あなたの愛車もいつか対象に?リコール制度をシンプルに解説

 
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ニュース番組を見ているとたまに見かける「リコール制度」について気になっていませんか

リコール制度とは、メーカー自らが自動車の不具合を報告し、無償で回収・修理する制度のこと

「リコールなんて、そんなに起こるものじゃない」と思いがちなので、以下のように自分とは無縁だと考える人は多いです。

しかし実はリコールは頻繁に実施されており、他人事では済まない件数になっていることをご存知でしょうか。以下をご覧ください。

※画像出典:国土交通省「各年度のリコール届出件数及び対象台数」より

このように自動車の不具合はかなりの件数が確認されており、もしかしたらあなたが乗っている車もリコールの対象になるかもしれないのです。

もしこの事実について知らなければ、自分の車がリコールの対象になったことに気づけずに、不具合があるまま運転していたかもしれませんよ?

しかし、ご安心を。今回の記事では自動車のリコール制度の概要はもちろんのこと、どれくらいリコールが起こっているのかを簡潔に解説していきます。

「リコール制度について気になっている」という人には必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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自動車のリコール制度の概要

リコール

自動車のリコール制度とは、自動車の性能や装置に不具合があり、その原因が設計又は製造過程にある場合に、自動車メーカー又は輸入業者が自ら国土交通省に届け出て、不具合のある自動車を無償で回収・修理する制度のこと(道路運送車両法第63条の三1項)

もっとシンプルにいうと、リコール制度はメーカー自らが自動車の不具合を報告し、無償で回収・修理する制度になります。

国土交通省によれば「道路運送車両法の保安基準に適合していない、又は、適合しなくなる恐れがある場合」に「不具合がある」と判断されます。

保安基準に規定されていない不具合の場合には、「改善対策」と言って、リコールと同様にメーカー自らが無償で改修・修理を行われなければなりません。

中古車もリコール制度の対象である

リコールの対象車には、新車だけではなく中古で購入した自動車も含まれます

リコールの対象車になると、ディーラーからリコールの通知が送付されてきますので、すぐに修理に出しましょう。

ただし、中古車の場合は、自動車の登録情報(所有者や住所など)の変更がディーラーで把握できていないと、通知が送付されて来ない可能性があります。

そのため、全てをメーカー任せにするのではなく、オーナー自らリコール情報に対してアンテナを張っておく必要がありますね(詳しくは後述)。

リコールの対象車となっても価値が下がらない

リコールの概要を知れば、なんだか車の価値を落としてしまいそうな要素だと思いませんか?

そのせいか、リコール対象車を売却すると安く買い取られるのではないかではないかと思われがちです。

しかし実はリコールの対象車であったとしても、車を査定される際、価値が下がる事はありません

もちろん交通事故につながるような致命的な結果になった場合は価値が下がりますが、その他の微々たるリコールの場合は、買取相場に大きな変動与えないため、価値が下がる事は無いのです。

リコール制度の届出件数と対象台数の推移

売上推移

ここまではリコール制度とはどのようなものなのか概要について紹介してきましたが、実際にリコールがどれだけ発生しているのか見てみましょう。

国土交通省が発表している情報を元に、過去10年分の「リコール届出件数」と「リコール対象台数」、さらに過去まで遡ったリコール届出件数の推移を表わしたグラフを紹介します。

まず、国産車と輸入車のリコール届出合計件数について見てみましょう。

年度リコール届出件数リコール対象台数
平成17年度309件5,662,992台
平成18年度300件6,969,245台
平成19年度310件4,267,869台
平成20年度295件5,350,599台
平成21年度304件3,278,296台
平成22年度320件7,348,292台
平成23年度263件2,594,237台
平成24年度308件5,612,979台
平成25年度303件7,978,639台
平成26年度355件9,557,888台
平成27年度368件18,990,637台
平成28年度364件15,848,401台
平成29年度377件7,700,330台

※画像出典:国土交通省「各年度のリコール届出件数及び対象台数」より

最近は300件前後で推移していたものの、ここ数年は一気に増加したりと、リコール件数は増加傾向にある事がわかります。

一方、リコール対象台数は、毎年ばらつきがあります。この原因は、複数の車種に共通した「設計」や「部品」を使用している事が多くなっているからです。

1つの車種に不具合が発生すると、不具合の原因が共通の「設計」や「部品」にある場合には、複数の車種がリコールの対象となるので、台数が大幅に増える事になるというわけですね。

