自動車を取得したときに払う税金の1つに「自動車取得税」と呼ばれるものがあります。
消費税との二重課税だ!なんだ!という声がありますが、我々一般人はお国が決めた通りに支払う以外に手段はありません・・・。
ここでは、自動車取得税を誰が納付する必要があるのか、どの様に計算されるかなどについて見ていきましょう。(本文でも書きますが平成31年10月には廃止される予定です。)
自動車取得税の納税義務者
自動車取得税は、自動車を取得した方に対して課される税金で、新車や中古車を購入したときだけでなく、車を無料で貰った場合などでも課税されます。
また、自動車をローンで購入した場合は、所有権が販売店やローン会社のままであることが多いですが、この場合も購入者に対して課税されます。
なお、自動車取得税は地方税ですので、納付先は「都道府県」となります。
計算式・税率
自動車取得税は以下の計算式によって計算されます。(参考:地方税法118条第1項・119条)
取得価額(課税標準)×税率(普通自動車は3%、事業用自動車や軽自動車は2%)
なお、中古車の場合は計算方法が異なります。
中古車の自動車取得税の計算方法と課税標準額
自動車取得税の計算では、計算式にある「取得価額」がポイントとなります。この取得価額は、「課税標準基準額」と呼ばれる地方財務協会が発行する「自動車取得税の課税標準基準額及び税額一覧表」で定められた金額に、エアコンやカーナビなどの付加物(オプション)が有る場合にはその金額をプラスした価額、が採用されています。
そして、この「課税標準基準額」は新車の「メーカー希望販売価格の90%」が1つの目安とされています。
従って、目安の金額を算出する場合、以下の計算式に読み替えることが出来ます。
①(新車価格×0.9)+付加物の価額=取得価額
②取得価額×税率=自動車取得税額
なお、新車の場合は当てはまることはまずないでしょうが、「取得価額が50万円以下」の場合は自動車取得税は課されません。
また、地方税法第126条で規定されている様に、購入した自動車の性能が悪かったり、納車されたものの注文した色と違うかった、などの理由により取得した日から1ヶ月以内に自動車を購入したディーラーに返品した場合、納付した自動車取得税を還付して貰うことが出来ます。
第126条 道府県は、自動車販売業者から自動車の取得をした者が、当該自動車の性能が良好でないことその他これに類する理由で総務省令で定めるものにより、当該自動車の取得の日から1月以内に当該自動車を当該自動車販売業者に返還したときは、その者の申請により、当該自動車の取得に対する自動車取得税額が既に納付されているときはこれに相当する額を還付し、当該自動車取得税額がまだ納付されていないときはその納付の義務を免除するものとする。
付加物は取得価額に含まれる!
自動車取得税の課税標準は「取得価額」ですが、これには上記の通り車両本体価格だけでなく、「カーナビ等の付加物」の金額も含まれます。一般的に、この付加物は「自動車の取付用品」と言われているものを指しており、ネジ等で自動車に固定されたものが対象となります。
具体的にはどの様なものが付加物として扱われるのでしょうか?以下見てみましょう。
付加物として取得価額に含まれるもの
- カーナビ
- ETC車載器
- (バック)カメラ
- オーディオセット
- スピーカー
- エアバッグ
- 盗難防止装置
- エアコン
- ライター
- その他、車に付加して一体となっているもの
なお、登録や納車時点で取りつけられていなくても、契約書等で付加物を取りつけることが明らかな場合は取得価額に含められます。
また、付加物の価額として取得価額に加えるのは、消費税(及び地方消費税)を含まない金額です。(*1)
*1 先程も書きましたが車両本体部分に関しては、別途定められている金額に基づき取得税を計算することになるので、消費税等々が含まれた金額に取得税がかけられるのかどうか、という部分は問題になりません。
付加物として扱われないもの
- カバー類
- マット類
- ヘッドレスト
- チャイルドシート
- スペアタイヤ
- タイヤチェーン
- 標準装備の工具
計算例
以下の前提条件で、自動車取得税がいくらになるか見てみましょう。
新車販売価格:500万円
付加物の金額:40万円
車の種類:自家用普通自動車
前提条件を元に、自動車取得税を計算すると147,000円となります。
①(5,000,000円×0.9)+400,000円=4,900,000円
② 4,900,000円×3%=147,000円
エコカー減税
排ガス性能や燃費性能が優れた車の場合、自動車取得税は軽減されることがあります(参考:国土交通省)。自動車取得税が非課税となる対象車には、以下のものがあります。
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- 天然ガス自動車 ※1
- プラグインハイブリッド自動車
- クリーンディーゼル自動車 ※2
※1:平成21年排ガス規制NOx10%以上低減
※2:平成21年排ガス規制適合の乗用車
また、ハイブリッド車を含むガソリン車の場合、排ガス性能で「平成17年排ガス規制75%低減」を満たした上で、以下の様に燃費基準の達成状況に応じて自動車取得税の軽減を受ける事が出来ます。
平成27年度燃費基準の場合は、以下の通り。
達成状況 | 控除額 |
---|---|
達成 | ー |
+5%超過 | 20%軽減 |
+10%超過 | 40%軽減 |
平成32年度燃費基準の場合は、以下の通り。
達成状況 | 控除額 |
---|---|
達成 | 60%軽減 |
+10%超過 | 80%軽減 |
+20%超過 | 非課税 |
詳細には下記記事を御覧ください。
自動車取得税の減免
身体障害者(障害者手帳のある方)や、知的・精神障害者の方は自動車取得税の減免を受けることが出来ます。ただし、これは適用要件や金額が自治体によって異なるので、お住まいの役所に問合せをする様にして下さい。
参考に、東京都の場合は新しく登録した日から1ヶ月以内に申請する事で、「課税標準額300万円相当分に税率を乗じて得た額」を上限に、自動車取得税の減免を受ける事が出来ます。
どういうことなのか、計算例で見てみましょう。
課税標準額(計算式上の「取得価額」)が350万円の自家用乗用車の場合、
(350万円×3%)-(300万円×3%)
10万5千円-9万円=1万5千円
結果、「1万5千円」が自動車取得税となります。
つまり、税額ベースで減免額を算出するということですね。
注:自動車を障害者の為に特別な改造をした場合は、その改造費用を上記の上限額300万円に加算して減免額を計算することが出来ます。
減免の申請をするには、以下の書類が必要となります。
- 減免申請書
- 障害者手帳の原本
- 運転免許証(コピー可)
- 印鑑(認印可)
なお、障害者と生計を一にする方が自動車を取得し、障害者が運転したり、障害者の為に運転する場合は、別途「自動車を取得する方の運転免許証等の住所が分かる書類」「戸籍謄本等の親族であることが証明出来る書類」が必要となります。
改正の推移や今後の予定
自動車取得税は、昭和43年(1968年)に創設された地方税で、当初の税率は「3%」でした。その後、昭和49年に税率の改正が行われ、自家用の普通自動車が「5%(軽自動車は3%のまま)」に引き上げられました。
そして、先般の消費税「5%→8%」への増税時に、「自家用普通自動車:3%、軽自動車:2%」に引き下げられています。
さらに、今後消費税が10%に上がるタイミングで、自動車取得税は廃止される予定となっています。
■参考記事
並行輸入車の自動車取得税の決め方・計算方法