うっかり車検が切れてしまった!
そんな時に必須なのが「仮ナンバー」です。道を走っていると、たまに「白地に赤の斜線が入ったナンバープレート」を付けた車を見かける事がないですか?
これが「仮ナンバー」と呼ばれるもので、皆さんも日常生活で使う可能性の有るものなのです。(参考:赤や黒などナンバープレートの色分けの意味まとめ)
ここでは、仮ナンバーが必要となる状況や取り方・注意点などについて見ていきますね。使い方を間違えると罰則の対象にもなるので、しっかりと理解しておきましょう。
最初のセクションでは仮ナンバーの種類などについて記載しているので、取得方法を早く知りたい!という方は「仮ナンバーの取り方」のセクションだけお読みください。
仮ナンバーとは?
仮ナンバーとは、正式名称を「自動車臨時運行許可番号標」と言い、その名の通り「臨時で運行許可の出たナンバー」という意味です。なお、仮ナンバーをもらう際にはナンバープレートとは別に「臨時運行許可証」も交付されます。
参考:臨番(りんばん)とも言います。
道路運送車両法第34・35条によって規定されたもので、いつでも仮ナンバーを使えるという訳ではなく、主に以下の様なケースで使う事が可能です。
- 車検が切れた場合
- ナンバープレートを無くした(盗難に遭った)場合
- 廃車した車のナンバーを再度取る場合
以下で、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
仮ナンバーが必要となる状況
ここでは、上で紹介した仮ナンバーを使う状況について、詳しく内容を見ていきますね。
車検が切れた場合
車検が切れた状態の車は、公道を走る事が出来ません。これは、道路運送車両法に定められており、違反すると罰則があります(参考記事:車検切れ車の廃車手続)。
しかし、車検が切れているからといって公道が絶対に走れないとなると、その車は車検を受ける事が出来なくなってしまいますよね(積車で運ぶという手はありますが、あくまでも一般人を前提に)。
そこで、車検切れの車が車検を受ける為に一時的に仮ナンバーを発行してもらい、運輸支局まで車を持ち込む事が出来る様になっているのです。
ナンバープレートを無くした(盗難に遭った)場合
ナンバープレートをわざわざ外して走る人は滅多にいないでしょうが、いたずらなどで稀にナンバープレートを盗まれることが有ります。
ナンバープレートの盗難はなぜ起こる?盗難防止ネジで盗難を予防しよう!
しかし、ナンバープレートは言わば車の身分証明書の様なもので、これを付けずに公道を走る事は認められていません。参考までに、道路運送車両法では以下の様に定められています。
(自動車登録番号標等の表示の義務)
第十九条 自動車は、(〜一部省略〜)自動車登録番号標及びこれに記載された自動車登録番号を見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない。
そして、ナンバーを付けずに公道を走っていた場合は交通違反点数2点(番号標表示義務違反)となり、50万円以下の罰金刑が課されます(封印が無くなった場合は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金)。
しかし、ナンバープレートを再発行してもらうには運輸支局に車を持ち込まなければなりません。
公道を走ってはいけないとなると、いつまで経ってもナンバーの再発行が出来ないですよね・・・。そこで、臨時的に仮ナンバーを発行してもらい一時的に公道を走れる様になるのです。
廃車した車のナンバーを再度取る場合
通常は、「車を廃車にする」=「違う車に乗り換える」ことを意味しています。しかし、中古車販売店などでは、売れるまでの間の税金が勿体ないので、一般的に在庫として保管している間は登録を抹消していることが多いです(いわゆる一時抹消)。
そして、車が売れたらお客さんに納車するために再度登録(中古新規登録検査)を行います。この時、運輸支局に持ち込む必要がありますが、登録を抹消しているのでナンバーがありませんよね。
そこで仮ナンバーを発行してもらい、運輸支局までいく事になるのです。
仮ナンバーの種類
仮ナンバーには以下の2種類があり、用途によって必要となるナンバーが異なります。
- ①臨時運行ナンバー
