車が思った以上に高く売れた!これってもしかして税金かかるの?
こういう疑問を持つ方は多いです。結論から書きますが、個人が車を売却して収入を得たとしても、ほとんどの場合で税金はかかりません。
ただし、個人がレジャー用に保有している自動車の売却益は原則として”課税対象”です。所得税の計算上、税金が発生しない人がほとんどというだけであって、多額の利益が発生しているなら税金はかかります。
従って、車を売却した時は一度税金を計算して見ることをおすすめします。(詳細は「個人のレジャー用自動車の売却は原則課税対象」のセクションを御覧ください。)
なお、車を売った時の税金の問題は結構色々複雑です。以下では様々なケースに分けて、車の売却に関する「税金」を全般的に見ていきたいと思います。
この記事では原則として「給与所得者である個人」が車を売却した場合に課税されるかどうか?を解説しています。

車の売却代金に所得税はかかる?
“給与所得”や”事業所得”など個人が得る所得には色々な種類の所得が有り、その所得の性質に応じて全部で10種類の所得に分けられます。(国税庁:所得の区分のあらまし)
基本的に、物を売ったりサービスを提供して貰ったお金は「所得税の対象」となります。そして、不動産や動産を売却して利益が出た時は「譲渡所得」として確定申告をする必要があります。
しかし、例えば家にあった冷蔵庫や棚など、日常生活に必要な物を売ったからといって、毎回の様に利益が出たかどうかを計算して確定申告をするのは大変ですよね。
そこで「生活に通常必要な動産については売却しても所得税はかからない」という決まりになっています。
従って「自動車が生活に通常必要な動産に分類されるか否か」が問題になってきます。この点、車の種類や使用目的に応じて判断が異なりますので、以下1つずつ分けて紹介していきたいと思います。
通勤用の自動車の売却は原則非課税
国税庁のホームページでは、以下の様に記載されています。
所得税の課税されない譲渡所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
上記の「所得税の課されない譲渡所得」の中に具体例として「通勤用の自動車」がありますよね。つまり「通勤用の自動車を売却して利益が出ても所得税が課されない」ということです。
個人のレジャー用自動車の売却は原則課税対象
続いて気になるのが「通勤用に使っていないレジャー用の自動車」の売却です。
レジャー用の自動車については「平成14年2月26日の裁決事例」や、いわゆる「サラリーマン・マイカー訴訟」の様に、自動車が生活に通常必要な動産かどうかという点でよく争われています。
上記リンク先を見る限り、結果としてはあくまでも通勤用に使っていない自動車は生活用動産としては認められない様です。つまり、純粋にレジャー用として使っていた車を売った時は原則として所得税の課税対象となる、ということです。
但し、原則課税されると言っても譲渡益が50万円以上出ている場合しか課税されません。よっぽどの希少車や人気車以外で譲渡益が50万円以上になることは通常考えられません。
従って、原則課税対象とはいえ、個人がレジャー用自動車を売却した時に課税される可能性は極めて低いと言えます。譲渡益の計算方法については下記記事を参考にして下さい。
高級スポーツカーを通勤用自動車として使っている場合
上述の様に、通勤用自動車は「生活に通常必要な動産」に該当するため、売却益が出たとしても所得税はかかりません。一方で、国税庁のホームページには以下の様な記載もあります。
しかし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税されます。
要は、贅沢品は日常生活に欠かせない物では無いから「贅沢品を30万円を超える金額で売却した場合は利益に対して税金を課しましょう」ということです。
これを車に置き換えると「フェラーリ」や「ポルシェ」などの高級車は、いわば贅沢品です。レジャー用に使っていた高級車を売却して利益が出たのであれば間違いなく課税されます。(但し金額が小さければ高級車でも非課税ですが。)
では、このような高級車を通勤用自動車として利用していた場合はどうなるでしょうか?贅沢品である「フェラーリ」や「ポルシェ」のような車でも、通勤用自動車として使用していれば、「生活に必要な動産」と判断され、いかなる場合でも売却益に課税される事は無いのでしょうか?
この点、一般的には高級なスポーツカーなどを売却した場合は、生活に通常必要な動産とは言えないとして「所得税の課税対象になる」と言われています。
高級スポーツカーが唯一のマイカーで、通勤もそれで行く!という方であれば、「生活に通常必要な動産」になる可能性もゼロではないかも知れませんが、フェラーリやポルシェが一般的に贅沢品と判断される可能性が高い以上、「生活に通常必要な動産」として認めてもらうのは難しいかもしれません。
ただ、この点に関しては、課税か非課税かの具体的な線引きがある訳ではないので、課税対象になるかどうかは税務署や税理士に相談する様にしましょうね。
まとめ
以上をまとめると、自動車の売却に対する取り扱いは以下のようになります。
区分 | 税金 |
---|---|
通勤用 | 原則非課税 |
レジャー | 原則課税 (但し、譲渡所得の計算上非課税になるものがほとんど) |
高級車 | 税務署に相談 |
他にも、通勤用ではなくて通学用の自動車はどうなるのか?と言った問題など色々と論点は有りますが、一般的な大衆車に乗っているのであれば、生活に通常必要な動産とは認められなかったとしても、譲渡所得の計算上課税される事はほぼ無いと言えます。
車の利用状況等々によっても判断が変わってくる可能性も有るので、気になる人は税務署に相談して聞いて見るようにして下さい。
この記事では原則として「給与所得者である個人」が車を売却した場合に課税されるかどうか?を解説しています。
消費税は払う必要なし
消費税は「事業として」物を売ったりサービスを提供した場合に納税義務が発生します(参考記事:国税庁)。
サラリーマンや主婦の方などは、車を売ったとしても「事業として」売却した訳ではないので、消費税を納税する必要はありません。
【参考】事業用の自動車の場合
個人事業主の方が事業で使っている自動車を売却した場合は、高級な物かどうか・生活に必要な動産かどうかに関わらず「事業用の固定資産の譲渡」として所得税の課税対象となり、「譲渡所得」として確定申告をする必要があります。
また、消費税についても課税対象となるので注意が必要です。(参考記事:国税庁)
【参考】申告しなくてもバレない!?マイナンバーとの関係から
いくら売却代金が多かったからと言って、マイカーの売却程度で確定申告なんかしたくないなぁと思っている人は多いでしょう。
では、確定申告する必要が有るのにしなかった場合(売却の事実を黙っていた場合)、その事実はバレてしまうのでしょうか?2016年1月からマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が始まったので気になる人もいますよね。
マイナンバー制度が始まり、中には「個人の事が何でも国にバレてしまう!」と思っている方がいます。
しかし現在のところ、マイナンバー制度は一般の方にとっては、社会・雇用保険関係や税金関係の届け出等に関係する程度で、何でもかんでもマイナンバーで管理するという訳ではありません(将来的には幅広く活用されるかもしれませんが)。
従って、マイナンバー制度が始まったからといって、確定申告をしなかった時にすぐにバレるのか?というと、そういう訳ではありません。
ただし、不動産や車といった登記や車検などの登録が必要なものについて、基本的に税務署は権利関係の動きを把握をしていると言われています。従って、税務署は既に売買の事実を知っていると思った方が無難ですね。
確定申告の義務が有るのであれば必ず申告するようにしましょうね。
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