中古車を探すと、走行距離が多くて非常に安い車がたくさん出回っています。
安いからって、走行距離が10km以上あるような中古車(過走行車)を買おうとしてませんか?
リーズナブルさに誘惑されて買ってしまうと、来年には壊れて30〜40万円の修理費がかかるかもしれませんよ。
走行距離がかさんだ中古車は、他のパーツはまだしも「エンジン」は限界です。
いつ壊れてもおかしくない状況のため、1年以内に異音を出したりエンストばかりしてしまうでしょう。
こうなればせっかく安くて走行距離の多い中古車を買ったのに、「安物買いの銭失い」となり、結果的に高い買い物になってしまいます。
最初から走行距離が少ない中古車を買っていた方がよかったでしょうね。
しかし、ご安心ください。
今回は中古車を数度購入し、車雑誌の編集を務めた筆者が「中古車における走行距離の関係性」と、どれくらいの走行距離なら買ってもいいのかを解説していきます。
具体的には以下のようなカテゴリーに分けて、中古車の走行距離の目安について紹介していきますよ。
- 車の構造的に見た中古車の走行距離の目安はどれくらい?
- 中古車を購入する時の「条件」から考える走行距離の目安
- 中古車のエンジンから簡単に考える走行距離の目安
中古車を買うなら、どれくらいの走行距離にすべきかわかる記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
車の構造的に見た中古車の走行距離(年式)の目安
走行距離が多い中古車は買うべきでないと冒頭でお伝えしましたが、では一体いくらの走行距離の中古車を目安にするべきなのでしょうか。
結論としては「走行距離3万km近辺の中古車がベスト」です。
なぜ走行距離3万km近辺の中古車がいいのか解説していきましょう。まずは車の構造的な部分からひも解いていきます。
- 走行距離3万km未満の中古車はエンジンが長持ち
- 「走行距離10km未満の中古車は危険」は嘘
- 走行距離が少ない中古車ほどクセがついていない
- 中古車の「年式」と走行距離は比例しない
- 過走行車はエンドレスで修理が必要になる
走行距離3万km未満の中古車はエンジンが長持ち
「欲を言うならば、走行距離は短ければ短いほどいい」というのが結論です。
なぜと言うと、「走っていないほどエンジンに負担がかかっていないから」。
これから先、メンテナンスをする頻度も、故障をする確率も少ないため、結果的にお得になる可能性が高いのは走行距離が短い中古車です。
ただ走行距離が短い車は、どうしても市場価格的に高くなってしまいます。以下をご覧ください。(カーオークション.jpより引用)
同じトヨタのアクアでも2.4万km走った車と、7.3万円走った車では金額に10万円ほどの差がついているのがわかりますね。
場合によっては新車並みの金額を誇る中古車もあるため、「新車に比べてリーズナブル」という中古車のメリットを享受できない場合もあります。
そう考えると、走行距離3万kmほどの中古車であれば、走行距離が少なすぎる中古車に比べて価格は安くなっていますし、エンジンの劣化もまだまだ。
大規模な修理をすることなく、ボーダーラインである10万kmまであと7万km 、つまり7年間は走ることができるという利点があります。
中古車販売店舗は、走行距離3万kmほどの中古車を求めるうえ、売る人も多いので在庫も豊富です。
初回の車検が3年目ということを考慮してなのか、2年ほどで売る人も多いため、走行距離3万kmに収まる中古車は非常に多いです。
やはり市場に数が出れば出るほど販売価格は安くなりますから、どんな車種でもリーズナブルに買うことができるというのも魅力といえるでしょう。
「走行距離10km未満の中古車は危険」は嘘
ネットの記事を見てみると「走行距離が短すぎる車は逆にトラブルを起こしやすいので買わない方が良い」という意見がありました。以下は車選び.comの一文です。
単純に前オーナーが少ししか走行していなかっただけなら問題ないかもしれませんが、場合によっては、危険な中古車も存在します。
この意見に対する答えを聞いてみると、どこの中古車販売店も「トラブル自体がゼロではないが、走行距離が短いことに越したことはない」という回答でした。
実際に運転をしていない車は、各部が走行に慣れていないため、サビが付いてしまったりしていることはあります。
ただし走行の妨げや、大幅なメンテ費用が必要になるような劣化はありません。
そのため、どこの中古車販売店も「走行距離が短いことは絶対的に良いことだ」という評価をしているのです。
走行距離が少ない中古車ほどクセがついていない
車は人間が操縦するものなので、やはり乗り手のクセがつきます。
具体的には「身長の高い人が車に乗っていたせいで、シートの上げ下げがしにくくなってしまっている」というような設備上のクセですね。
筆者が長年乗っていた車を知り合いに譲渡したことがありますが、筆者の身長が高く、シートをいつも下げていたことが影響して、シートを前方に動かせないと文句を言われたことがあります。
中古車の「年式」と走行距離は比例しない
1年で10,000キロ走る、という知識を聞いたことありますか?以下はヤフー知恵袋の一文です。
ウチの車の場合、年間10,000㌔程度です。中古車の査定も1年あたり10,000㌔が基準と聞いたことがあります。
車は普通に走っていると、1年で1万キロも走っているという通説なのですが、これは正しいようで正しくありません。
確かに1年で1万キロ走るという客観的なデータも存在しています。しかしあなたの周りに、1年で1万キロ走ったなんて事例を聞いたことがありますか?
