車上荒らしに関するデータを様々な視点からランキング形式にて紹介していきます。気になるランキングが有れば、下の目次からジャンプして下さいね。
なお、当記事は車内のカバンやゴルフバッグなどを盗む「車上ねらい」とバンパーやカーナビなどを盗む「部品ねらい」をまとめて「車上荒らし」として紹介しています。
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車上荒らしの発生件数の推移
まず車上荒らしの発生件数の推移(平成16年~平成27年)を見ていきましょう。
下記データは、「政府統計(e-Stat)」を参考にしています。このサイト内の検索窓口で「犯罪統計」と検索すると、検索結果に犯罪統計が表示されます。それをクリックすると年毎の犯罪統計を見る事が出来ます。
なお、犯罪統計には車上荒らしの統計だけではなく、その他の犯罪の統計も含まれています。そのため、車上荒らしのデータを見つけるのに少し手間がかかります。なので、以下の表を参考にしてもらえればと思います。
年次 | 発生件数 |
---|---|
平成16年 | 441,082 |
平成17年 | 360,366 |
平成18年 | 294,483 |
平成19年 | 246,145 |
平成20年 | 231,780 |
平成21年 | 221,479 |
平成22年 | 192,983 |
平成23年 | 171,082 |
平成24年 | 155,865 |
平成25年 | 133,957 |
平成26年 | 113,086 |
平成27年 | 97,623 |
平成16年には約44万件も発生していましたが、その後は年々減少しており、平成27年の車上荒らしの発生件数は平成16年の約4分の1に当たる9万7千件にまで減少しています。
車上荒らしが減少した要因として、犯罪を行いにくい環境整備が進んだ事が挙げられます。具体的には、街中に防犯カメラの設置台数が増加した事や個人で防犯対策を施す人が増えた事など色々考えられます。
また、平成18年の道路交通法改正によって、違法駐車の取り締まりが強化された事も影響しています。後述しますが、車上荒らしが多発する場所の1つが「路上」なのです。路上駐車が減少した事によって、車上荒らしの被害に遭う車も自ずと減少したわけですね。
しかし、車上荒らしの発生件数が減少したからと言って油断をしてはいけません。まだ約10万件も発生しています。防犯対策が不十分な人はこちらの記事「車上荒らしの手口と車上荒らしを防止する対策」を参考に車上荒らし犯に狙われないようにして下さいね。
車上荒らしが多発する都道府県
車上荒らしが多発する都道府県はどこなのでしょうか?
都道府県別の車上荒らしの発生件数のデータも「政府統計(e-Stat)」を参考にしています。平成27年の情報ですので、さきほどの検索結果から「平成27年犯罪統計」を見ていただくか、検索窓口に「平成27年1月~12月犯罪統計」と入力して探してみて下さい。
都道府県 | 発生件数 |
---|---|
大阪 | 17,315 |
愛知 | 9,010 |
東京 | 6,914 |
兵庫 | 6,279 |
千葉 | 6,204 |
「やっぱり!」と思った人も多かったのではないでしょうか?1位は大阪府です。ひったくりが多い事でも有名ですからね。大阪府に用事が有る時は電車で行くようにしましょうね。
ちなみに、車上荒らしの発生件数が少ない都道府県は以下の3つです。
- 島根県・・・177件
- 秋田県・・・201件
- 鳥取県・・・286件
車上荒らしの発生件数が多い大阪府と少ない島根県では、約100倍も差が有るんですね。
車上荒らしに狙われやすい場所
車上荒らしに狙われやすい場所は以下の3つです。
以下の表は「警察庁」の平成26年の犯罪統計の「15.窃盗 発生場所別認知件数」を参考にしています。
発生場所 | 発生件数 |
---|---|
駐車場 | 48,882 |
住宅 | 23,668 |
道路上 | 13,672 |
※ 駐車場とは自宅以外の駐車場を指します。また、自宅とは自宅の駐車場を指します。
さらに細かく見ていくと、駐車場の中でも一番狙われやすいのは店舗などの駐車場です。買い物にしろ食事にしろ、車をある程度の時間離れる事になります。犯人にとってみれば、絶好のチャンスになります。
その次に狙われやすいのが月極の駐車場です。月極駐車場は屋外に有る事が多く、車上荒らし犯に狙われやすいです。同じように屋外のコインパーキングも注意が必要です。
あと油断してはならないのがコンビニの駐車場です。車を離れる時間が短いが故に、施錠せずに店内に入ってしまう人がいます。車上荒らし犯はこういう隙も狙っています。たとえ車を離れる時間が短くても施錠するようにして下さいね。
コンビニと同様に油断しがちなのが一戸建住宅の駐車場です。住宅の中で被害件数が最も多いです。自宅という事で油断しているのか、帰宅してホッとしてしまうのか、理由は色々考えられますが施錠せずに駐車してしまう人が多いようです。
車上荒らしに遭いやすい時間帯
車上荒らしに遭う時間帯は以下の通りです。
以下の表は「警察庁」の平成26年の犯罪統計の「11.窃盗 発生時間帯別認知件数」を参考にしています。
時間帯 | 発生件数 |
---|---|
0~2時未満 | 669 |
2~4時未満 | 554 |
4~6時未満 | 363 |
6~8時未満 | 473 |
8~10時未満 | 1,023 |
10~12時未満 | 1,737 |
12~14時未満 | 1,547 |
14~16時未満 | 1,793 |
16~18時未満 | 2,170 |
18~20時未満 | 2,146 |
