交通事故に遭遇すると、被害者は加害者に損害賠償請求をする事になります。しかし、いきなり裁判をするという訳ではなく、まずは両者で示談交渉をします。
当事者間の話し合いで解決しない場合(示談不成立)に、訴訟手続へと進むのですが、ここではその前段階である示談に関して、無料で示談斡旋(話し合いの場を設けて、事件が解決する為のお手伝い)をしてくれる機関の紹介をしていきます。
無料で示談斡旋してくれる機関
示談斡旋をしてくれる公的な機関としては、主に以下の4つが有ります。
- ①交通事故紛争処理センター
- ②日弁連交通事故相談センター
- ③法テラス
- ④民事調停
それぞれの機関について、内容等を見ていきましょう。
①交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センター(以下、紛セ。)は、全国に10ヶ所(※)の相談所が有り、示談斡旋等をしてくれる公益財団法人(昭和49年設立)です。
※:相談所が有る都市は、札幌、仙台、東京、埼玉、名古屋、金沢、大阪、広島、高松、福岡です。
紛セは自賠責保険の運用益などで運営されているので、利用者は嘱託弁護士から無料でサービスを受ける事が出来ます。なお、紛セでは平成23年度に24,500件の示談申込が有り、7,500件が示談成立となっています。
サービスを利用する場合、まずは被害者本人が電話予約し初回相談を受けます。相談の結果、示談斡旋をしてもらう事になった場合は、担当弁護士が相手方に連絡し、示談の案を提示して示談に向けて手続を進めていきます。
示談が成立すればそこで終わりますが、示談が成立しなかった場合(斡旋不調)は、審査申立をする事が出来ます。
参考:審査申立をせずに調停や訴訟に進む事も出来ます。
審査申立をすると、審査会による裁定が行われ、そこで申立人が納得すれば示談成立(※)となりますが、そこでも納得が出来ない場合、調停や訴訟に進む事になります。
※:保険会社等の相手方は、審査会の裁定を尊重するように決められているので、申立人が納得すれば示談成立となり、その金額が保険会社等から支払われる事になります。
②日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは、日本弁護士会連合会が昭和42年に設立した公益財団法人です。全国に159ヶ所の相談所が有り、各都道府県に1つ以上は設置されています。
国土交通省からの補助金や弁護士の寄付によって運営されているため、ここで受けるサービスは全て無料となっています。
サービスを利用する場合は面接相談の申し込みをして、弁護士が示談斡旋に適していると判断した場合に、正式に示談斡旋の申込をする事が出来ます。
申込をすると、弁護士が解決に向けて働きかけてくれる(原則3回の面談での示談成立が目標)のですが、示談の成立率が平成25年度で83.67%と高く、多くの場合示談が成立すると考えられます。
なお、原則3回の面談で示談が成立しなかった場合は、調停や訴訟に進む事になります。
但し、相手側が一定の共済(※)に加入している場合は、審査手続に進み、審査員3名による審査委員会に審査意見を出して貰う事が出来ます。
※:一定の共済とは、「全労済」、「教職員共済生協」、「JA」、「自治協会・町村生協」、「都市生協」、「市有物件共済会」、「自治労共済生協」、「交協連」、「全自共・共済連」の自動車共済を指しています。
申立人が審査意見に同意する場合は、意見に沿った内容の示談成立書が作成され、示談成立(※)となります。
※:共済側は審査の評決を尊重しなければななりません。
③法テラス
法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」といい、国の出資により運営されている公的団体です(2014年時点で全国に85ヶ所)。
法テラスは誰もが利用出来るという訳ではなく、資金的な余裕の無い方の利用が大前提となっています。
参考:法テラスでは、「民事法律扶助業務」「情報提供業務」「犯罪被害者支援業務」「司法過疎対策業務」「国選弁護等関連業務」を行っていますが、交通事故時の示談斡旋は「民事法率扶助業務」に含まれます。
法テラスで示談斡旋をしてもらう場合、まずは法テラスで法律相談をします。その上で法テラスの利用要件を満たしているかの審査を受けて、問題が無ければ契約を締結し、示談斡旋が始まります。
示談が成立すればそこで終わりますが、成立しなかった場合は調停や裁判へと進みます。
なお、法テラスの利用料金は有料です。一般的な法律事務所に依頼するよりは大幅に安い料金設定ですが、着手金や報酬金を支払う必要は有ります。
参考:生活保護を受けている方や、生活保護が必要な程に生活が苦しく、将来的にも資力の回復が難しいと考えられる場合は、申請する事で免除される場合が有ります。
④民事調停
民事調停は上記で紹介した機関の説明の中でも登場しましたが、①〜③までの示談斡旋で示談が成立しなかった場合に、利用されます(最初から調停をする事も可能です)。
他の機関とは異なり、簡易裁判所で2人の調停委員の立会の下、話し合いを進めていくというもので、2〜3回程度の打ち合わせが行われ、約80%が3ヶ月以内に終了します。
なお、民事調停は有料ですが、訴訟の半額と安い料金設定となっており、弁護士を雇う必要も無いので訴訟と比べると弁護士費用が浮くというメリットが有ります。
調停の結果両者が合意して決めた内容は、調停調書として裁判での判決と同様の効力を持つ事になります。
調停でも両者の合意に至らなかった場合は、裁判へと進む事になります。
まとめ
いかがでしたか?法律に精通している一般の方はあまりいないでしょうし、資金的にも安く解決出来るに越した事は無いですよね。
そういう意味では、ここで紹介した様な無料で示談斡旋をしてくれる機関が有るというのはとても有難いですね。
交通事故に遭遇し、相手方との交渉が難航しそうな場合は迷わず利用てみましょう。
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