定の中でも特に細心の注意を払って調査される重要項目です。「客が嘘をついているものだと思って査定にかかっている」といっても過言ではないでしょう。
自動車の売買は客と店の信頼関係が重要になってきます。「明らかに修復歴が有ると分かっていたはずなのに、隠蔽しているな」と店側に判断されると信頼関係は崩れてしまいます。
せっかく査定前に掃除や洗車をして快く査定をしてもらおうと臨んでも、1度信用を失ってしまうと査定額は伸び悩みますし、今後の取引上も不利になってしまいます。
後々発覚すると詐欺扱いされるかも
事故歴が有る事を知らなかった場合や知っていても聞かれなかったから自ら言わなかったという場合は、まず問題になる事は有りません。
しかし、「事故歴が有りますか?」と聞かれているのに「無いです」と嘘をついた場合は、告知義務違反となります。
事故歴が無いと偽った事が「詐欺」に値する程の悪質な嘘と判断されると、契約後に本来の査定額との差額を請求される事が有ります。また、最悪の場合は店側から訴えられてしまう事も有るでしょう。
中には、客が事故歴を告知して来なかった事を逆手に取って、とりあえず高い査定額を提示して買取契約を結んでおいて、後々「修復歴が有るから」と査定額を減額してくる悪質な業者もいます。
万が一それを購入した人の事も考えよう
上述した様に、査定士が修復歴を見抜けないという事はまず有りません。しかし、絶対ではありません。もし修復歴が有る車がそのまま買取りされ、そのまま次の消費者に渡ったとしたらどうでしょう?
その人は正常な車だと思って買う訳です。車は高い買い物ですから「乗るのを楽しみにしていた車が実は事故車だった」というのは嫌ですよね。
自分が事故歴を伝えなかった事で、後々嫌な思いをする人がいるかもしれないと思うと、隠さずに先に伝えておく方が良い事が分かりますよね。
まとめ
以上の様に、事故歴は黙っていてもまずバレますし、黙っていた事によって店側とトラブルに発展する事もあり得ます。
黙っていても良い事は無いので、事故歴を予め把握している方は査定に出す際に正直に話す様にしましょうね。