20~22時未満 | 1,362 |
22~24時未満 | 878 |
不明 | 98,344 |
意外にも深夜の車上荒らしが少ないですね。ただ、これをそのまま鵜呑みするのは良く有りません。
一番下の「不明」の件数が約10万件となっている事に注目して下さい。「不明」とは、いつ被害に遭ったか分からないという意味です。朝起きて車上荒らしの被害に気付いた!という場合も「不明」に含まれていると思いますので、やはり夜間は注意が必要です。
基本的に車上荒らし犯は犯行を人に見られたくないので、暗い時間帯を好みます。そのため、上記のデータとは相反しますが、夜間は十二分に注意して下さいね。
視点を変えれば、被害者が被害を受けた時間帯を明確に答えられている件数が1万件以上も有るという事になります。つまり、ちょっと車を離れた隙に被害に遭っている件数が1万件以上有るわけです。(車を離れた時間はおそらく2時間より短いでしょう)。
犯人は常にドライバーの隙を伺っている事を忘れないようにしましょう。
参考情報として、曜日毎の被害件数も見てみましょう。
【参考】曜日毎の車上荒らし件数
以下の表は「警察庁」の平成26年の犯罪統計の「13.窃盗 発生曜日別認知件数」を参考にしています。
曜日 | 発生件数 |
---|---|
月 | 6,396 |
火 | 6,381 |
水 | 6,814 |
木 | 6,620 |
金 | 6,490 |
土 | 7,044 |
日 | 6,923 |
不明 | 65,968 |
どの曜日も車上荒らしが満遍なく発生していますね。ここで注目して欲しいのは「不明」の件数です。1日単位の統計なのに被害に遭った曜日が分からない事を不思議に思う人もいるかもしれません。
窓ガラスを割られていれば誰もが車上荒らしに遭った事に気付きます。しかし、鍵をピッキングされて車内に侵入され、トランクのゴルフバッグやダッシュボードの何かを盗まれた場合、すぐには気付けません。数日後に「あれ?無い!」という事になるのです。そのため、被害に遭った曜日が不明の被害者が多くなっています。
つまり、6万5千件全てでは無いにしても、その殆どが巧妙に行われた【プロの犯行】という事です(もちろん、被害曜日が判明している中にもプロの犯行は有ります)。プロに狙われたらほぼお手上げです。
やはり、犯行の動機を与えない駐車場の環境作りをしていく事が大切です。
なお、ピッキングの跡は少なからず残りますが、被害意識の無い状態では気付かないのが普通です(スマートキーの場合は特に)。また、跡を見つけたとしても、ピッキング跡だと思う人は少ないのではないでしょうか。
車上荒らしで盗まれる物は?
車上荒らしで盗まれる物は以下のような物が多いです。
なお、以下の表は日本損害保険協会のニュースリリースで掲載されている「自動車盗難事故実態調査結果(PDFの17P)」のデータを参考にしています。損害保険協会のデータは平成27年11月の1か月分だけの調査によるものなので、件数自体は少なくなります(調査件数は490件)。
被害品 | 件数 |
---|---|
外装部品 (タイヤやバンパー、ドアミラー等) | 114 |
カーナビ | 65 |
バッグ類 | 60 |
金銭等 | 56 |
スポーツ用品 | 38 |
車上荒らしで最も盗まれるのが外装部品です。意外だったのではないでしょうか?車内に侵入せずに、車の外部の部品を盗んでいくわけです。
ほとんどが転売目的ですので、綺麗に部品を取り外す必要が有り、ある程度の犯行時間を要します。そのため、駐車場に防犯カメラやセンサーライトなどの防犯対策を施しておくのが効果的です。
次は「車内」の被害に関してです。カーナビやカバン、スポーツ用品などの被害件数が多いです。
カーナビは車に設置されているので仕方有りませんが、カバンなどを置きっぱなしにしておくのは非常にまずいです。車上荒らし犯に犯行の動機を与えてしまっているような物ですからね。
なるべく車内に物を置かないようにしましょう。
車上荒らしに遭いやすい車種
車上荒らしに遭いやすい車種は以下の通りです。
なお、以下の表は日本損害保険協会のニュースリリースで掲載されている平成27年11月に行われた「自動車盗難事故実態調査結果(PDFの16P)」のデータを参考にしています。
車種 | 発生件数 |
---|---|
ハイエース | 48 |
プリウス | 39 |
クラウン | 14 |
ヴォクシー | 13 |
ベンツ等 | 12 |
ハイエースとプリウスは毎年車上荒らしの被害件数が多い車種です。平成25・26年ともにプリウスが1位で、ハイエースが2位でした。また、クラウンも被害に遭いやすく、毎年上位にランクインしています。
これらの車に乗っているオーナーの人は防犯対策をしっかりと行っておいた方が良いでしょう。
最後に
「車上荒らし」に関する色々なランキングを見てきました。車上荒らしの被害件数は年々減少しているものの、まだまだ多く人が被害に遭っているのが現状です。愛車を守る為にしっかりと防犯対策を施しておきましょう。
また、防犯対策をしてもなお車上荒らしの被害に遭う事も有るので、事後の対策も重要です。その対策となるのが「自動車保険」です。車両保険を付帯しておけば、車両保険のタイプに関係なく損害が補償されます(参考:車両保険が使える事故・使えない事故のまとめ)。
しかし、車内に積載しているカバンやスポーツ用品などの盗難被害は車両保険では補償されません。そのため、車両保険とは別に「身の回り品特約」を付帯しておけば、車上荒らしに対する補償は充実するでしょう。
ただし、身の回り品特約は金銭や貴金属などの損害は補償範囲外です。犯行の動機を与えない為にも、こういった物は車内に置きっぱなしにしないようにしましょうね。