車を購入しようと思った時、「自動車リサイクル法」という言葉が目について、気になっていませんか?
ネットを見ても、自動車リサイクル法について堅苦しく解説している記事ばかりで、一体何のことやら、さっぱりわかりませんよね。
しかし実は自動車リサイクル法は、究極的に「自動車業者だけが理解すべき知識」だということをご存知でしょうか。
自動車リサイクル法そのものは、業者が車のリサイクルを確実かつ正確に行うために課せられたルールのことなので、あなたのような消費者が知るべきことはそこまでないのです。
ただし、2つだけ知らなければならないことがあります。それはリサイクル料金の「支払い額」と「返金」についてです。
自動車を購入する際、自動車リサイクル法に基づき、あなたはリサイクル料の支払いをしなければなりません。
そして、その車を売却する時、リサイクル料の返金を受けます。
このように一般的な消費者であれば、自動車リサイクル法については、リサイクル料金の「支払い」と「返金」のことだけ理解しておけばいいのです。
もしこの事実を理解してなければ、必要以上に自動車リサイクル法を難しく考えてしまい、あなたにとって本当に必要な情報を見逃してしまうかもしれませんよ?
しかし、ご安心を。今回は自動車リサイクル法の概要をわかりやすく解説していくとともに、消費者であるあなたが知るべき「支払い額」や「返金」についても解説していきます。
自動車リサイクル法について知っておきたいという人にとって、必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
自動車リサイクル法とは?概要を解説
そもそも「自動車リサイクル法」とは、何なのでしょうか。
自動車リサイクル法とは、自動車に関わる業者向けに作られた法律であり、地球環境にやさしい自動車のリサイクル方法について記された法律です。
日本では、年間おおよそ500万台程度の自動車が使用済み(廃車)となっています。(参考:国土交通省)
自動車は部品に鉄やアルミなどが多く使われているため、廃車となった後は、部品全体の8割程度がリサイクルされますが、残りの2割程度は廃棄処理(埋立処理)されます。
当然、埋立スペースには限りがあるので、「不法投棄されるのでは?」との懸念が広がりますよね。
また、フロン類のように、適切な方法で処理しないと環境破壊に繫がるものもあります。
そこで2005年1月に生まれたのが「自動車リサイクル法(正式名称:使用済自動車の再資源化等に関する法律)です。仕組みとして以下のようになります。
※画像出典:国土交通省「自動車リサイクル法について」より
元々廃棄されていた残り2割の部品を含むリサイクルの義務化や、自動車所有者が処理費用(リサイクル料金のこと。詳しくは後述)を負担することをルールとして課しました。
なお、自動車リサイクル法により適正処理された車のリサイクル率は非常に高く、車の部品の殆ど全てがリサイクルされていることになります。
自動車リサイクル法には対象となる車は?
自動車リサイクル法は、トラックや特殊自動車なども含む全ての自動車を対象としています。
ただし、以下の自動車等は対象外となっていますよ。
- 被けん引車
- 二輪車
- 大型(小型)特殊自動車
- 農業・林業機械、スノーモービルなど
上記の車は自動車リサイクル法のルールに則る必要はありません。当然ながらリサイクル料も発生しませんよ。
なお、二輪車は自動車リサイクル法の対象ではありませんが、2004年10月から二輪車のメーカーなど15社が集まって、独自に「二輪車リサイクルシステム」としてリサイクルに取り組んでいます。
自動車リサイクル法で発生するリサイクル料金の意義や内訳
ここまで自動車リサイクル法の概要について紹介しましたが、消費者にとってダイレクトで関係があるのは「リサイクル料金」です。
自動車リサイクル法に基づいて、私たちは車を購入する時にリサイクル料金を支払う必要があります。
リサイクル料金は「公益財団法人自動車リサイクル促進センター」が収受や管理、運用を行っており、料金の内訳は以下の5種類となっています。
料金内訳 | 補足説明 |
---|---|
シュレッダーダスト料金 | シュレッダーダストは必要な物を取り除いた後の、いわゆるゴミのことで、ウレタンや繊維、ガラス等で構成されています。ウレタンや繊維は「熱エネルギー」としてリサイクルされ、ガラス等は舗装材などとしてリサイクルされます。 |
