中古車を購入する際、「現状引き渡し」という言葉を聞いた事がありませんか?
名前通り「そのままの状態で車を渡す代わりに安くるするから文句は言わないでね」という意味ですが、言葉の意味を知らずに取引してしまうと、後で後悔するかもしれません。
以下、中古車販売で頻繁に使用される「○○渡し」の種類と意味について整理していきます。また、中古車販売店での売買で利用される「現状渡し」と個人売買時に利用される「現状渡し」も少し意味合いが異なるので、そこも触れています。
中古車販売店での「現状引き渡し」
中古車販売店での「現状引き渡し」とはどう意味なのでしょうか?まずは、引き渡し方法の種類から見てみましょう。
中古車販売店での中古車の引き渡し方法には、以下の3つがあります。
- ①保証付き販売
- ②整備渡し
- ③現状渡し
①保証付き販売
保証付き販売というのは、最もオーソドックスな引き渡し方法です。
中古車販売業者が中古車を売る際、販売してから引き渡すまでの間に、道路運送車両法第48条の定める6ヶ月の定期点検整備以上の整備をした上で、保証書を付けて販売することを「保証付き販売」といいます。
点検整備もして、保証書も付けてくれるので安心して車を購入する事が出来ますね。
②整備渡し
これは、販売業者が上記の整備はするものの、保証書無しで販売する方法です。
点検整備はされているので、車としての機能はしっかりと果たしてくれるでしょうが、保証書が無いので購入時には不安に思う点などは、しっかりと質問しておく必要がありますね。
③現状渡し
これは、「整備もしないし保証書もつけてくれない」引き渡し方法です。
自動車販売業者・団体は、景品表示法第11条の規定により公正競争規約を設定しており、それには「現状渡し」について以下の様に記載されています。
「保証付き及び保証なし(整備渡し)で販売する以外の中古自動車について、販売業者が保証なしで販売するもの」
通常、中古車販売店は多少の傷や不具合があっても、塗装や修理をして綺麗にしてから可能な限りの高値で販売します。しかし、それをせずに敢えてそのままの状態で販売するということは、主に以下の2つの理由が考えられます。
- 修理してもそれに見合った金額で販売が出来ない
- 修理が困難
いずれにしても、買う側としては不安ですね。中にはかなり程度の悪い車もあるので、自分で整備や修理が出来るか、整備の出来る知り合いがいない方は、「現状渡し」は避けたいところですね。
ちなみに、「現状渡し」と言えど「車が走らない・曲がらない・ブレーキが効かない」といった車としての役割が全く果たせない様な不具合が、事前の説明等も無く発覚した場合は、民法570条の「瑕疵担保責任」を主張する事で、相手方に契約の解除や損害賠償を請求する事が出来る可能性があります。
個人売買時の「現状引き渡し」
個人売買が多く行われるのは、「ヤフオク」などのネットオークションでの取引です。ネットオークションには、中古車販売店の方や車に関しては全くの素人など、様々な方が出品をしています。
基本的に、中古車のネットオークションなどの個人売買では「現状引き渡し=ノークレーム・ノーリターン」が原則です。これは、何か問題があっても「クレーム・返品は受け付けません」という意味です。
素人の方が車を売る場合は、そもそも点検や整備は自分で出来ないでしょうから、当然の様に「現状引き渡し」となってしまいます。仮に、ある程度までは売り主が自分で点検整備する自信があったとしても、それをアピールしたところで素人の言う事を誰も信用してくれません。
また、自動車販売店がオークションなどで「現状引き渡し」を謳っている場合は、上記で説明した通りです。
注:上述の様に、車の根本的な機能に不具合がある場合は、「ノークレーム・ノーリターン」を謳っていたとしても、売り主の責任として「瑕疵担保責任」を主張することが出来る可能性があります。
まとめ
「現状引き渡し」の個人と業者の意味合いの違いをまとめると、以下の様になります。
個人の場合
- 点検整備が出来ないから現状引き渡しにならざるを得ない
- 特に何の問題も無いこともあるが、実物を見てみない事には分からない
中古車販売店の場合
- 点検整備をする価値が無いか、不具合の修復が困難
- 何かしらの問題を抱えている事が多い。中には致命的な問題があることも。
車の知識があまり無い方は、現状引き渡しの車を購入するのはリスクが高いです。可能な限り業者の「整備渡し」若しくは「保証付き販売」で購入する様にしましょうね。
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