仕事に使っているというのなら話は別ですが、そうでない場合は1年で10,000キロも走りませんよね。
10年落ち、、つまり新車購入から10年経った年式の車は、走行距離が100,000キロあるのでもうやばいよ、なんて話がよく聞きます。
しかし、10年落ちの車でも100,000キロ走ってることなんてそこまで多くありません。
ただ、、逆もありきなんですよね。
年式に比べて走行距離がかさんでいる車も相当に中古車市場には出回っています。どちらかというと、こちらの方が多いほど。
何せ中古車で売るぐらいですから、自分的にたくさん走ったという自負があるのでしょうね。
年式が3年という車であったとしても、走行距離80,000キロなんて車も存在します。
そのため、筆者としては、年式が古い車でも走行距離がかさんでいない場合があるので別に買ってもいいですよ、という主張ではありません。
年式が新しくても走行距離がかさんでいる車の方が多いので、年式はあてにしない方が良いという主張をさせてください。
中古車市場を見ると、年式と走行距離が悪い意味で比例していない場合が多いです。そのため年式は新しいけど走行距離が行っているという場合は要注意ですね。
新しい車なんだから大丈夫だろうと思うかもしれませんが、相当走っていて劣化しているという事実を忘れないようにしてください。
過走行車はエンドレスで修理が必要になる
個人的な経験則なのですが、100,000キロ超えた車(いわゆる”過走行車”のこと)を走らせていると、一か月に1度は不具合が発生します。
1番びっくりしたのは運転中にエンストしてしまったことでしょうか。道のど真ん中で止まってしまったので、その時はもうこの世の終わりと思ったものです。
何度もエンジンをかけていると突然復活して、また走り出すことができたので、あの時エンストしたままだったと思うと、ぞっとしてしまいますね。
また、ある時は今まではスムーズに走行していたのに、突然とてつもない大きな音を出し始め、その音がずっと収まらないという症状もありました。
業者さんに見てもらうとエンジンの部品が外れていたということで、修理するには別途パーツを取り寄せしなければならないとのこと。
取り寄せしてもらったパーツは120,000円。そもそも80,000円で購入していた車だったので車両価格よりも交換パーツのが高くなるという本末転倒が待っていました。
このように走行距離がかさんでいる車はいつ壊れてもおかしくないですし、修理したと思っても常に何らかの故障が起こってしまいます。ご注意を。
中古車購入時の「条件」から考える走行距離の目安
ここまでは中古車の構造的な観点から、いくらの走行距離がよいのかみていきました。
では次は中古車購入時の「条件」から、走行距離の目安を見ていきましょう。
- 走行距離が少ない中古車は無料保証が使える
- 走行距離が進んでない中古車はオプションが新しい
- 走行距離3万km未満の中古車はかなり出回っている
走行距離が少ない中古車は無料保証が使える
走行距離3万km程度の中古車は、仮にトラブルが発生したとしても、多くの中古車販売店が無料付帯している「1年保証」の範囲内で収まるのも利点の一つです。
1年保証は無料で付けることができ、 以下のような箇所が保証対象となっています。
※画像出典:ガリバー「保証項目」より
走行距離3万km程度の中古車であっても、何もトラブルがないというわけではありませんし、交換部品によっては数万円の金額が発生することもあります。
しかし走行距離10万km以上の車でよくある「保証ではどうにもならないようなトラブル」(エンジン交換など)が起こることはありません。
無料保証内でなんとか対処ができるトラブルばかりというのも、大きな利点の一つです 。
走行距離が進んでない中古車はオプションが新しい
最新の車のオプションって、めちゃくちゃ便利でかっこよくないですか?