エアバッグ類料金 | エアバッグ類の安全かつ適正な処理には専門技術が必要となります。また、金属部分は資源としてリサイクルされることになります。 |
フロン類料金 | エアコンに含まれるフロン類は、放っておくと地球温暖化に繫がるので無害化する必要があります。 |
情報管理料金 | システムの維持・運用、コンタクトセンターの運営費用等に使われます。 |
資金管理料金 | 自動車リサイクル促進センターがリサイクル料金を管理・運用するための料金です。主に、資金管理業務に必要な人件費や施設管理費、情報システム機器のリース費用、メンテナンス費用、リサイクル料金の収受に必要な委託手数料などが含まれています。 |
なお、預かったリサイクル料金は、将来の支払に備えて国債や地方債、政府機関債などで運用されています。
なぜリサイクルを支払う必要があるのか
リサイクル料金を自動車の所有者に負担させるのは、「自動車の所有者には使用済み自動車の排出者としての責任がある(排出者責任)」からとされています。
廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減に関しては、その一義的な責任を排出者が負わなければならないとの考えのもと、自動車リサイクル法においては、クルマの所有者に使用済自動車の排出者として処理費用をご負担頂くこととしています。ぜひともご理解を頂きますようお願い致します。
※出典:経済産業省「自動車リサイクル法とは」より
つまりはお金を出すことによって当事者意識をもたせ、「廃棄に対してそれ相応の責任を感じてくれ」ということですね。
少々納得のいかない部分もあるでしょうが、「有料ゴミ袋」と同じ解釈だと考えると腑に落ちるのではないでしょうか。
リサイクル料金を支払うタイミング
リサイクル料金は「車を購入した時」に、販売店に対して前払いで支払うことになります。
なぜ前払いなのかというと、厳密に言うとリサイクル料金は廃車したときに発生するから。
そのため、廃車せずに売却した場合は、前払いしたリサイクル料金を返金してもらうことができますよ。(詳しくは後述)
リサイクル料金を支払うと下記のような「リサイクル券」が発行されます。
後々に返金してもらうためにも必要ですから、車を売るか廃車にするまで大切に保管しておく必要があります。
リサイクル料金の目安
リサイクル料金の目安はメーカーや車種によって異なっているので、一概にいくらという事は出来ないですが、自動車リサイクルシステムで車体番号等を入力すると、自分の車のリサイクル料金がいくらなのかを調べる事ができます。
また、おおまかなリサイクル料金の目安(シュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類の合計)としては、以下の通りとなりますよ。
種類 | リサイクル料金の目安 |
---|---|
軽・小型乗用車 ※1 | 7,000円〜16,000円 |
普通乗用車 ※1 | 10,000円〜18,000円 |
中・大型トラック ※2 | 10,000円〜16,000円 |
大型バス ※2 | 40,000円〜65,000円 |
※1:エアバッグ類4個、エアコン有りの場合
※2:エアバッグ類2個、エアコン有りの場合
上記の金額に加えて、以下の料金が必要となります。
- 新車購入時 ・・・資金管理料金380円(※)+情報管理料金130円
- 車検・廃車時・・・資金管理料金480円+情報管理料金130円
※:「新車購入時」の資金管理料金が「車検・廃車時」よりも安いのは、リサイクル料金の収受に必要な費用に差があるためです。
ちなみに、法人や個人事業主が車を購入した場合、リサイクル預託金には特有の仕訳があるので、間違えない様に注意が必要です。
URLが見つかりません。リサイクル料金の調べ方
ざっくりとしたリサイクル料金の相場について紹介しましたが、具体的なリサイクル料金の調べ方もレクチャーしておきましょう。
「自動車リサイクルシステム」のホームページにアクセスし、「自動車ユーザー向け」ページをクリックしましょう。以下のようなページが出ます。
※画像出典:自動車リサイクルシステム「自動車ユーザーの方」より
青丸で囲った「リサイクル料金検索」をクリックしたら、車体情報を入力する画面が出ますので、入力していきましょう。
なお、手元に車検証がないと入力すべき情報がわからないので、事前に用意しておくのをオススメします。
