「エコカー減税を受けられるのは新車だけ?中古車はエコカー減税の対象外なの?」
中古車を買う際に悩みがちな点ですが、答えは「中古車もエコカー減税を受けられる」です。
ただし、全ての中古車がエコカー減税を受けられるわけではありません!そのため、中古車を購入する際は、どのような中古車がエコカー減税の対象になるのかを抑えておく必要が有ります。
そこで、この記事では中古車のエコカー減税について見ていきましょう。
エコカー減税とは?
エコカー減税は、国土交通省が定めている排出ガスと燃費の基準値をクリアした環境性能に優れた車が受ける事のできる、税金の優遇制度です(租税特別措置法第90条の12)。
一定の条件(後述します)を満たしていれば、自動車購入時に課税される「自動車取得税」と車検時に重量に応じて課税される「自動車重量税」が、減税もしくは免税されます。
平成21年度(2009年度)の導入以来、頻繁に改正・延長がされており少しややこしいですが、今でも現役の減税制度です。
エコカー減税の対象車は?〜プリウスやアクアを筆頭にたくさんある!〜
では、具体的にはどの様な車種がエコカー減税の対象となるのでしょうか?具体的な要件については後述するとして、ここでは対象となる車種を見て見ましょう。
パッと思い浮かぶものだけでも、トヨタのプリウスやアクア、日産のノートやホンダのフィットなど色々ありますよね。
最近はエコカーブームです。かなり多くの車種がエコカー減税の対象となっているので、ここで全てを列挙することはさすがに出来ません。
そこで、平成29年5月1日以降に新車新規登録等をした乗用車(軽自動車を含む)について、メーカーごとの一覧表のリンク(国土交通省)を貼っておくので参考にしてみてください。
まずは、普通車・小型乗用車。
三菱 | スズキ | ダイハツ | トヨタ |
日産 | ホンダ | マツダ | スバル |
アウディ | レクサス | ポルシェ | ベンツ |
BMW | フォルクスワーゲン | ルノー | ランドローバー |
ジープ | ボルボ |
続いて、軽自動車。
スズキ | ダイハツ | トヨタ | 日産 |
スバル | ホンダ | マツダ | 三菱 |
リンク先の一覧をみると、かなり多くの車種でエコカー減税を受けられる事がわかりますね。
なお、ひと昔前までは、エコカー減税の対象車というとハイブリッド車というイメージがありましたが、最近のエコカー減税のメインは電気自動車や燃料電池車などのいわゆる次世代自動車です。
エコカー減税の対象となる中古車の要件〜新古車でもエコカー減税が受けられる?〜
中古車も新車の場合と同様に、エコカー減税の要件を満たせば「自動車取得税」と「自動車重量税」が減税されます。満たすべき要件は以下の2つ。
- ①環境基準
- ②適用期間
それぞれの条件について具体的に見ていきましょう。
①環境基準
環境基準は「自動車取得税」「自動車重量税」ともに同じ内容となっており、排ガス基準および平成27年度と平成32年度燃費基準の達成度合いで、エコカー減税を受けられるかどうかが決まります。
(画像参照元:国土交通省)
車の種類ごとの排ガス規制と燃費基準は以下の通り。
種類 | 排ガス規制 | 燃費基準 |
---|---|---|
電気自動車 | ○ | ○ |
燃料電池自動車 | ○ | ○ |
天然ガス自動車 | ・平成21年排ガス規制NOx10%以上低減 | ○ |
プラグインハイブリッド車 | ○ | ○ |
クリーンディーゼル車 | ・平成21年排ガス規制適合 | ○ |
ガソリン車(ハイブリッド車を含む) | ・平成17年排ガス規制75%低減 | ・平成27年度燃費基準+5%、+10%達成 |
上記の環境基準を満たせば、中古車でもエコカー減税が適用されます。なお、どの基準を満たしているかによって減税される金額は変わってきます(減税額は後述しています)。
②適用期間
「自動車取得税」と「自動車重量税」のエコカー減税の適用期間は、それぞれ以下の様になります。
- 自動車取得税・・・平成29年4月1日から平成31年3月31日までに購入した中古車
- 自動車重量税・・・平成29年5月1日から平成31年4月30日までに継続検査又は登録を行う中古車
これらの期間中であれば、上記の燃費基準を満たしている中古車はエコカー減税を受ける事が可能です。登録後一度も使用されていない、いわゆる「新古車」も扱いは中古車なので、上記の要件を満たす限りはエコカー減税を受ける事ができます。
では、どの程度エコカー減税を受けられるのか?について「自動車取得税」と「自動車重量税」に分けて見ていきましょう。
中古車のエコカー減税による減税額の求め方
ここでは、中古車の税額がエコカー減税によりどれくらい減るのかを見てみましょう。
自動車取得税
中古車を購入する場合、エコカー減税を考慮すると、自動車取得税は以下の計算式によって求められます。
① 課税標準額×0.9×残価率=取得価額
② (取得価額-エコカー減税による控除額)×税率(普通車:3%、軽自動車:2%)=自動車取得税
