「セル生産方式」とはどんな生産方式のこと?最新の生産方式らしいから、やっぱり、働く人が楽になったりするの?
セル生産方式とは、1人または少数のチームが、U字型に配置したライン(「セル」という)で、製品を組立ていく生産方式のこと
セル生産方式は、今までは主流だったライン生産方式を更に進化させた生産方式です。だからこそ、働くスタッフ一人一人の負担は減ると思いますよね。
しかし実は、作業につく一人一人の負担は大きい生産方式であることをご存知でしたでしょうか?
もし、この事実を知らなければ、セル生産方式について間違った知識をもったままだったことでしょう。
しかし、ご安心ください。今回の記事では、セル生産方式の基礎知識やメリット・デメリットを解説していきます。
さらにセル生産方式をすでに導入した事例についても解説していくので、セル生産方式について気になっている人は、必見の内容となっていますよ。ぜひ最後までご覧ください。
【基礎知識】セル生産方式とは?
セル生産方式とは、1人または少数のチームが、U字型に配置したライン(「セル」という)で、製品を組立ていく生産方式のこと
従来の生産方式はライン生産方式でした。仕組みとしては以下の通り。
ライン生産方式は一種類の製品を大量に作るのは得意でしたが、以下のようなデメリットが露呈され、使い勝手が悪いという評価を受けるようになりました。
- 工程を増やすとラインが伸びて、完成まで時間がかかる
- ライン全体をいじる必要があるので、生産する品目を変更しにくい
- ライン上の他に比べて、負担のかかる部位が少なくとも生じてしまう
大量生産を効率的にやるというのは、ライン生産方式の強みでした。しかしこれらのデメリットが露呈してしまったため、新たな生産方式を作る必要が出てきたのです。
それこそまさに「セル生産方式」。ライン生産方式のデメリットを解決した新しい生産方式となっています。
セル生産方式の5つのメリットと2つのデメリット
ここまでは、セル生産方式の基礎知識について紹介してきましたが、生産方式としてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
セル生産方式の5つのメリット
まずはメリットを紹介していきましょう。具体的には以下の通りです。
- 多くの品目を生産できる
- 素早く完成できる
- 生産する品目を簡単に変えられる
- 特定の部位に負担をかけない
- 作業スタッフに責任感が芽生える
それではそれぞれのメリットについて、詳しく紹介していきます。
メリット1.多くの品目を生産できる
各セルは独立したラインになるので、異なる品目を作れます。
そのおかけで、多品種生産にうまく対応できる、というわけですね。
メリット2.素早く完成できる
それぞれのセルで組立が完結するため、移動時間が省かれます。
つまり工程が大幅に削減され、素早く完成できるというわけ。
メリット3.生産する品目を簡単に変えられる
ラインより設備が簡素なセルでは、レイアウト変更に対して柔軟に対応可能です。
ライン生産方式はレイアウト変更のために1日以上工場止めていたのが、セル生産方式になると、数時間でレイアウト変更出来るようになっています。
メリット4.特定の部位に負担をかけない
それぞれのセルが独立して生産を行うため、特定の部位に負担をかけることもありません。
働いてる人が「他の所に比べて、うちの部位だけきつい…」という不公平感を感じることもないでしょう。
メリット5.作業スタッフに責任感が芽生える
作業スタッフは割り振りされた作業を完成までを受け持ちます。
そのため「手を抜くと自分のせいだとすぐにわかる」と責任感が芽生えます。
セル生産方式の2つのデメリット
ではセル生産方式のデメリットは何になるのでしょうか。具体的的には以下の2つです。
- 作業者ひとりに求めるレベルが高くなる
- 作業者への教育時間がかかる
ではそれぞれのデメリットについて、詳しく解説していきましょう。
デメリット1.作業者ひとりに求めるレベルが高くなる
セル生産方式は、一人あたりの作業が増えるため、作業者が高いスキルを求めることになります。
ただの作業と言うよりも、職人気質なスキルを問われることになるでしょう。
デメリット2.作業者への教育時間がかかる
高いスキルを求めるがゆえに作業者への教育時間がかかります。
つまり、作業者がすぐに退職してしまう職場環境には向いてないといえますね。
セル生産方式の実例
ここまではセル生産方式のメリット・デメリットについて見てきましたが、現在、セル生産を導入しているのは、どのような事例なのでしょうか?
セル生産方式は、主に情報機器や家電の生産に使われています。そして徐々にですが、自動車部品などの分野にも普及が進んでいますよ。
なお、今ではまだあまり進んでいない自動車部品へのセル生産方式の進出ですが、実はスウェーデンでは早い段階で導入がされていました。
スウェーデンのメーカー「ボルボ」は、1980年頃にセル生産方式を導入しています。
セル生産方式を導入する前は、ベルトコンベアを用いたライン生産方式で大量生産を行っていましたが、労働意欲の低下を招き、離職率を高めてしまうことに。
そこで、ボルボは大量生産方式ではなく、少人数のチームで車1台を最初から最後まで組み立てる「セル生産方式」を採用した工場を建設し、今に至ります。
まとめ
今回はセル生産方式について解説してきました。実はラインにつく一人一人の負担は大きいと、理解いただけたと思います。
もし、セル生産方式について気になっているのであれば、ぜひ今回解説した内容を思い出してください。
以上「最新なのに負担が大きい?セル生産方式の5つのメリットと2つのデメリット」でした。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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