自動車を購入すると重量税や自動車税など、様々な税金を支払う必要があります。そして、支払うべき税金の1つに「自動車取得税」があります。
この自動車取得税は、自動車を新車で購入する場合と中古で購入する場合とで、計算方法が異なります。新車の場合は以下の記事を参照して下さい。
ここでは、中古車を購入した場合の自動車取得税の計算方法や課税標準額について見ていきましょう。
なお、中古車も基本的には取得価格に3%(軽自動車は2%)を乗ずれば、取得税が求められますので、簡易的に知りたいだけであれば本文を読む必要は有りません。
中古車の自動車取得税の計算方法
中古車の自動車取得税の計算は、以下の計算式で行います。
取得価額×税率(普通自動車は3%、軽自動車は2%)
地方税法108条第1項では、自動車取得税を計算する上での取得価額については、以下の様に規定されています。
第百十八条 自動車取得税の課税標準は、自動車の取得価額とする。
つまり、新車・中古車を問わず、「取得価額」としか書かれていないので、本来は購入時に実際に支払った金額が取得価額となると考えられます。しかし、各都道府県の税事務所は取得価額を実際の支払額とは切り離して、以下の計算式によって自動車取得税の計算をしています。
① 課税標準基準額×残価率=取得価額(1,000円未満切捨)
② 取得価額×税率(普通自動車は3%、軽自動車は2%)=自動車取得税額
計算式を見て分かる様に、自動車の実際の購入価額は自動車取得税の計算と直接関係がありません。
課税標準基準額の求め方
税事務所の計算方法によると、自動車取得税は「課税標準基準額」というものを基準に計算することになります。この「課税標準基準額」は、(財)地方財務協会が発行している「自動車取得税の課税基準額及び税額一覧表」の記載金額を使用しています。
この一覧表には車種やグレードごとに自動車取得税の計算に使用する基準額が掲載されており、「購入価額の90%」が1つの目安となります。
残価率の求め方
また、「残価率」は総務省が公表している「中古残価率表」の数値を使用されることになります。
参考に、「耐用年数6年の自家用車」の場合の残価率は以下の通りとなります(使用する事はありませんが、新車の場合の残価率は「1.000」です)。
経過年数 | 残価率 |
---|---|
1年 | 0.681 |
1.5年 | 0.561 |
2年 | 0.464 |
2.5年 | 0.382 |
3年 | 0.316 |
3.5年 | 0.261 |
4年 | 0.215 |
4.5年 | 0.177 |
5年 | 0.146 |
5.5年 | 0.121 |
6年 | 0.100 |
また、「耐用年数4年の自家用車(軽自動車)」の場合の残価率は以下の通りとなります。
経過年数 | 残価率 |
---|---|
1年 | 0.562 |
1.5年 | 0.422 |
2年 | 0.316 |
2.5年 | 0.237 |
3年 | 0.177 |
3.5年 | 0.133 |
4年 | 0.100 |
表を見ると分かりますが、残価率は半年毎に設定されていますよね。つまり、新車登録年月日から「半年毎に自動車取得税の金額は下がっていく」というとこです。
中古車の自動車取得税の計算例
新車価格500万円の車(耐用年数6年)を2年落ちで購入した場合
(500万円×0.9×0.464)×3%=62,600円(100円未満切捨)
ちなみに、新車で購入した場合は135,000円(5,000,000円×0.9×3%)なので、2年落ちで自動車取得税は約半額ということですね。
なお、上記の計算方法は滋賀県の様に公表している場合があります。
中古車については、通常、課税標準基準額に初度登録年からの経過年数に 応じた一定の残価率を乗じて得た金額を基に、自動車取得税を計算します。
一方で、香川県の様に計算方法の公開請求を受けて「非公開」としたことに関する情報公開審査会の答申が出ている場合もあるので、実際にどの様な方法で計算されているかを知りたい方は、各都道府県に問い合わせる様にして下さいね。
【参考】業務用自動車の取得税は経費計上が可能
ちなみに、業務用の自動車を購入した際の自動車取得税については、納付額が確定した年度の必要経費として計上することが出来ます(取得価格に含めて減価償却することも出来ます)。
一方、自動車取得税は消費税の「不課税取引」となるので、納付しても仕入税額控除は受けられません。(参考:車両購入時の仕訳)
取得価額が50万円以下の中古車は非課税(正確には免税)
自動車取得税は、免税点が設定されており、平成30年3月31日までに取得された中古車の取得価額が50万円以下の場合は課税されません(免税)。根拠条文は地方税法第百二十条及び地方税附則第十二条の二の四です。
なお、この取得価格は購入金額のことではなく、上記の計算式で計算した残価率を考慮した後の取得価格のことです。
中古車もエコカー減税の対象と成り得る
平成27年度税制改正により、排出ガス性能や燃費性能が優れている減税対象車(電気自動車やプラグインハイブリッド車)を中古車で購入した場合、自動車取得税の計算上「取得価額から最大45万円控除」することが出来ます。
詳細は下記記事を御覧ください。
【参考】無料で貰った車にも自動車取得税は課税される!
自動車取得税は、ただで貰った車や、親族等から著しく低い金額で買い取った車などに対しても課税されます。この場合、自動車取得税の計算は地方税法第118条2項が定める様に、「通常の取引価額」を取得価額とみなして行う事になります。
2 次に掲げる自動車の取得については、その取得の時における当該自動車の通常の取引価額として総務省令で定めるところにより算定した金額を前項の取得価額とみなす。
一 無償でされた自動車の取得又は自動車を譲渡した者が親族その他当該自動車を取得した者と特殊の関係のある者で政令で定めるものである場合その他特別の事情がある場合における自動車の取得で政令で定めるもの
(以下省略)
そして、「通常の取引価額」は新車の場合は新車販売価額ですが、中古車の場合は地方税施行規則第8条の14で以下の様に定められています。
自動車の小売販売業者が通常の取引形態により、購入者に対し自由に販売のため提供するものとした場合における当該自動車の販売価額に相当する金額とする。
つまり、「取得した車と車種・年式・状態が似ている車の一般的な小売価額」を採用するという事ですね。支払いをする時はお住まいの地域の県税事務所等へ相談して下さい。(自動車取得税の所管は都道府県です。)
【参考】消費税が10%になる時点で自動車取得税は廃止!
自動車取得税は、平成26年3月31日までは「取得価額の5%」に対して課税されていました。しかし、平成26年4月1日に消費税が8%に上がったことで、自動車取得税は「取得価額の3%」に引き下げられました。そして、消費税が10%に上がる時点で自動車取得税は廃止される予定となっています。
税金は非常にややこしいので考えるのが大変ですが、悪徳な中古車屋などはユーザーが取得税の知識が無いのを良いことに、余分に取得税を請求してきたりします。最低限の知識だけは付けておくようにしましょう。