「車のダッシュボードに車検証と一緒にリサイクル券が入ってるけど、これ何に使うの?」
「リサイクル券を無くしてしまったけど再発行できるの?」
車を持っている方なら必ず持っているはずのリサイクル券(預託証明書)。車査定時にも必要な、大切な書類です。
しかし、持っているだけで、「そもそもリサイクル券が何なのか」や「何が記載されているのか」について知らない方が多い様な気がします。
また、普段使う事が無いからか、リサイクル券を紛失してしまう方も結構いる様ですね。
そこで、ここではリサイクル券が何なのかや紛失時の再発行手続きなどについて紹介していきますね。
リサイクル券(預託証明書)とは?
リサイクル券(預託証明書)とは、自動車リサイクル法で定められている「リサイクル料金」を支払ったことを証明する書類(預り証)です。
これだけでは分かりにくいので、簡単にリサイクル制度の概要も説明しておきますね。
日本では、昭和40年頃から急速に自動車が普及して(毎年100万台ずつくらい増えた!)、生活がとても便利になりました。
平成29年末時点では、自家用車の数が約61百万台になっており(参照元:自動車検査登録情報協会)、実に日本人2人に1台くらいの割合で車を持っている事になります。
しかし、車が増えて生活が便利になる反面、廃車も増え続けるという問題が生じました。
車の部品の多くはリサイクルが可能なのに、「無駄に捨てられていた」という訳ですね。
そこで、これ以上車を廃車にした際のゴミを増やさない様に、車のメーカーや関連業社に対して自動車のリサイクルを義務にしたのです。
リサイクルの対象として指定されているのは、具体的には以下の3項目となります。
- シュレッダーダスト
- エアバッグ
- フロン類
参考:リサイクル料には、上記の他に情報管理料金と資金管理料金とが含まれています。
リサイクル料金は、車種によって異なるので一概には言えませんが概ね以下の様な感じです。
種類 | リサイクル料金の目安 |
---|---|
軽・小型乗用車 | 7,000円〜16,000円 |
普通乗用車 | 10,000円〜18,000円 |
中・大型トラック | 10,000円〜16,000円 |
大型バス | 40,000円〜65,000円 |
そして、これらをリサイクルする為の費用を負担するのは、車の所有者です。
リサイクル券は、このリサイクル料を負担した事を証明してくれる大事な券なのです。従って、大事に保管しておかなければなりません。
自動車リサイクル法やリサイクル料金についてより詳しく知りたい方は、下記記事をご確認ください。
リサイクル券の実物紹介と記載内容(A券・B券・C券・D券)の説明
リサイクル券って、じっくりと見る機会があまり無いですよね。実際のリサイクル券がどんなものなのか、実物を見てみましょう。
上の画像を見れば分かる様に、リサイクル券にはA〜C券までの3種類があります(実際にはD券を含めた4種類ですが、D券は発行者が保存しているため、画像には有りません)。
そして、4種類のリサイクル券は、以下の様にそれぞれ異なった意味・役割を持っています。
以下で、それぞれのリサイクル券の意味や役割について見てみましょう。
A券は預託証明書
A券はリサイクル料金の「預託証明書」です。
預託金額がいくらかを知りたいときに見ます。
なお、A券は廃車時に引取業者等に渡すために必要となります。
B券は使用済自動車引取証明書
B券は「使用済自動車引取証明書」と呼ばれる書類で、車を廃車にするときに引取業者に引き渡す際に、引取業者に渡すと必要事項を記入して最終の所有者に交付してくれます。
この必要事項が記入されたB券をもって、資産として計上されたリサイクル預託金を費用処理することが出来ます。
C券は資金管理料金受領証
