海の近くでよく運転されていた自動車は、内陸部の自動車と比べて錆が発生しやすいです。日本は海に囲まれた島国なので、海の影響は避けられません。
海辺近くの建造物が異常にサビているのを、見たことがある人もいるでしょう。これと全く原因は同じです。では、その原因は何なのかを見ていきましょう。
海辺の車がサビやすいのは「海水に含まれる塩分」が原因
海辺の車が内陸の車より「錆」が発生しやすい原因は、海水に含まれている「塩分(塩化マグネシウム)」と、潮風に乗って運ばれた塩分が水分に溶けて発生する「塩素イオン」が原因です。
塩化マグネシウムがサビの発生を促す
塩化マグネシウムは、吸湿性があるので、車に付着すると空気中の水分を吸収して、水分たっぷりの状態を作り出してしまいます。水分は錆の発生メカニズムには、欠かせない要素です。
参考:サビの発生メカニズム
海辺の車は、常に塩化マグネシウムを含んだ潮風に晒されているので、錆が発生しやすい状態にあるわけです。
塩素イオンがサビの進行を加速させる
自動車に使われる部品の中には、表面に酸化物皮膜を張り、錆の腐食から保護する鉄(鉄鋼など)を使用している物も有ります。
しかし、塩素イオンはこの保護効果が弱め「孔食」という腐食作用を起こし、錆の進行を早めます。
「孔食」とは?
孔食とは直径数mm以下の微小部分に腐食が集中するもので、塩化物イオンなどの腐食性イオンの作用によって、安定した保護皮膜の一部分が破壊された場合に生じます。
引用:ダイダン株式会社
海辺は1年中、塩分の影響を受ける
海辺付近では、錆の原因となる「塩分」が、高潮や雨、潮風によって、自動車に降り注ぎます。つまり、海辺で利用される自動車は、錆が発生しやすい環境下にあるわけです。
錆が発生しやすい環境と言えば、雪国も代表例として挙げられます。ただ、雪国での錆の原因は凍結防止剤であり、冬場にしか巻かれません。
雪国(寒い地域)で使用されていた車はサビが来るのが早いので敬遠しよう
海辺は季節に関係なく、1年中塩分の影響を受けます。そのため、海辺で利用されている自動車は、錆が発生する可能性が高いと言えるでしょう。
海水の成分と錆が発生するまでの時間
海辺では海水に含まれている「塩分」によって、錆が発生しやすい事がわかりました。
次に、海水の成分についてもう少し具体的に見てみましょう。
海水は、約97%が水分で構成されていて、残りの3%が塩分です。この塩分には、以下のような成分が含まれています。
■海水に含まれている塩分の内容
- 塩化ナトリウム
- 塩化マグネシウム
- 硫酸マグネシウム
- 硫酸カルシウム
- 塩化カリウム 等
これらの塩分がたった3%含まれているだけで、錆が発生してしまうんですね。その影響力は時間にしてどれくらいなのでしょう。
錆発生までの時間
鉄を海水に浸した状態では、約2時間で錆は発生するようです。
参考:八光電機-錆の実験
密閉された環境での実験結果なので、実際に自動車に錆が発生するには、もう少し時間がかかるのかと思います。
ただ、直接的又は間接的に海水の影響を受けた状態を放置しておけば、それだけ錆が発生しやすくなる事がわかりますね。
【参考】海辺の車は売却する前までに錆が出なければ売却価格に影響はないのか?
海辺で利用されていた車は、錆が発生していなかったとしても、売却価格に悪影響を及ぼす可能性が有ります。
■悪影響を及ぼす理由
- 中古車買取業者は海辺で利用されていた車を嫌がる傾向が有る
- 外見上は錆が発生していなくても、車の内部は錆に腐食されている可能性がある
- 買い取ってから売却するまでの間に、錆が発生する可能性が有る
錆が有る中古車は、販売価格を下げざるを得ません。そのため、業者は錆の発生リスクを考慮する事になります。高く買い取って、安く売ってしまうなんて事は、誰しもしたく有りませんからね。
このような事から、海辺で利用されていた車は、錆の発生リスクによって、売却価格が低くなる可能性が有るわけです。
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