次は、国産車と輸入車のそれぞれのリコール届出件数について見てみましょう。

国産車のリコール届出件数

年度リコール届出件数リコール対象台数
平成17年度227件5,406,616台
平成18年度203件6,294,932台
平成19年度229件3,792,420台
平成20年度204件5,073,467台
平成21年度212件2,989,986台
平成22年度237件7,166,785台
平成23年度180件2,423,068台
平成24年度217件5,411,283台
平成25年度201件7,714,208台
平成26年度204件9,117,705台
平成27年度232件18,648,961台
平成28年度224件15,182,058台
平成29年度204件7,197,717台

※画像出典:国土交通省「各年度のリコール届出件数及び対象台数」より

国産車のリコール届出件数は、全体(国産車と輸入車の合計)の約3分の2を占めています。しかし、リコール対象台数は全体のおよそ90%~95%を占めていますね。

それだけ日本では、国産車の販売台数が多いという事でしょうか。

ちなみに、主なメーカー別の平成27年度から平成29年度までのリコール届出件数は以下のようになっています。

※画像出典:国土交通省「年度・メーカー別のリコ-ル届け出数」

輸入車のリコール届出件数

年度リコール届出件数リコール対象台数
平成17年度82件256,376台
平成18年度97件673,313台
平成19年度81件475,449台
平成20年度91件277,132台
平成21年度92件288,310台
平成22年度83件181,507台
平成23年度83件171,169台
平成24年度91件201,696台
平成25年度102件264,431台
平成26年度151件440,183台
平成27年度136件341,676台
平成28年度140件666,343台
平成29年度173件502,613台

※画像出典:国土交通省「各年度のリコール届出件数及び対象台数」より

輸入車のリコール届出件数は、全体の約3分の1となっています。また、リコール対象台数は全体のおよそ5%~10%となっています。

国産車と同じく、主な輸入車メーカー別のリコール届出件数を紹介しておきます。

※画像出典:国土交通省「年度・メーカー別のリコ-ル届け出数」

国産車と輸入車のどちらがリコール発生割合が多いのかは、これだけではわかりませんが、どちらも毎年リコールを届け出ている事に変わりありません

自動車の不具合は、人の命に関わる事なので、国産・輸入を問わず、不具合をゼロにするためにより一層努力して欲しいですね。

現在進行形でリコール届け出が行われている車種

ここまではリコールの件数について見てきましたが、現在進行形でリコールの届け出が行われている車は何があるのでしょうか?

実はインターネット上でリコールが行われている車をリアルタイムに確認できるようになっています(参照:リコール・改善対策の届出(平成30年分)