C券は「資金管理料金受領証」です。支払った資金管理料金の領収書としての役割があるので、自動車を購入した際は、ここに記載されいてる金額を費用として処理することになります。
D券は料金通知書兼発行者控え
D券は「料金通知書兼発行者控え」です。
リサイクル券の発行者が控えとして保存しておく書類なので、自動車の所有者が目にする事は基本的に有りません。
購入・売却・廃車時のリサイクル券の取扱い〜中古車のリサイクル券はどうなる?〜
上述の通り、車を新しく購入した方は、購入時にリサイクル料金を支払う必要が有ります。
しかし、必ずしも新車で買った方が廃車にするとは限らないですよね。途中で売るかもしれないですし、初めから中古で買うという方もいるでしょう。
では、車を売ったり廃車にした様な場合、リサイクル券はどうすればいいのでしょうか。
以下で見ていきましょう。
車を購入した時の取扱い
新車を購入した場合、購入時にリサイクル料金を支払う必要があります。
ディーラーからの請求明細にはリサイクル料金の金額が書かれているので、購入と同時にリサイクル料金も支払った事になり、納車時に車検証と一緒にリサイクル券を貰う事が出来ます。
車を売却した時の取扱い
中古車を業者に販売した場合は、リサイクル券も一緒に業者に渡す必要が有ります。
そして、下図の様に業者から中古車を購入した次の所有者が、リサイクル券を受け取る事になります。
(参照元:自動車リサイクルシステム)
リサイクル券はそれ単体で預り証としての価値があります。従って、中古車を売る場合は「車両の価値+リサイクル料金」が業者から受け取れるはずなのですが、実際はそうもいかない様です。
廃車にした時の取扱い
そして、廃車にする場合は自動車の「最終所有者」が、引取業者に使用済みの自動車を引き渡し、フロン類回収業者や解体業者、シュレッダー業者等に順次自動車や廃車のガラが引き渡されていく事になります。
引取業者に使用済み自動車を引き渡す際、最終所有者はリサイクル券を引取業者に渡します。
すると、必要事項を記入した「B券」を引取業者から返してもらえるので、これで最終所有者としての手続きは完了です。
車検時にリサイクル券は必要?
自動車リサイクル法は平成17年1月に施行された法律です。施行後に新しく自動車を購入した方は、購入時にリサイクル料を支払うことになります。
しかし、施行前から自動車を持ち続けている方は、リサイクル料金を支払うタイミングが無い為、自動車リサイクル法の施行後、平成20年1月31日までに車検を受ける方は、時限措置により車検時にリサイクル料金を支払う必要がありました。
この時限措置は平成20年1月31日で終了しているので、現在は車検時にリサイクル料金に関する手続きを行う必要はありません。
従って、リサイクル券も車検時には特に必要が無く、仮にリサイクル券を紛失していたとしても問題なく車検を受ける事は出来ます。
リサイクル券はどのように保管すればよい?
リサイクル券は、「自動車リサイクル法に基づいて必要なリサイクル料金を支払った」ということを証明するものです。
普段使う事はないですが、車を売ったり廃車にする際には必要となります。
従って、大事に保管しておかなければなりません(後述する様に、万が一紛失しても何とかなりますけどね)。
しかし、だからといって「貸金庫に入れておく!」なんてことは必要ありません。
車検証と共にダッシュボードに入れておけば大丈夫です。
ダッシュボードに入れておけば、「どこに置いたか忘れた」って事もないでしょう。
自動車のリサイクル券を紛失したらどうすればいい?再発行はできる?
「リサイクル券を無くしてしまったけど、再発行すればいいよね」なんて軽く考えていませんか?
残念ながら、リサイクル券は1度紛失をしてしまうと再発行をして貰う事は出来ません!