特に顕著な例はカーナビでしょう。
カーナビの機能などは数年経つと大幅に変わります。
ひと昔前であればBluetoothで接続してスマホの音楽を再生することなんかできませんでしたし、無線で充電することも不可能でした。
しかしそれは今では当たり前となっていますよね。
スピーカーなどの音響だってそうです。昔の車よりも今の車の方が圧倒的に音がいいです。
そのため、走行距離が多い(=年式がかさんでいる)車を買うと「なんだこの古臭い車内は?!」と思ってしまうことが少なくありません。
エンジンをかけるのにわざわざカギをさしたり、ドアを自分の力で開けなければならなかったり…。
今の車に慣れている人であれば、うんざりするような仕様になっていますので注意しなければなりません。
走行距離3万km未満の中古車はかなり出回っている
「車検前(購入から3年)で売らなければならない」という知識を聞いたことがありませんか?
確かに多くの人が、車検代を払いたくなくて新車購入から3年位で手放しています。
モデルチェンジも3年位で出てきますからね。
そのせいで、走行距離3万キロ…つまり3年落ちぐらいの中古車はよく市場に出ます。「カーセンサー」や「グーネット」で調べるとすぐに出てきますね。
上記はトヨタのアクアですが、3年落ちはなんと2,000台近くも出回っています。
車種によっては多く出回りすぎて金額が落ちているということもありますよ。
最終的に走行距離3万キロなのに、そこまで新車と金額は変わらないというケースも。
そう考えると、走行距離が多い車を買う選択は今の時代においては、もうナンセンスといっても過言では無いでしょう。
中古車のエンジンを考慮した走行距離の目安
さきほども走行距離3万km以内の中古車を買うべきだと解説してきましたが、そもそも走行距離が増えると、車にはどのような影響を与えてしまうのでしょうか。
一言で言うと「劣化」してしまいます。
タイヤや各種パーツなど、劣化していく部分は数多くありますが、最も劣化してしまう部分は「エンジン」です。
エンジンは消耗品なので、基本的には走れば走るほど劣化して、新品同様の状態を維持することはありません。
車を買い取りしてもらう時に走行距離が大きく左右されるのは、エンジンの劣化を考慮させるため。
走るたびに劣化していくエンジンはどうしようもない要素なので、よく走った車ほど買取金額が低くなってしまうのです。
昨今の中古車情報を取り扱うネット記事を見てみると「走行距離10万km以上でも、まだまだ使えるので買っても構わない」と書いています。
しかし本当にそうなのでしょうか?
今回、「ビッグモーター」「ガリバー」などの大手に勤務する知人から、こっそり小規模の中古車販売店にまで聞き取り調査を行いました。
結論としてはどこの中古車販売店も口を揃えて「10万kmをボーダーラインとして、それ以上走った中古車は買ってはならない」という回答でしたね。
主な理由は、以下の通りになります。
- ネットの記事は肝心な「エンジンの劣化」を考慮していない
- 10万km走った以上のエンジンはいつ壊れてもおかしくない
- エンジンを交換すると30~40万円かかる
それぞれの理由について、具体的な内容を解説していきましょう
ネットの記事は肝心な「エンジンの劣化」を考慮していない
今回聞き取り調査を行うにあたり「走行距離が多くても大丈夫」と書いてあるネットの記事や口コミを見ていただきました。以下のような口コミですね。
9万kmの軽なんかダメですよダメ !
自分でエンジン修理等出来るメカを弄れる人間が買う物件 !
外出先の夜中の暗闇の中で
車が故障して惨めで寂しく怖い思いをしたいのですか ?
