「離婚するから財産分与しないといけないけど、車はどうしたらいいの?」
離婚時に車を持っていた夫婦は、きっとこれで悩むでしょう。
日本の離婚率が意外に高いです。
平成28年の確定数値を見てみると、婚姻数620,531件に対して離婚数は216,798件となっています(参照:厚生労働省)。
ここ数年同じ様な推移をしているので、単純に考えて結婚した方の3組に1組が離婚をしている事になりますね。
もはや離婚は他人事ではありません。
そして、離婚をすると「財産分与」が必要となりますが、預貯金や不動産だけでなく「車」も財産分与の対象となるのでしょうか?また、財産分与の対象になるのであれば、どの様に分ければいいのでしょうか?
この記事では、財産分与と車の関係について見ていきましょう。
財産分与の定義と仕組み
「財産分与」とは、夫婦が結婚(婚姻)生活中に培った財産を「お互いの貢献度」に応じて分配する事を言い、民法768条第1項で以下の様に規定されています。
第768条
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
「お互いの貢献度」というと、収入金額で判断してしまいがちですよね。
では、夫が働いて妻が専業主婦だった場合はどうなるのでしょうか?
「全ての財産は夫が稼いだお金で買ったのだから、妻は貢献していない」と考えてしまうかもしれませんが、それは間違いです。
夫は妻の支えが有ったからこそ、働いてお金を稼ぐ事が出来た訳ですからね、
従って、財産分与の割合はお互いの職業に関わらず「基本的に2分の1ずつ」となっています。
参考:財産分与には「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」「過去の婚姻費用の清算としての財産分与」の4種類ありますが、ここでは最も一般的な「清算的財産分与」を前提に話をしています。
財産分与の仕方は、夫婦での話し合いが基本となります。
しかし、2人で決めると財産を隠したり計算方法を間違えたりして揉める事があるので要注意です。
話し合いで決まらない場合は、離婚調停や離婚審判、離婚訴訟などの裁判所の手続きを経ていく事になります。
財産分与の対象となるのは共有財産なので「車も対象」
財産分与の対象となる財産は、「婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産=共有財産」です。
夫婦で築き上げたものであれば、名義は問いません(名義がどちらか一方のものとなっている共有財産は、「実質的共有財産」と言い財産分与の対象です)。
従って、預貯金や不動産だけでなく、車も財産分与の対象となります。
また、借金(ローン)が有る場合は、マイナス財産の一部として考慮される事になります(※)。
ただし、資産価値が無い様な車やオーバーローンとなっている車の場合は、一般的に財産分与の対象から外される様です。
※:夫婦の共同生活の為に出来た借金は考慮されますが、自分自身の為(ギャンブルなど)に借金した様な場合は考慮されない、と考えられています。
車が特有財産であれば財産分与の対象から外れる
上記の通り、基本的に離婚時に夫婦が持っていた車は財産分与の対象となります。
しかし、絶対に財産分与しなければならないという訳ではありません!
民法762条第1項のいう「特有財産」に該当すれば、共有財産とならないので財産分与をする必要はありません。
(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
条文の規定する「特有財産」を車で考えると、以下のケースが当てはまりますね。
- 結婚する前から車を持っていた場合 ※1
- 車を実家から相続したり贈与を受けたりした場合 ※2
※1:結婚前から持っていた預貯金で買った車も対象外。
※2:相続・贈与によるお金で車を購入した場合も対象外。
この様なケースでは、当初車を買った方・譲り受けた方が離婚後も使用し続ける事が出来ます。
ただし、車検やメンテナンスなどの維持費を配偶者が負担していた様な場合は、財産分与の対象となる可能性あり。
ちなみに、別居中に購入した車は基本的には財産分与の対象にはならないのですが、別居中でも共有財産(預貯金)で車を買った場合は財産分与の対象になりますよ。
車が財産分与の対象となった場合は売るのが揉めなくていい
自分の車が財産分与の対象だと分かったら、まずは車の価値(評価額)を買取業者に査定依頼するなどして調べる必要が有ります。
インターネットの無料一括査定を使えば簡単に査定してもらえますよ。
評価額が判明したら車を2人で分ける事になるのですが、分け方は以下の2つです。
- 車を売ってお金を分ける
- 相手に購入時の負担割合に応じた金額を支払い、車に乗り続ける(※)
※:例えば、評価額が100万円で購入時の負担割合が夫8:妻2だった場合、夫が乗り続けるのであれば妻に20万円を支払う、という方法です。
財産分与では、「財産を全て処分しないといけない」という決まりは有りません。
相手に財産の価値に対応した金額を支払うのでもOKです。
つまり、車を売らなくても財産分与をする事は可能という訳ですね。
どうしても乗り続けたいのであれば、相手から買い取って名義変更手続きをしましょう。
離婚する時点で車のローンが残っている場合の財産分与
原則的な車の財産分与方法は上記の通りですが、ローンが残っている場合は扱いが少々異なります。
ローンを返済するまでは、夫婦は車の使用者に過ぎず、車の所有権はローン会社やディーラーにありますからね。
例えば夫名義でローンを組んでいる場合、離婚時の財産分与で妻が車を引き継ぐことになったとしても、勝手に名義変更をする事は出来ません。
引き継ぐ場合は、ローンの支払いについて話し合いをした上で、ローン会社やディーラーに了承を得て所有権解除の手続きをしましょう。
参考:夫の名義のまま妻が乗り続ける事も出来なくはないですが、税金の支払い等で後々揉める可能性が高いのでやめた方が良いでしょう。
ローンの残っている車を売る場合も同様です。勝手に売る事は出来ないので、予めディーラーやローン会社の了承を得る様にしましょう。
その上で、売却したお金からローン残高を差し引いて残ったお金を2人で分ける事になります。
例えば、「負担割合が夫3:妻2・売却金額150万円・ローン残高60万円」だった場合、夫がもらう金額は「(150万円−60万円)×3÷5」で54万円、妻がもらう金額は「(150万円−60万円)×2÷5」で36万円ですね。
離婚によって名字や住所が変わる場合、車に乗り続けるのであれば登録内容を変更する必要があります。
最後に・・・財産分与をキッカケに車を売るのであれば、高く売ろう!
離婚が決定し、車を売る事になったら「どこで車を売るか」が問題となります。
車を買い替えるのであれば、ディーラーで下取してもらう事が出来ますが、離婚がキッカケで「ただ売るだけ」の場合は取り合ってくれません。
また、近所の中古車屋さんに買い取ってもらう方法も有りますが、安く買い叩かれてしまうのがオチです。
せっかく売るなら高く売りたいですよね。
では、車を出来るだけ高く売るにはどうすればいいか?
中古車買取の無料一括査定を利用すればいいのです!
複数の買取業者から見積りを貰えるので、一番高い金額を提示してきた業者に売る事が出来ますよ。