課税標準額や残価率等に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
なお、取得価額が50万円以下となる場合は、自動車取得税は非課税となります。
たまに、「エコカー減税の対象車で○○万円控除とされているのに、中古で購入した際に自動車取得税が課税された!」と嘆いている方もいる様ですが、それはこの計算式に当てはめて見ればわかりますね。
中古車の場合は、エコカー減税が受けられるからといって必ずしも税金がゼロになる訳ではない、という事です。
なお、②の式の「エコカー減税による控除額」は、さきほど紹介した燃費基準等ごとに以下のように定められています。ただし、2017年度と2018年度で適用条件異なり少し厳しくなっているので、両方を並べておきますね(参照元:国土交通省)。
参考:中古車のエコカー減税(自動車取得税)は「中古車特例」という制度によるものです。
まずは、2017年度(平成29年4月1日〜平成30年3月31日)。
燃費基準等 | エコカー減税控除額 |
---|---|
○電気自動車 ○燃料電池自動車 ○天然ガス自動車(平成21年排ガス規制NOx10%以上低減又は平成30年排ガス規制適合) ○プラグインハイブリッド車 ○クリーンディーゼル乗用車(平成21年排ガス規制適合又は平成30年排ガス規制適合の乗用車) ○平成32年度燃費基準+20%達成車 | 45万円 |
平成32年度燃費基準+30%or 40%達成車 | 45万円 |
平成32年度燃費基準+20%達成車 | 25万円 |
平成32年度燃費基準+10%達成車 | 15万円 |
平成32年度燃費基準達成車 | 5万円 |
平成27年度燃費基準+10%達成車 | 5万円 |
平成27年度燃費基準達成車or+5%達成車 | なし |
次に、2018年度(平成30年4月1日〜平成31日3月31日)。
燃費基準等 | エコカー減税控除額 |
---|---|
○電気自動車 ○燃料電池自動車 ○天然ガス自動車(平成21年排ガス規制NOx10%以上低減又は平成30年排ガス規制適合) ○プラグインハイブリッド車 ○クリーンディーゼル乗用車(平成21年排ガス規制適合又は平成30年排ガス規制適合の乗用車) ○平成32年度燃費基準+20%達成車 | 45万円 |
平成32年度燃費基準+40%or 50%達成車 | 45万円 |
平成32年度燃費基準+30%達成車 | 35万円 |
平成32年度燃費基準+20%達成車 | 25万円 |
平成32年度燃費基準+10%達成車 | 15万円 |
平成32年度燃費基準達成車 | 5万円 |
平成27年度燃費基準達成車or+5%達成車or10%達成車 | なし |
やはり次世代自動車の減税額は他の車と比べると大きいですね。それだけ環境に優しい車ということは間違いないですからね。
なぜ古い車に対するエコカー減税の要件が厳しいかというと、日本政府が「古い車はエコではない!」という考え方を念頭に置いているからです。
確かに、自動車の環境に対する技術はすごいスピードで成長しており、最新の車と数年前の車とではエコ技術に大きな差が出てしまいます。
そこで、新しい車を常に使ってもらうために、中古車のエコカー減税適用条件を年々厳しくしていっているという訳ですね。
(新しい車を作る過程でも環境破壊はされるので、一概に新しい車がエコとは言えないとも思いますけどね・・・。)
自動車重量税
自動車重量税のエコカー減税は、新車購入時だけでなく、初回の継続検査(2回目の車検)の時にも受けられます。また、初回車検が切れた中古車を購入する場合でも、車検の切れた日から15日以内に車検証の交付を受ければエコカー減税が適用されます。
自動車重量税が「免税」となる中古車は、平成29年5月1日から平成31年4月30日の期間内に新車登録をしてエコカー減税の「免税」が適用された車です。
具体的には、以下の燃費基準等を満たした車が該当します(乗用車の場合)。
種類 | 排ガス規制 | 燃費基準 |
---|---|---|
電気自動車 | ○ | ○ |
燃料電池自動車 | ○ | ○ |
天然ガス自動車 | ・平成21年排ガス規制NOx10%以上低減 | ○ |
プラグインハイブリッド車 | ○ | ○ |
クリーンディーゼル車 | ・平成21年排ガス規制適合 | ○ |
ガソリン車(ハイブリッド車を含む) | ・平成17年排ガス規制75%低減 | ◆2017年度◆ |
ガソリン車の燃費基準をみると、年々エコカー減税の適用条件が厳しくなっている事がわかりますね。
なお、1回目の車検時の自動車重量税には他にも「75%」「50%」「25%」減税がありますが、2回目の車検以降は本則税率が適用されます(現行のエコカー減税の環境基準に適合すれば、「標準税率」より安い「エコカー本則税率」が適用)。
また、環境基準に適合していない中古車は標準税率となります。自動車重量税のエコカー減税適用後の金額又は標準税率については、下記記事を参考にして下さい。
自動車重量税の金額・早見表【平成29年改正のエコカー減税反映済】
【参考】プリウスを中古で買った場合の自動車取得税や重量税のエコカー減税はどうなる?
