加害者が自動車保険未加入の場合、被害者は自分の保険を使うしか無いのか【任意保険・自賠責保険両方の観点から】

任意保険と自賠責保険  
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自賠責保険は強制保険なので、基本的には殆ど全ての方が加入している筈です。また、任意保険についても、未加入だと交通事故に遭遇し、損害賠償請求をされた場合に、支払が出来ないという状態になりかねないので、殆どの方が加入しています。

しかし、稀にこれらの保険に加入していない方がいます。

交通事故に遭遇した際に、加害者が自動車保険に加入していなかった場合、被害者は自分の保険を使うしか無いのでしょうか?以下で見ていきましょう。

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任意保険の加入率

日本にある車の任意保険加入割合は、一体どれくらいなのでしょうか?

この点、損害保険料率算出機構の自動車保険の概況によると、2015年3月末の対人・対物賠償保険の加入率は73.8%()となっています。

:他には、搭乗者傷害保険(34.0%)、車両保険(43.2%)、人身傷害保険(67.0%)となっています。

他にも自動車共済に加入している方が全体の13.8%いるので、合計で87.6%の方が任意保険(共済)に加入している事になります。逆に言うと、12.4%(約1千万台!)は未加入という事になります。数字で見ると、結構未加入の方は多いですね・・・。

任意保険に未加入の場合

まず、「加害者が自賠責保険に加入しているけど任意保険には加入していない」というケースを考えてみましょう。

任意保険未加入での事故

加害者は、自賠責保険に加入しているので自賠責保険を使う事が出来ます。但し、自賠責保険は以下の様に補償の上限金額が予め決められています。

  • 傷害:120万円
  • 死亡:3,000万円
  • 後遺障害:4,000万円

【自動車】自賠責保険と任意保険の違いとそれぞれの特徴

軽微な事故であれば、上限金額内で収まるかもしれないですが、死亡事故など大きな事故だった場合は、自賠責保険では到底賄いきれない賠償金額が発生します。

そこで、被害者側としては以下の様な方法を取る事が考えられます。

人身傷害保険を使う

最近は、自動車保険に加入している方の内、実に9割以上の方が人身傷害保険を付帯しています。人身傷害保険は、過失割合に関係なく自分の治療費をもらう事が出来る保険で、特に相手が無保険の場合や過失割合で争う様な場合に有効です。

参考:車内にいる時のみ補償されるタイプと、車外にいるときも補償されるタイプとが有ります。

従って、相手方が保険に入っていない場合、自分(被害者)の加入している人身傷害保険を使う事が考えられますね。

人身傷害保険だけを使った場合はノーカウント事故扱いとなり、翌年の保険料への影響は有りません。

無保険車傷害特約を使う

無保険車傷害特約は、人身傷害保険ほど付帯させている方は多く無いですが、名称の通り「事故の相手方が無保険車の場合に保険金を受けとる事が出来る」という特約です。

事故による負傷

無保険のときだけでなく、「保険に加入しているが保険金額が損害賠償金額よりも低い」という場合にも補償を受ける事が出来ます。

無保険車傷害特約も人身傷害保険同様、ノーカウント事故扱いとなるので、使用しても翌年の保険料への影響は有りません。

自賠責保険に未加入の場合

これまでは、加害者が任意保険に加入していないケースの解説をしてきましたが、自賠責保険に加入していないケースではどうなるでしょうか?

自賠責未加入での事故

この点について、加害者は自賠責保険に未加入でも任意保険は使う事が出来ます。しかし、自賠責保険に加入していない様な方は、通常は任意保険にも加入していない事が予想されますよね。

また、仮に任意保険に加入していたとしても、任意保険は自賠責保険の限度額を超えた分についてのみ保険金が出るので、自賠責部分については加害者が自分で負担しなければなりません。

ポンと自己負担額を支払う事の出来る方は中々いないでしょうから、被害者は自分の保険を使う等の手だてが必要となります。

まず、自賠責保険未加入の場合、自賠責保険の補償上限額までは以下で紹介する政府保障事業で補償を受ける事が出来るので、是非活用しましょう。

そして、自賠責の補償上限額を超える賠償金については、加害者の資力について検討し、賠償金を支払う事が無理であれば、上で説明した様に、被害者の加入している保険(人身傷害や無保険車傷害特約)を使う様にしましょう。

政府保障事業へ請求する

自賠責保険に未加入の車と交通事故に遭った場合、政府保障事業の補償を受ける事が出来ます。(参照元:国土交通省「自動車総合安全情報」)

無保険事故での保障

政府保障事業は、ひき逃げや無保険車との交通事故で人身損害が発生した際に、被害者を救済する事を目的として運営されている事業です。

従って、以下の様な特徴が有ります。

  • 請求が出来るのは被害者のみ()で、加害者は請求出来ない。
  • 健康保険や労災等から給付を受けられる場合は、その金額を控除して填補される。
  • 損害を填補した場合、政府が被害者の代わりに加害者に求償する。
  • 補償が受けられるのは自賠責保険と同額まで。

:被害者が無くなった場合は法定相続人及び遺族慰謝料請求権者が請求出来ます。

参考:政府保障事業は、事故が発生してからすぐにお金が受け取れるという訳ではない(無保険事故の場合は7ヶ月前後かかると言われています) ので、一時的に働けなくなった場合は、家計が苦しくなる事が想定されます。

列挙した特徴の中に有る様に、政府保障事業によって補償されるのは自賠責保険と同額までです。自賠責保険に加入していない方の多くは任意保険も未加入でしょうから、本人に資力がなければ政府保障事業のみでは十分な補償を受ける事は難しいでしょう。

政府保障事業への請求は損害保険会社を通して行う事になります。詳細は損害保険会社に問い合わせてみて下さい。

:保険代理店では対応してもらう事が出来ません。必ず保険会社に問い合わせる様にしましょう。

補足:自賠責保険未加入=車検切れ

自賠責保険に未加入という事は同時に車検切れ()という事になります。

:自賠責保険は通常、車検の有効期限+1ヶ月で加入するので、「車検切れだけど自賠責保険はまだ有効」という事は有り得ます。

車検切れの場合、交通違反としての罰則も有るので、加害者としては警察に連絡をせずにその場の話し合いだけで済ませようとする事が考えられます。

確かに、相手にお金が無くて罰則も科されるというのはかわいそうと感じるかもしれません。しかし、政府の救済を受けたり自分の保険を使って保険金を受け取るには、警察に人身事故として連絡し、交通事故証明書を発行してもらわなければなりません。

悪いのは加害者なので、一時の情に流されずに警察に連絡してしっかりとした対応をして貰う様にしましょうね。

まとめ

いかがでしたか?出来れば交通事故には遭いたくないですが、さらに交通事故の相手が保険に未加入というのは、不運としか言いようが無いですよね。

加害者が保険未加入の場合は、政府保障事業や人身傷害保険、無保険車傷害特約を活用する事が出来ます。人身傷害保険や無保険車傷害特約に入っていない方は、これを機に契約を見直してみてはどうでしょうか?

ちなみに、自動車の場合は車検が有るので、車検が有効である限り自賠責保険未加入という事は無いですが、車検のない原付や400cc未満のバイクなどは、自賠責保険未加入というケースがよく有る、という事は頭の片隅にでも入れておいて下さい。

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