だからこそ無くさない様にしなくてはならないのです。
と、少しキツめに言ってみましたが、そうは言っても紛失する方はいますよね。
「紛失したらどうしようもないのか?」というとそういう訳ではありません。
紛失した場合は、「自動車リサイクル料金の預託状況」を入手すれば、リサイクル券の代わりとして使用する事が出来る様になっているのです。全く同じものを再発行する事は出来ないけど、代わりのものは入手できるという訳ですね。
そこで、以下で「自動車リサイクル料金の預託状況」の取得方法を説明しますね。
手続き自体は簡単ですが、車検証の記載内容が必要となるので手元に車検証を用意しておいてください。
まずは、自動車リサイクルシステムのホームページ(自動車ユーザーの方のページ)に行きます。
注:システムの利用可能時間帯は7:00〜24:00です。
オレンジ色の「リサイクル料金検索」をクリックしましょう、クリックすると以下の画面が別ウィンドウで開きます。
必要なのは3ステップです。以下で1つずつ見ていきますね。
まずは、自分の車の車両区分を選択します。「登録自動車か軽自動車か」という事ですね。
そして、車検証に記載されている車台番号の下4桁を入力します。
注:車台番号に漢字が使われている場合は全桁入力。
次に、「登録番号/車両番号」を選択し、自動車の登録番号(ナンバープレートの数字)を記入します。
なお、支局名は手入力とプルダウンリストとが有りますが、手入力の方を入力すればOK。
最後に、利用目的を選びます。今回は「リサイクル料金の預託状況」が必要なので、上のポチを選択しましょう。
ここまで出来たら、画面右下の「検索」をクリック!
リサイクル券の番号や「預託済み」の文字が表示されましたね。これをプリントアウトして持っておけばOKですよ。
再発行自体は出来ないのですが、リサイクル券の番号や預託の状況は簡単に知る事が出来るので、リサイクル券を紛失しても焦らない様にしてくださいね。
参考:廃車時にリサイクル券がない場合、廃車引き取り業者にその旨伝えれば業者の方で調べてくれるのが一般的です。
【輸出時】リサイクル料の還付手続きについて
リサイクル料金は、廃車・解体されることになった場合に、処理費用として業者に支払われる事になります。
従って、自動車を持っている方がリサイクル料金の還付を受ける事は基本的に有りません。
但し、自動車リサイクル法はあくまでも日本国内の車に適用される法律なので、海外に輸出された場合は、もはや国内で廃棄・解体されることはないのでリサイクル料金は必要有りません。
従って、中古車を海外に輸出した時だけは例外的に申請することで還付を受ける事が出来ます(還付を受けられるのはあくまでも「最終所有者」なので、輸出業者となります)。
リサイクル料金の還付手続きは自動車リサイクルシステムの「資金管理システム」からインターネット上で手続きをする事が出来ます(書類を取り寄せて手書きで申請を作成し提出することも可能です)。
リサイクル料の還付申請に必要な書類
還付申請には、以下の書類が必要となります(パソコンで還付申請をするには、予め資金管理システム上で輸出業者として登録をしておく必要があります)。
- ①再資源化預託金等の取戻し申請書
- ②輸出抹消仮登録証明書 ※
- ③輸出許可証通知書の写し
- ④船荷証券か運送契約書の写し
※:「輸出予定届出証明書」「登録事項等証明書」「検査記録事項等証明書」の何れかの写しでも可
①については、インターネット上で申請(提出)が出来ますが、②〜④については申請後に郵送する必要が有ります。
事務手数料
リサイクル料金の返金には、事務手数料が必要となります。
そして、パソコンで申請する場合と書面で申請する場合(一般申請)とで、以下の様に手数料が異なります。
- 一般申請 ・・・750円/台
- パソコン申請・・・340円/台
なお、リサイクル料金の還付を受ける場合、預けていた期間に応じて一定の利息を受け取ることが出来ます(上記の事務手数料を差し引いた金額が還付されます)。
参考までに、平成26年度は「1.163%」の利率が適用されています。
還付されるまでの日数
還付申請が受理されると、申請者毎に毎月末に取りまとめされ、翌月25日(25日が土日祝日の場合は前営業日)に指定した口座に振込されます。
最後に
車を持っている方であればみんな持っているはずのリサイクル券。
しかし、実際には持っているだけで内容について知らない方が多いので、リサイクル券について色々解説してきました。
リサイクル券は、自分が乗っている車のリサイクル料金を負担した証です。しっかりと保管しておきましょうね。
ただし、大切にしていても無くしてしまう事が有りますし、中古車を買った場合は前所有者がリサイクル券を紛失しているケースも有ります。その様な場合は、「リサイクル料金の預託状況」を取得する様にしましょう。