J○Fの隊員さんの経験したエピソード集で
雨の夜中の出動で「エンジンが故障」した若い女性を救援した際に、現場に到着して救援する人を探すと
「泣いた女性がダッシュで抱きついて来ました」「救援作業や応急修理より女性を落ち着かせる方が大変でした」と書いておられました(引用:ヤフー知恵袋)
すると中古車販売店が声を揃えて「これらのネット記事は肝心なことを伝え忘れている」と回答しています。
確かに長く走った中古車でも、車体そのものは保つことができますが、ずっと走ってきた「エンジン」はもう保たないとのこと。
エンジンさえ変えれば、まだまだ走ることができますが、結局のところ10万km以上走っている車は必ずエンジンを交換している、と回答してくれました。
よく「40万km走った」という車が紹介されていますが、このような車はエンジンをオーバーホール(各種部品を新品に交換)ないし、新品に取り替えているとのこと。
こう考えると、エンジン交換なしでずっと走り続けてきた中古車を安全に走ることはほぼ不可能なのです。
10万km以上のエンジンはいつ壊れてもおかしくない
エンジンがおかしくなるボーダーラインは走行距離10万kmです。いつ壊れてもおかしくありません。
完全に動かなくなるとまではいかないものの、異音を出して運転にストレスを感じさせたり、頻繁にエンジンストップを起こしたりと様々な問題を発生させます。
本当に怖いのは、エンジンパーツの中にある「タイミングベルト」が破損してしまうこと。
上記の画像(引用:グーネット)にベルトみたいなモノがありますよね。それがタイミングベルトです。
10万km以上になるといつ壊れてもおかしくない「タイミングベルト」が走行中に突然破損してしまうと、重大事故につながってしまいますよ。
エンジンを交換すると30~40万円かかる
確かにたくさん運転してきた中古車であっても、エンジンさえ新品に取り替えることができれば安全安心に走ることができます。
ただエンジンを新品に取り替えるのは、20~40万円ほどかかることもあり、トータルの出費を考えると質の良い中古車を買った方が安くなることも少なくありません。
新車価格の内訳のエンジン単体の値段(公表されていない)と エンジンブローしてエンジンを丸ごと交換するときの値段は大きく異なると思いますが・・
たとえばガソリンエンジンを壊して 新品に丸ごと交換すると工賃込み20万~懸かると思います
(ただしエンジン単体でなく 一部補機類やパッキン・シール類 油脂も含み 保障アリ)
中古を探してきて 乗せ替えを頼んでも10万~懸かるでしょう(引用:カカクコム)
ハイブリット車でもエンジン単体ならガソリン車とそう変わらないでしょうが
+ハイブリットユニットも交換すると 倍くらいの費用が必要なんでは・・と思います
「この車のボディーとこのエンジン」が何なのか判りませんが・・ハイブリッド車のバッテリー自体は15万以下で新品が買えて リサイクルのもの(旧プリウス)なら10万までしないそうです
たくさん走ってきた中古車は、およそ10万円から20万円で売られていることもありますが、新品のエンジンに交換するとなると決して安い車とは言えなくなるのです。
10万km以上を突破した車はいつエンジン交換のタイミングがやってくるかわからないため、「安物買いの銭失い」になるのを忘れてはいけません。
そう考えると多少値が張ったとしても、走行距離が少ない中古車を買った方が結果的にお得になるのです。
安さにつられて走行距離が多い中古車を買わない
中古車市場を見てみると、かなりの走行距離をもつ中古車がたくさん出回っていますが、リーズナブルさに誘惑されて買ってしまうのはダメです。
来年にはエンジンが壊れて、30〜40万円の修理費がかかるかもしれませんよ。
とくに走行距離10万kmを超えた中古車は、他のパーツはまだしもエンジンは限界です。
いつ壊れてもおかしくない状況のため、1年以内に異音を出したりエンストしやすくなったりしています。
こうなれば「安物買いの銭失い」となり、結果的に高い買い物になってしまうので、最初から走行距離が少ない車を買っていた方が良いでしょう。
損をしない中古車を手に入れたいなら、走行距離3万km以内を買ってください。
3万km近辺の中古車を手に入れば、価格的にもメンテナンス的にもトクをすることになりますよ。
ちなみに筆者は走行距離10万kmオーバーの中古車を2度買ったことがありますが、故障がひどくて大変でした。
それも愛着となっていくのですが・・お財布事情はきつかったですね。
何せ1回の修理に何十万もとんでいくので。
よほどのビンテージカーが好まない限りは走行距離が少ない中古車を買うことを個人的にもオススメします。