自動車は何かと事業に必要になりますが、自動車関連の仕訳はややこしいため苦手な方が多いですよね。以下では、自動車を廃車にした時にスポットを当てて、仕訳の方法を見ていきましょう。
例示仕訳も掲載していますので、仕訳が苦手な人は請求書を手元において記事に書いている通りに記帳をしてみて下さい。
廃車の仕訳
事業に使用していた自動車を廃車にした場合、廃車時の車両の帳簿価額を取り崩す事になります(リサイクル預託金については後述)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産除却損 | ×× | 車両運搬具 | ×× |
なお、「車両の廃車」という行為は、消費税の対象ではないので「不課税」となります。
廃車に費用がかかったのであれば、その金額も固定資産除却損に含めます。参考に「帳簿価額400の自動車を廃車にし、100(税別)の廃棄費用を支払った場合」の仕訳を以下に示します(税抜処理の場合)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産除却損 | 500 | 車両運搬具 | 400 |
仮払消費税等 | 8 | 現預金 | 108 |
合計 | 508 | 合計 | 508 |
なお、廃棄費用には消費税がかかっているので、「課税取引」となります。
事故により廃車となり、損害賠償金等を受け取った場合
廃車の原因が交通事故だった場合、事故の相手方や保険会社から損害賠償金としてお金を受け取ることがあります。損害賠償金等を受け取った場合、法人と個人とで仕訳が異なるので、以下でそれぞれの仕訳を見ていきましょう。
法人の場合
「帳簿価額400万円の車両が事故により廃車となり、損害賠償金500万円を受け取った場合」を前提に以下で仕訳を見てみます。
法人の場合、まずは車両の帳簿価額残高を固定資産除却損に振替ます(リサイクル預託金は後述)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産除却損 | 400 | 車両運搬具 | 400 |
そして、損害賠償金を受け取った時に、以下のを仕訳を切ることになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現預金 | 500 | 損害賠償金(雑収入) | 500 |
法人の場合は、受け取った損害賠償金が全額収入(益金)として扱われることになります。なお、損害賠償金の消費税は「不課税」となります。
個人の場合
一方、個人事業主の場合は交通事故により車両の損害を受け、損害賠償金を受け取ったとしても、損害賠償金については所得税は課されません(非課税)です。ただし、固定資産除却損の金額を計算する際には、損失額から損害賠償金等で補填(ほてん)される金額を差し引く必要があります。(参考:国税庁)
どういう事なのか、上記の法人の場合の前提条件を元に仕訳を見てみましょう。
まず、廃車になった時点で以下の仕訳を切ります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産除却損 | 400 | 車両運搬具 | 400 |
そして、損害賠償金等を受け取った時に、先に計上した固定資産除却損を取り崩す事になります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現預金 | 500 | 固定資産除却損 | 400 |
事業主借 | 100 | ||
合計 | 500 | 合計 | 500 |
結果として、固定資産除却損はゼロということになります。なお、損害賠償金が固定資産除却損の金額を超えていた場合、超えた分については非課税となるので、「事業主借」により処理します。
また、仮に事業用割合が50%だった場合は以下の仕訳となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産除却損 | 200 | 車両運搬具 | 400 |
事業主貸 | 200 | ||
合計 | 500 | 合計 | 400 |
必要経費となる金額は事業用部分のみなので、家事消費の50%分は「事業主貸」勘定を使用することになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現預金 | 500 | 固定資産除却損 | 200 |
事業主借 | 300 | ||
合計 | 500 | 合計 | 500 |
廃車にした場合のリサイクル預託金の仕訳
リサイクル預託金は、廃車にしても自分の手元に戻っては来ません。そこで、廃車にした場合は資産として計上されているリサイクル預託金を取り崩し、経費計上することになります(以下は、税抜処理の場合)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | ×× | リサイクル預託金 | ×× |
仮払消費税等 | ×× | ||
合計 | ×× | 合計 | ×× |
なお、この場合の支払手数料は「課税仕入」となります(固定資産除却損としても構いませんが、消費税の課非処理を間違えない様にしましょう)。
廃車にして自動車税の還付を受けた場合の仕訳
自動車税は毎年4月1日現在の自動車の所有者に対して課されますが、年の途中で廃車にした場合、残りの期間分については月割りで還付を受ける事が出来ます。
自動車税の還付を受けた場合、納付時に経費処理した税金の還付なので、収入(益金)として計上することになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現預金 | ×× | 雑収入 | ×× |
なお、自動車税の還付金の消費税は「不課税」として処理する必要があります。
廃車にして重量税の還付を受けた場合の仕訳
自動車にかかる税金の1つに、車検を受ける際に納付する重量税があります。この重量税は、次回の車検時までに廃車(解体)した場合、車検の残存期間に応じて還付を受ける事が出来ます。
自動車重量税の還付金の計算方法と還付金が帰ってくる時期や起算日
重量税の還付を受けた場合、自動車税と同様に収入(益金)として計上することになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現預金 | ×× | 雑収入 | ×× |
なお、重量税の還付金の消費税は、自動車税同様「不課税」として処理する必要があります。
上記は、一般的な仕訳例の紹介となります。個別具体的な疑問点については税務署や税理士に相談する様にして下さいね。
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