「車を動かした後の地面を見たら黒い液体が溢れている・・・」
「この前入れたばかりなのにもうエンジンオイルが切れた・・・」
こんな症状になっている人は要注意!
後でも述べますが、エンジンオイルはその名の通り「エンジンの潤滑油」ですから、車を動かすために無くてはならないものです。
オイル漏れが継続すると、エンジントラブルに発展しかねませんのでしっかりと対策をとっていきましょう。
まずは漏れている液体をチェック
車から漏れる液体には、エンジンオイルだけでなく冷却水や燃料など様々な物が有ります。液漏れしているからといって、必ずしも故障しているとは限らないので、まずは漏れている液体が何かを判断する必要が有ります。
以下で、車から漏れる可能性の有る液体やその特徴を一覧にしたので、参考にして下さい。
液体 | 特徴 | 問題の可能性 |
---|---|---|
水 | 無色の水 | エアコン使用時に車の下に溜まる物で問題無し |
冷却水 | 緑・赤・青色の水 | 放っておくとオーバーヒートの危険性有り |
エンジンオイル | 黒っぽい液体 粘度・独特の匂い有り | エンジントラブルの可能性有り |
ミッションオイル | 黒っぽい液体 粘度・独特の匂い有り | ブレーキ関係のトラブルの可能性有り |
燃料 | ピンク色の液体 強い臭気 | 燃料ホースの破損等による物で、爆発の危険性有り |
表で分かる様に、漏れている液体が水以外の場合は何かしら問題が発生している可能性が有るので、早急にディーラーや整備工場等に相談が必要ですね。
エンジンオイルが漏れるとどうなる?
エンジンオイルは名前の通り「オイル」です。オイルは引火性が高いので、最悪の場合、漏れたオイルに引火し車両火災になる可能性が有ります。
また、エンジンが焼き付いてオーバーヒートする事も有りますし、燃料室へエンジンオイルが流入する(※)事で、エンジンオイルが燃えて無くなる事も有ります。
※:シリンダーとリングの間に出来た隙間から、オイルパンに有るオイルが燃焼室に上がる事を「オイル上がり」、バルブから燃焼室にオイルが落ちて来る事を「オイル下がり」と言います。
但し、エンジンオイルが漏れていたとしても、にじむ程度や一日に数的漏れる程度なら特に問題は有りません。しかし、ポタポタと垂れる場合は要注意です。そのままだと車検に通らなくなりますし、火災や故障に繫がるので修理が必要です。
漏れる原因と対策
ここからは、エンジンオイルが漏れる原因や対策を状況別に見ていきましょう。
ドレンコックからの漏れ
エンジンをかけた数分後に、路面に真っ黒のオイルが垂れている事が有ります。
これは、オイル交換をした際にオイルパン(エンジンの下でオイルを受け止める受け皿)に付いているドレンコック(オイルを抜くときに外すボルト)から、オイルが漏れている場合に起きる現象です。
注:オイル交換の際にエレメントも交換している場合は、エレメントからエンジンオイルが漏れる事も有ります。
ドレンコックにはパッキンが付いているのですが、絞め過ぎると破損してオイルが漏れてしまいます。また、取り外しの際にパッキンが取れる事が有り、そのままドレンコックを取り付けたときもオイルは漏れてしまいます。
オイル交換をした直後は、オイル漏れが無いか確認する様にしましょうね。もし漏れている様であれば、すぐに整備工場等に相談する様にしましょう。
なお、パッキンの劣化によりエンジンオイルが漏れる事も有りますが、この場合は市販されている「エンジンオイル添加剤」を使う事で、とりあえずの応急処置は可能です。
この添加剤には、エンジン内部の金属部分に保護膜を作ったり、オイルの粘度を上げたりする事で隙間からオイルを漏れにくくする効果が有ります。但し、「効果があまり長続きしない」という弱点が有ります。
また、以下の様な「エンジンオイルの漏れ止め剤」という物も有ります。
漏れ止め剤は柔軟性を失ったゴムに付ける事で、柔軟性を取戻し、オイルが漏れる隙間を無くす事が出来ます。根本的な原因を直す事が出来るので有効ですが、「即効性が無い」という弱点が有ります。
これらの添加剤等にはいずれも弱点が有るので、車にあまり詳しく無い方は迷わずディーラー等に相談した方が良いでしょう。
ショックアブソーバーが限界
タイヤ交換の際にホイールを外すと、内側にエンジンオイルが付着している事が有ります。
これは、ショックアブソーバー(走行中に受ける路面のショックを、油圧を利用して和らげるピストン状のパーツ)が消耗し過ぎている事が原因です。
ショックアブソーバーは、大体走行距離6万〜8万キロ程度で機能しなくなります(この状態を「ショックが抜ける」と言います)。そして、そのまま放っておくと、デコボコ道や急カーブでのショックが大きくなったり、エンジンオイルが漏れたりします。
ショックアブソーバーが消耗が限界まで来ていると車の運転に支障をきたすので、異変を感じたらすぐに交換する様にしましょうね。
シリンダーにオイルが侵入
エンジン始動の際や、高回転のアイドリングをした際に、マフラーから黒い排気ガスと共に霧状のオイルが吹き出す事が有ります。
これは、シリンダーに大量のエンジンオイルが侵入している事が原因と考えられます。
霧状のオイルが吹き出すのは、エンジンが故障している事を意味しており、エンジンを構成する部品の1つである「ピストン」と「リング」を、現在よりも一回り大きいサイズの物に付け替える事で解消する事が出来ます(オーバーピストンと言います)。
注:ピストンとリングを一回り大きなサイズに変更する場合、シリンダーも合わせて削る(ボーリング)必要が有ります。
この症状は、日頃から暖機運転を心がけ、適量のエンジンオイルを保持するによって避ける事が出来ます。エンジンオイルの交換時期をチェックして、時期が来たら忘れずに交換する様にしましょうね。