- ②回送運行ナンバー
①臨時運行ナンバー
通常、皆さんが取得するのはこの臨時運行ナンバーで、白地に黒のナンバーで赤の斜線が入っています。
②回送運行ナンバー
これは「ディーラーナンバー」と一般的に呼ばれる、自動車関連の業者が取得出来るナンバーで、白地に黒のナンバーでプレートのフチが赤で囲まれています。
参考:「赤枠ナンバー」「赤ナンバー」などとも呼ばれています。
通常、仮ナンバーは1台毎にその都度許可申請をしないといけません。しかし、日々車を扱う業者にとってこれはとても面倒な作業ですよね。
そこで、ディーラーナンバーを取ると、車に対してではなく業者に対してナンバーが発行され、1台毎に申請手続きをする必要が無くなるのです。
仮ナンバーの取り方
ここでは仮ナンバーの取得方法や費用について見ていきましょう。
この記事は一般の方向けなので、ディーラーナンバーの取り方などについては省略します。
仮ナンバーの取得手続き場所・料金
仮ナンバーの申請手続きは、車のある場所から目的地までの運行経路の最寄りにある「市区町村の役所」です。
そもそも運輸支局に行くために必要なものなので、運輸支局で貰うものではないという点に注意が必要ですね。あと、申請の為に車で行くのもダメですよ!車に乗るのは仮ナンバーをもらってからです。
参考:ディーラーナンバーを管轄しているのは運輸局及び運輸支局なので、申請も運輸支局でする事になります。
手数料は役所によって異なる場合がありますが、殆どの場合750円程度です。
なお、許可申請期間中でも自賠責保険は有効にしておく必要が有ります。従って、新規登録や車検の時に加入する自賠責は、最低でも1ヶ月分余分に契約をしておく必要がありますね。
仮ナンバー取得に必要な書類
仮ナンバーの申請には、以下の書類等が必要となります。
- 自動車臨時運行許可申請書 ※
- 自賠責保険証明書(有効期限が1ヶ月以上有るもの)
- 本人確認書類
- 「車検証」「抹消登録証明書」「登録事項等証明書」のいずれか
- 印鑑(認印でOK)
- 手数料(750円)
※:住所氏名を書く場所がありますが、車検証と異なっていても問題ありません。
なお、自動車臨時運行許可申請書は役所の窓口でもらえます。参考までに東京都北区の申請書を貼っておきますね(役所によって雛形が違うので、これをプリントアウトしても使えません)。
内容的に難しいものは無いですね。車検証等を見ながらその場で書く様にしましょう。必要書類を提出したら、審査をしてすぐに仮ナンバーが交付されますよ。
有効日数(返却期限)
仮ナンバーは1度取得すると、いつまでも有効という訳ではありません。車検など特定の目的の為に発行してもらうので、通常は有効期間は5日となります。
有効期間の間に必ず目的を果たして、すぐに返却する様にしましょうね。また、有効期間経過後5日以内に返却しない場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となることがあります(道路運送車両法第108条)。
参考:有効期限までに返却が出来ない場合、あらかじめ役所に連絡をしておけば、多少遅れても問題ない様です。また、一般的に返却期限が土日を挟む場合は翌日に返却してもOKです。
仮ナンバーの付け方
役所で受け取った仮ナンバーは、どの様にして車に付ければいいのでしょうか。
この点、道路運送車両法の36条には以下の様に規定されています。
第三十六条 臨時運行の許可に係る自動車は、次に掲げる要件を満たさなければ、これを運行の用に供してはならない。
一 臨時運行許可番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該臨時運行許可番号標に記載された番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示していること。
二 臨時運行許可証を備え付けていること。
つまり、、、
- 仮ナンバーは普通のナンバープレートと同様に車に取り付ける
- 役所でもらった臨時運行許可証は車に載せておく
という事ですね。
たまに、「仮ナンバーは車に取り付けずにダッシュボードなどの見やすい位置に置いておけば良い」と考えている方がいるようですが、これは間違いです。
道路運送車両法施行規則第7条では以下の様に規定されています。