上記のページは自分の車がリコールの対象になっているかどうかを確認する上でも役に立つので、必ず1回は目を通してほしいですね。

現在リコール対象の車がわかる
国土交通省の公式ページはこちら

リコール通知が届いたらどうすればいいのか

ここまではリコールの件数や最新の状況等について紹介してきましたが、実際にリコールの通知が届いたらどうすれば良いのでしょうか。

https://twitter.com/club_ryonryon/status/1020263951601299457?s=21

もし上記のようなリコールの通知があなたの手元に届いたのであれば、スルーすることなく必ず修理を受けるようにしてください。

リコールのために発生した作業について、あなたが支払うべき費用は一切ありません

費用はかからない上に、重大な事故を引き起こすための不具合もある可能性があるので、リコール対象となった箇所の修理を受けない理由はないでしょう。

リコールの通知には、上記のようにどんな部分が不具合なのか、具体的にどんな作業するのか、どれぐらいの作業時間がかかるのかという詳細が記載されています。

自分の車の何をいじられるのかというのを全く説明することなく処理されるわけではないので、安心して修理してもらうことができるでしょう。

リコール対象車の修理はディーラーに持っていくだけOK

リコールの修理先は通知書にも書いてありますが、最寄りのディーラーに持っていけばOKです。

ただしリコール対象になった車が人気であればあるほど(世の中に出回っている台数が多いほど)、修理依頼が集中している可能性があります。

そうなるとその日のうちに修理してもらえることができないので、突然持っていくのはお勧めできません。

事前にディーラーに電話して、修理をしてもらうための予約をすると良いでしょう。

リコール制度を利用する上での2つの注意点

注意点

実際にリコール制度を利用するにはどうすればいいかを紹介してきましたが、実は制度を利用する前に知っておいてほしい注意点があります。具体的には以下の2点です。

  • 自動車登録情報の変更・移転手続きを忘れない
  • リコール制度を無視するとあなたに責任が降りかかる

それではそれぞれの注意点について、簡潔に説明していきましょう。

リコール制度の注意点1.自動車登録情報の変更・移転手続きを忘れない

先ほども述べたように、リコールが来たら必ず修理を受けるべきなのですが、実はリコール通知が正しく配達されない場合があります。

それは自動車に登録されている情報と、あなたの現在の情報が異なっている場合です。

例えば引っ越しなどで住所変更が行われたにもかかわらず、自動車登録情報の変更・移転手続きをしていない場合、リコール通知が届かないことがあります。

「自分の車がリコール対象になることなんてないだろう」なんて思わずに、住所変更や結婚等で苗字が変わった場合は、必ず自動車登録情報の変更・移転手続きをするようにしましょう。

なお、登録情報の変更・移転手続きはディーラーにお願いすれば代行してもらえますし、自分でも最寄りの運輸支局に行けば変更することができますよ

リコール制度の注意点2.リコール制度を無視するとあなたに責任が降りかかる

リコールと言えど「ディーラーまで行くのがめんどくさい」「なぜ自動車会社の尻拭いを自分がしなければならないのだ」と思う人もいるでしょう。

しかし実は「道路運送車両法」という法律によって、リコール対象になった自動車所有者に対してもきちんと修理しなければならないという責任が負わされているのです。

つまりは自分の車が保安基準に適用するように修理・整備・点検する義務があるというわけ。

リコールの通知を無視して放置してしまうと、道路運送車両法の義務を放棄したことになりますよ。

そうなれば、もし不具合のせいで何かしらの事故が起きたとしても、自動車メーカーが100%責任を負うことはありません。

「リコールの義務を果たさなかった」ということで、所有者側であるあなたにも責任を問われる場合があります。

確かに理不尽だと思う気持ちもわかりますが、リコールの通知が届いたら放置せずに必ずディーラーに行き、修理を受けるようにしてください。

【総評】リコール制度は他人事なんて思わずにキチンとアンテナを広げておこう

注意点

ここまでリコール制度について様々な知識を紹介してきましたが、リコール制度は思った以上に身近なものであることをご理解いただけたと思います。

だからこそ、自分は関係ないと思わずにリコール制度についてもっとアンテナを広げておくべきでしょう。

自分でリコール対象かどうかを依頼することも可能

リコール制度についてアンテナを広げていれば、自分の車の調子にも敏感になるでしょう。

新車なのにも関わらず何か怪しい、調子が悪いと思ったら、自分でリコールかどうかを依頼することができます。

つまりはもし自分の車に乗っていて、明らかに何かおかしいと思うのであれば、自らリコールかどうかを問うことができるのです。

具体的には国土交通省で「自動車の不具合情報ホットライン」を設置しています。

このホットラインではユーザーからの不具合情報をネットや電話で受け付けており、寄せられた内容は自動車メーカーに直接国土交通省が調査するようになっています。

※出典:国土交通省「自動車の不具合情報ホットライン」より

問題なりつつある「リコール隠し」を防止するために国土交通省が作った便利なサービスなので、新車を購入してすぐに何かしら不具合があったときなどは積極的に活用するといいでしょう。

リコールそのものは重大な事故につながる大きな問題であり、放置していればあなたの命に関わることです。

手間はかかりますが費用はかからないので、もっと積極的にリコールと関わるようにしましょう

まとめ

以上、今回はリコール制度について詳しく紹介してきました。

リコール制度とは一体どんな内容なのか、現在進行形でどのような車がリコールにかかっているのかを理解していただけたと思います。

「今後のためにもリコール制度について知っておきたい」と思っている人は、今回紹介した記事をぜひ参考にしてみてください。

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