高級なスポーツカーの1つにポルシェが有ります。「ポルシェに乗っている」と聞くと、お金が有るんだなぁと思いますよね。しかし、一重にポルシェと言っても、911や718、カイエン、パナメーラなど、様々なモデルに分かれています。
ポルシェはメーカー名に過ぎないので、「車は何乗っているの?」と聞かれて、「ポルシェだよ」と答えるのは、「トヨタだよ」と答えるのと同じです。普通は、トヨタの○○と言う車種に乗っている、と答えますよね?
ところで、ポルシェの人気モデルは911ですが、968というモデルも有ります。このポルシェ968は、ポルシェファンの中では「ポルシェではない!」と言われる事が有る様ですが、どういう事なのでしょうか?以下で見ていきましょう。
ポルシェ968とは?
(画像参照元:Favcars)
ポルシェ968は、当時中古車市場で値崩れし始めた、ポルシェ944の後継車として導入されました。1991年から1995年まで生産され、水冷FRスポーツカーとしての最後のモデルです。なお、最も人気だった「968カブリオレ」は、上の写真の様にスタイリッシュなデザインのオープンカーです。
「968は944の焼き直しに過ぎない」、と市場で受け止められた為にあまり販売が伸びず、4年間で累計約1万2千台の生産に留まり、後継車であるボクスターにバトンを渡す形で販売が終了しました。
なぜ「968はポルシェではない」と言われる?
なぜ「968はポルシェではない」と言われるのでしょうか?この点、大きな原因としては、上でも少し触れましたが、968が「水冷FR」という点が挙げられます。
水冷式のエンジンは”ウォータージャケットに取り入れた水”で熱くなったエンジンを冷やします。一方で、空冷式のエンジンは、シリンダーヘッドの周りにフィンを付け、エンジンを直接空気で冷やす方式です。
冷却効率が水冷式の方が良いので、車のエンジンとしては水冷式が主流です。また、FRは「フロントエンジン・リアドライブ」の事ですが、これも最近の車の主流です。
つまり、ポルシェ968のエンジンや駆動系は、主流な車のそれと同じと言う事ですね。
(画像参照元:Favcars)
一方で、ポルシェ911は「空冷RR(※)」です。RRは、エンジンも駆動系も後ろに集中しているので、車の後部に車重が掛かります。その結果、「雪道でスタックしにくい」「ブレーキ時の安定性が高い」といったメリットが有る反面、「直進での安定性が低い」「コーナリングでのコントロールが難しい」「荷室スペースが狭い」といったデメリットも有ります。
※:993型までは空冷エンジンでしたが、1997年に移行した996型からは、ポルシェ911も水冷エンジンとなっています。
しかし、ポルシェ911は、デビュー以来ずっとRRを貫いて来ています。そして、数多くの改良を経て、デメリットの有るリアエンジンを逆に強みにし、レースなどでも好成績を残して多くのファンを獲得しました。
つまり、「空冷+RR」というこだわりに魅了されたポルシェ911のファンからすると、「水冷+FR」という組み合わせが「納得がいかない」という事なのです。これは、ポルシェ911を愛して止まないファンのプライドでしょうね。
まとめ
いかがでしたか?ポルシェ968も間違いなくポルシェです。しかし、空冷RRに魅力を感じているポルシェ911ファンからすると、「水冷FRのポルシェなんてポルシェではない!」と思ってしまう訳ですね。
なお、ポルシェ968は現在のところ、中古車としてほぼ流通していません。欲しいと思ったら、コマメにネット情報などをチェックして、売りに出たらすぐにアプローチする必要が有ります。