ここでは、参考にプリウスを中古で買った場合にエコカー減税の適用がどうなるのかを考えて見ましょう。
平成29年6月に新車登録された平成28年8月発売モデルのプリウス「Sセーフティプラス」(DAAーZVW500)を、平成30年1月に中古で購入した例ではどうなるでしょうか(購入価額は350万円)。
このモデルはエコカー減税の条件を満たすハイブリッド車なので、新規購入時の自動車重量税と自動車取得税は免税です。
◆中古車取得時◆
新規登録から8ヶ月経過時に取得した中古車で、まだ車検が残っているので自動車重量税は次の車検まではかかりません。一方で、自動車取得税については、上で紹介した計算式に当てはめてみましょう。
①350万円×0.9×0.681=214万円
②(214万円−45万円)×3%≒5万円
以上より減税額は1.35万円(45万円×3%)です。
◆初回継続検査時◆
新車登録時に免税となっているので初回継続検査時にも自動車重量税はかかりません(免税)。
エコカー減免が適用されない場合には49,200円の重要税が必要となるので49,200円の節約です。
◆2回目の継続検査時◆
2回目の継続検査時(新車登録から5年後)には免税にはなりません。2回目の継続検査時から重量税がかかります。
金額は15,000円となる予定です(車両重量は1〜1.5t以下)。エコカー減免が適用されない車だと24,600円かかりますので、9,600円の節約です。
注:本則税率が変更されると異なる金額になる可能性有り。
中古車でエコカーを買うならどんな車を選べばいい?
次世代自動車には弱点も!
ここまで中古車のエコカー減税適用条件や減税額などについて見てきましたが、実際のところ中古車を買うのであればエコカー減税を受けられる車を買った方がいいのでしょうか?また、エコカー減税対象車のうち、どんな車を選べばいいのでしょうか?
この点、次世代自動車とエコカー減税が受けられない一般のガソリン車とを比較して見ましょう。次世代自動車は確かに環境性能が高く、最新の技術やデザインを備えているので乗っているだけでワクワクしてきそうですよね。
普通のガソリン車(最近はハイブリッド車もガソリン車の様な扱いになってきていますが・・・)は、次世代自動車と比べるとどうしても燃費は悪くなります。
従って、燃費性能という点だけを抜き出してしまうと、次世代自動車に軍配があがります。
しかし、次世代自動車は最新の技術が駆使されているが故に、車両価格がどうしても高くなってしまいます。特に燃料電池車はかなり高く、トヨタのMIRAIは車体価格700万円以上です。こんなに高いと、ガソリン車との維持費差では補えないくらいの車両価格差がついてしまいます。
つまり、車両価格差を考慮すると次世代自動車はまだまだ絶対に有利とは言えない状況なのです。
また、電気自動車やプラグインハイブリッド車は自宅に充電設備を設置しないと維持する事がちょっと難しいでしょう。その点でもなかなか次世代自動車を持つのは現実的には厳しいのかもしれません。
そこで、中古車でエコカー減税を受けるのであれば、クリーンディーゼル車がオススメですね。クリーンディーゼル車は値段がまだ控えめですし、振動や騒音面でも優れていますよ。
参考:エコカー人気がこれからも続くでしょうから、逆に言うとガソリン車の人気が衰えていく事が考えられます。であれば、中古車価格が安くなるガソリン車を狙うのもアリですけどね。
まとめ
中古車がエコカー減税を受ける場合の要件について見てきました。
エコカー減税は税制改正の都度厳しくなってきています。それだけ国として環境維持に努めているという事ですね。
次世代自動車は車体価格もそれなりに高いですが、減税額も大きいです。また、ガソリン代などの維持費も一般的なガソリン車と比べると安くて済むので、これを機にエコブームに乗ってみるのもいいかも!?
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