※画像出典:自動車リサイクルシステム「自動車ユーザーの方」より
一通り入力したら「リサイクル料金の預託状況」をクリックします。すると以下のような画面が出力されますよ。
※画像出典:自動車リサイクルシステム「自動車ユーザーの方」より
下の部分に「合計」という箇所がありますが、そこに表示されているのが具体的なリサイクル料です。
言い換えれば、車を売却してもらった時、のちのちに返金してもらえるお金でもあります。上記の場合は、「9,260円」が返ってくるというわけですね。
自動車リサイクル法におけるリサイクル料金の使い道
自動車の所有者が支払ったリサイクル料金は、廃車になるか(または輸出される)までは、「自動車リサイクル促進センター」が管理します。概要としては以下のようになりますよ。
※画像出典:環境省「自動車リサイクル関連」より
リサイクル料金は自動車が実際に廃車になった場合、リサイクルを行うメーカーに払い渡します。
その後、メーカー経由でシュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類を処理する業者に渡される事になります。また、輸出の場合は、輸出した業者に返還されることに。
なお、以下の場合、リサイクル料金は「離島対策や不法投棄対策」などに活用されることとなります(参考:自動車リサイクル促進センター)
- 自動車が輸出されたのに、リサイクル料金の返還申請がされなかった
- 事故等で、フロン類が完全に抜けたり、エアバッグ類が全て作動してしまった場合
上記の様に、リサイクル料金は何に使われるかが予め決められており、関係の無いことに使われたり悪用されたりすることはありません。
また、無駄な事に使用されたりしていないかを、「資金管理業務諮問委員会」がチェックをしています。
【総評】あなたが知るべき自動車リサイクル法の知識は2つだけ
ここまで自動車リサイクル法の概要や支払うべき料金を紹介してきましたが、消費者であるあなたが知るべきなのは、冒頭でもお伝えした通り「料金」と「返金」だけでOKです。
自動車リサイクル法は、そもそも自動車業者向けに作られた法律であり、地球環境にやさしいリサイクルをするための法律です。
その一環として、消費者であるあなたにはリサイクル料の支払いを義務付けられています。
先述しましたが、リサイクル料は車を廃車するときに必要なお金なので、家電を廃棄するときにお金を支払うことと、仕組み的には一緒です。
ただ自動車リサイクル料の場合は、車を購入した時に前払いしているので、あなたが自動車を廃車しなければ、リサイクル料が返金されることになります。
もちろん、中古車で車を購入して、最終的に廃車をするのであれば、前払いしたリサイクル料は返ってきません。
ただ個人で廃車をすることなんてそうそうなく、結局のところは自動車買取業者に売却(または引き取り)されることになります。
大抵の場合は、リサイクル料は返金されると思っていいでしょう。
なおリサイクル料の返金については、買取をしてもらった業者から受けるようになってます。つまり「買取価格0円」は仕組み的にはあり得ないということ。
そのため、もし買取価格が0円と言われた時は「リサイクル料の返金があるはずですが?」と言うべきですね。
自動車リサイクル法の「返金」と「料金」を知ればトクをする
このように自動車リサイクル法に関して、消費者にとっては以下の知識だけ知っておけばOKです。
- リサイクル料としていくらのお金が必要なのか
- どのタイミングでいくら返金されるのか
上記の答えについては、ここまで読んでくれたならお分かりのことでしょう。
特にこれから売却する人・購入する人であれば、大いに関わってくる内容ですので、上記の点だけは必ず忘れないようにしてください。
特に自動車業者の中には、あなたが自動車リサイクル法について理解してないことをいいことに、きちんと正しい金額を請求したり、返金しない場合があります。
ただ自動車リサイクル法についてはっきりと理解してるのであれば、業者の不正をあらかじめ指摘することができるでしょう。
まとめ
以上、今回は自動車リサイクル法について紹介してきました。
一般的な消費者であるあなたは、自動車リサイクル料の「返金」と「料金」について知っておけば、特に困る事はないということを理解していただけたと思います。
これから新車を購入しようと思っている人・愛車を売却しようと思っている人は、ぜひ今回紹介した知識を参考にしてみるようにしてください。