自動車登録番号標の取付けは、自動車の前面及び後面の見やすい位置に確実に行うものとする
確実に取り付けなければならないとされているので、ダッシュボードに置いている状態では十分ではないですよね。
従って、警察に止められても仕方ありません(それで実際に違反扱いされたという方はあまり聞いたことが無いですけどね)。
なお、確実に取り付けられているのであれば、取り付け方自体に決まりはありません。といっても通常はネジで固定しますけどね。
【注意】仮ナンバーの目的外利使用は罰則有り!〜虚偽の申請理由も×〜
上述の様に、仮ナンバーは取得してから通常は5日以内に返却しなければなりません。
これは、車検等の特定の目的のために借りるものなので、目的を達成したらすぐに返してくださいねという意味です。その為に、申請書には目的地までの経路も記載する必要が有ります。
従って、仮ナンバーを付けて運輸支局以外の場所に行くことは想定されておらず、寄り道などをしていると目的外使用として処罰(仮ナンバーの使用停止など)されても文句は言えません。
中には仮ナンバーでサーキット走行をしている方もいる様ですが、虚偽の申請である可能性が高いですね。不正使用をして警察に捕まった事例も有る様なので、注意しましょう。
わざわざ仮ナンバーを使ってドライブに行く意味も無いでしょうから、目的を達成したら速やかに返却する様にしましょうね。仮ナンバーの状態で通勤に使うなんてもってのほかですよ!
参考:実際にはあまり利用する方はいないでしょうが、仮ナンバーは試運転目的の為に利用することも出来ます。目的地を決めて試運転で一度だけお出かけ、というのは一応可能でしょうね。あまりメリットが感じられないですが・・・。
仮ナンバーを紛失した場合はどうする?
5日程度しか借りることの出来ない仮ナンバーですが、その短期間の間に不運にも紛失してしまう方がいる様です。
仮ナンバーを紛失した場合は、すぐに警察に紛失届けを提出し、その後で市役所等の窓口にも紛失届けを提出しましょう。
仮ナンバーではなく許可証を紛失した場合は、警察への届出は不要で市役所等の窓口に紛失届けを提出すればOKです。
仮ナンバーと自動車保険の関係
仮ナンバーを付けている時に”自賠責保険”や”任意保険”は使う事が出来るのでしょうか?通常のナンバーと違うので気になりますよね。
自賠責保険は利用可能
まず、自賠責保険については利用する事が出来ます。そもそも、仮ナンバーを取得するには自賠責保険が有効である事が求められているので、仮に期限切れの場合は予め1ヶ月間でもよいので加入しておく必要があります!
任意保険も利用可能〜事前に保険会社に連絡しておけば事故でも補償有り〜
次に任意保険ですが、基本的には自分の車で任意保険を契約しているのであれば、仮ナンバー中に交通事故に遭ったとしても補償を受ける事が出来ます。
保険会社に予め一時的に仮ナンバーになる旨を伝えておく必要がありますが、仮に伝えていなかったとしても補償を受けられなくなる、という事態にはならない様です。
また、任意保険に入っていない状況で仮ナンバーの車に乗る事になった場合でも、保険会社に連絡すれば仮ナンバー時のみの短期契約をすることも可能です。
詳細は保険会社によって異なるので、各自問い合わせる様にして下さいね。
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まとめ
仮ナンバーの種類や取得方法などについて説明して来ました。
普通に車に乗っている限り、仮ナンバーを使う状況にはなかなかならないですが、万が一車検が切れてしまったりナンバープレートが盗難に遭ったりすると必要になります。
あくまでも臨時で使うナンバーなので、必要最小限の使用に留めて、目的を達成したらすぐに返却する様にしましょうね。
コメント一覧
質問
正規ナンバーが前後に正しく設置してあり(車検の有無不明)、陸送と思われる車(新車orオークション落札車)に赤枠の仮ナンバーをハンドル前のフロントに1枚置き、高速料金を仮ナンバー運賃で通行するのが横行しているが、陸送時の高速料金は仮ナンバーをフロント置きで、仮ナンバー料金が認められているのでしょうか?
仮ナンバーを正規に設置しなくとも、正規ナンバーが付いている時はフロント置きで良く、陸運局に確認済みで許されているとの事?