新車ディーラーは決算期前に「決算大セール」などといったのれんを掲げて、セールを行う事があります。国道沿いを走っていて見かけた事がある方も多いのでは?
決算期が近づいて来ると、利益獲得のラストスパートやセールスマンのノルマ達成の為にセールを実施すると思いがちですが、実際にはもっと大きな理由があるのです。
それは、メーカーから入って来る「報奨金」です!
報奨金とは?
新車ディーラーはトヨタや日産といったメーカーから販売のノルマ(売るだけでなく、登録まで完了することが必要)が課されています。
報奨金はメーカーによって異なりますが、月単位や四半期単位で一定台数以上登録すると1台当たり○万円といった形式から、1年間でノルマ台数を達成すると億単位の報奨金が貰える形式まで様々な様です。
メーカーとディーラーの違いが良く分からない人は下記記事を参照して下さい。
日本特有の販売チャネル制度
新車ディーラーにとって報奨金は大きな収入源となっており、得たお金を従業員のボーナスや福利厚生に充当しています。
そこで決算期間近になって、ノルマに手が届きそうになると赤字覚悟で値下げして販売する事がある、というのが決算セールのカラクリです。
ノルマが達成出来ない場合、ディーラーとしてのランクを下げられることもあるので、ディーラーは何としてでも達成したい訳です。(仮にランクを下げられると、翌年度以降の報奨金の額も少なくなり、資金繰りが更に悪化する恐れがありますからね。)
報奨金目当てで買った車がなぜ新古車に?
例えば、ノルマ達成まであと10台まで来たというのに、営業をかけている客が殆どいない状況の場合、新車ディーラーは自ら新車を10台を購入することがあります。
そして自分たちで売ったかの様に見せかけた上で、オークションに流すのです。この方法は、名義変更手続きが簡単という理由から、特に軽自動車でよく行われている様ですね。
つまり決算期前後にオークション会場にいくと、新車と変わり無いのに安い価格で手に入れる事が出来る「新古車」を見付けられるかもしれないのです!良い車を安く手に入れたい方には、狙い目ですね。
自分たちで登録してでも会社としては利益になる計算例
前提:年間の登録台数あと10台で報奨金3,000万円ゲット
- ①ディーラーの出費:150万円×10台=1,500万円
- ②報奨金:3,000万円
- ③業者オークション等に販売することで得られる利益(*1):120万円×10台=1,200万円
*1 自社ディーラー内で中古車販売部門を持っているディーラーであれば、自社内で販売することも当然あります。
無理くりにでも決算期末に車を登録して、メーカーから報奨金を貰った方が結局得になることは明白ですね。計算式は「②+③ー①=2,700万円」です。むしろやらないと損ですよね。
ただ、最近はディーラーの統合化がどのメーカーでも推し進められているので、こういう制度は縮小していくかもしれませんね。そうなると新古車が出回る数も少なくなってしまうかもしれません。
コメント一覧
この記事へのコメントはありません。