日本が高度経済成長の頃は、若者にとって車を購入する事は、一種の「憧れ」であり「目標」でした。
しかし、時が流れた現在は、若者の車への興味が薄れてしまい「若者の車離れ」が進んでいます。
なぜ、「若者の車離れ」が進んでしまっているのでしょうか。
若者の車離れの理由
若者の車に対する価値観は、以前の抽象的な「憧れ」や「目標」ではなく、具体的な「移動手段」へと変化しています。つまり、「車を買いたい」という感情から「車が必要なら買う、必要でなければ買わない」といった感情に変化しているわけです。
このような変化に至った背景には、社会の変化が影響しています。
- 雇用環境の変化
- 維持費の高さ
- 販売される車種の変化 等
雇用環境の変化
不況により正規雇用が減り、非正規雇用が増えた事です。少ない収入で、高価な車が買えるでしょうか。また、雇用期間が決まっていては、ローンで購入する事も躊躇してしまうでしょう。
維持費の高さ
車の維持費には、税金・ガソリン代・保険料などその他多くの費用がかかります。地域によって維持費に差は有りますが、都市部だと月々数万円の維持費が必要になります。
安定した収入があったとしても、車の維持費の高さによって、車の購入を控えるようになってしまうのです。実際、アメリカと日本の税金の差は約5倍も有るようです。若者が、車から離れてしまうのも頷けます。これは、若者に限った話では無いでしょう。
販売される車種の変化
若者向けの車が減った事も影響しています。
最近は、燃費を優先した車が多くなっています。軽自動車・コンパクトカーがそうですよね。つまり、若者が好きなスポーツカーが、減ってしまっているわけです。ただですら興味が薄れているのに、欲しい車が無ければ、車離れを加速させてしまっても仕方が有りません。
若者達自身の変化も・・・
若者達の「趣味の多様化」や「興味・関心のある商品の変化」も「車離れ」の要因となっています。
音楽・ゲームなどの様々な趣味を持つ若者が増えた事で、興味・関心のある商品が「車」から「携帯・PC」などに変化しているためです。車よりも出費を抑える事が出来ますしね。
地方と都市部での違い
若者の車離れが議論される際に、地方の若者は該当しないとする意見もあります。確かに、都市部の若者に比べると、地方の若者は車を購入する割合は高いと言えます。
ただし、地方は自動車以外の交通機関の整備が不十分であるため、移動手段として自動車が必要だからです。もし、地方も都市部のように交通機関がしっかり整備されれば、車離れが進んでいく事でしょう。
車離れを裏付けるデータ
それでは、こういった事を踏まえて、様々なデータから「若者の車離れ」について見て行きましょう。
データは、ソニー損保が2015年に新成人になる人に対して行った「カーライフアンケート調査」を参考にしています。
北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市を「都市部」とし、それ以外を「地方」としています。
■免許保有率について
都市部では「47.4%」となっており、地方の「59.7%」から12%も低く、都市部で車離れが進んでいる事がわかります。また、この先免許を取得する予定が無いと答えた割合も、都市部が約6%上回っています。
■アンケート調査若者の車離れに対するもの
「若者の車離れ」が自分にあてはまると答えた人は40%と、自分自身で実感している人が、およそ2人に1人いるみたいですね。また、車の必要性を感じないと答えた人は、やはり都市部の若者の方が多いです。
経済的な余裕が無いと答えた人が70%、メーカーに若者向けの車を作って欲しいと感じている人は50%と、車離れの理由が数値として現れていますね。
■車に対するイメージ
車に対するイメージを表す漢字で「危」と「怖」が上位に上がってきている事がわかります。
「車=事故」といったイメージが強くなっているのでしょう。また、事故を起こした時の損害賠償などのリスクも、影響しているのかもしれません。
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