どの街にも必ずある、ガソリンスタンドの経営や、年収について気になっていませんか?
ガソリンスタンドと言えば、車に乗っている人の大半が使う場所ですから、それ相応の儲けがあると思いますよね。
しかし実はガソリンスタンドの経営者になったとしても、年収300万円を下回ることをご存知でしょうか?以下をご覧ください。
ガソリンスタンドに勤務する方の平均年収は273万7266円、平均月収は19万5519円で国内100職種の中では61位になります。
サービス業11種の中でみると、月収が30万円を超える方の割合が高くなっています。※出典:はたらいく「ガソリンスタンドの年収」より
上記は転職サイトで有名な「はたらいく」が出したガソリンスタンドに携わる人の平均年収です。
他の職種と比べても、ガソリンスタンドはそこまで高くない水準だと理解できることでしょう。
じゃあガソリンスタンド経営なんてしないほうがいいの?どうにか年収を増やす方法はない?
そうですよね。せっかくなら、やはり多くの年収をもらいものです。
そこで今回は実際にガソリンスタンドを経営している人にインタビューをして、「どれくらいの年収もらっているのか」「どうすれば経営が安定するのか」を調査してきました。
現場のリアルな内容ばかりなので、かなり参考になる内容になっていますよ。
ガソリンスタンド経営や年収について気になっている人には絶対に参考になる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【基礎知識】ガソリンスタンドの現状
まずは基礎知識とも言える「ガソリンスタンドの現状」について紹介していきます。
ガソリンスタンドをすることによって得られる「収入」について先に知りたい人は、「ガソリンスタンド経営で得られる年収」まで飛ばしてください。
ガソリンスタンドの数は減少している
ガソリンスタンドは経済産業省の調査によると、平成元年には全国に58,285カ所もありましたが、平成29年末では30,747カ所と、平成元年当時の半分近くにまで減っています。
石油価格の高騰により利幅が減った事や若者の車離れが起きている事が影響し、年々減少しているわけですね。
セルフ式のガソリンスタンドは街中でもよく見かけるようになったので減ってイメージはあまりあまりません。
しかし事実として、ガソリンスタンド全体の数は減る一方です。
これからガソリンスタンドを新たに経営しようと考える方にとっては、非常に厳しい状況と言えますね。
ガソリンスタンドで得られる利益
現在ガソリンは「1L120〜150円程度(レギュラー)」で販売されていますが、この内「原油コスト・石油石炭税・揮発油税・消費税・精製費用」が全体の9割以上を占めています。
つまり利益はたった数%(1リットル当たり5〜8円程度)しか得られません。
この薄利な状況が、ガソリンスタンドの経営が難しい原因の1つなのでしょう。
ガソリンスタンドの形態
ガソリンスタンドには主に「直営店」「特約店」「代理店」の3種類があります。
「直営店」とは石油会社が経営している店舗のこと。ガソリンの仕入れから販売まで全部行っている
どちらかというと、直営店はガソリンスタンド全体の中では少数派で、日本企業ではいか6社が該当しますよ。
直営店からガソリンを購入し、運送業者や工場、後述する「代理店」等に販売するのが「特約店」
特約店はガソリンスタンドを経営して消費者に販売する事もできますが、数は非常に少ないですね。
「代理店」とは特約店からガソリンを仕入れて販売しているガソリンスタンドのこと
ENEOS(エネオス)などの看板を掲げているのに、看板の下に「○○石油株式会社」など別の会社名が表示されているガソリンスタンドを見たことないですか?これが代理店ですね。
ガソリンスタンドを開業するには?
ガソリンスタンドは八百屋さんや喫茶店を開業するのとは違って危険を伴うので、開業するにも一定の手続や資格が必要となります。
具体的には、以下の要素をこなしていかなければいけません。
- 経済産業省による登録
- 揮発油の分析
開業に必要な要素1.経済産業省による登録
まずは揮発油等の品質の確保等に関する法律に基づいて、経済産業省からの登録を受ける必要があります。
登録のための申請には以下の書類等が必要となり、審査の期間があるので、事業を開始する14日前までには最寄りの経済産業局で申請してください。
- 登録申請書
- 登録免許税(3万円)
- 事業計画書
- 分析受託証明
- 危険物取扱免許の写し
- 商業登記簿謄本又は住民票
- 誓約書
- 消防申請許可
- 建築確認通知
【補足1】危険物取扱免許を取得
必要書類は基本的に管轄の経済産業局で手に入りますが、「危険物取扱免許」だけは事前に取得しておくべき「資格」です。
以下のいずれかの危険物取扱免許を取得しておきましょう。
- 危険物取扱者乙種第四類
- 危険物取扱者甲種
ちなみに「甲種」の試験はかなり難しいので、確実に合格したいなら乙種第四類を受験するのをオススメします。
【補足2】消防許可を取得
ガソリンスタンドは、ガソリンという危険な物質を扱う為、消防法第11条に則った設備を作る必要があり、市町村の許可が必要となります。
なお申請手続きは、お近くの消防本部でできますよ。
開業に必要な要素2.揮発油の分析
ガソリンスタンドで販売する「揮発油(ガソリン)」は、10日に1回内容を分析し、その結果を帳簿として2年間保存しなければなりません。
分析には分析装置を使って自分で分析する方法と、経済産業省で登録されている分析機関に分析を依頼する方法があります。
ガソリンスタンドを開業するなら、経済産業省での登録申請の際に、この分析機関からの受託証明書が必要となります。
ガソリンスタンド経営で得られる年収
ここまではガソリンスタンドの基礎的な知識について紹介してきました。
ガソリンスタンド経営を始めるのであれば、様々なハードルを乗り越えていかなければならないことを理解していただけたと思います。
では実際にガソリンスタンドを経営した時、どれくらいの年収になるのでしょうか。
ガソリンスタンドの年収に関しては、冒頭でもお伝えしましたが、転職サイト大手である「はたらいく」が以下のような統計を出しています。
ガソリンスタンドに勤務する方の平均年収は273万7266円、平均月収は19万5519円で国内100職種の中では61位になります。
サービス業11種の中でみると、月収が30万円を超える方の割合が高くなっています。※出典:はたらいく「ガソリンスタンドの年収」より
上記にあるようにガソリンスタンドの年収は、その他の職種より異常に高いわけではないことをわかっていただけたと思います。
ただ「はたらいく」の出している年収はガソリンスタンド経営者だけではなく、後述する「販売員」(アルバイトや社員)も含まれています。
だからこそ「ガソリンスタンド経営者の年収」として完全に鵜呑みにするのは、あまり現場感がないと言えるでしょう。
そこで現場の実態を調べるために、実際ガソリンスタンドを経営している方に協力していただき、年収についていろいろと気になることを聞いてみました。
今回協力していただいたのは、ガソリンスタンドを自身で経営していらっしゃる吉本さん(仮名)です。(お忙しい中、ご協力いただきありがとうございます)
さっそくなんですが・・・正直言って、年収っておいくらなんですか?
650万円です。自身で経営しているため、自分で年収を設定していますが、税理士の指導のもと、月年収650万円で収まるようにしています。
という事は、年収650万円以上にすると、利益的には赤字になるということなんでしょうか?
そうですね…正直言ってそれ以上の売り上げを上げる時もありますが、売り上げが低い時を考えると、650万円が妥当でしょうね。
ちなみにお知り合いの同業者の方々の年収って、どうなのでしょう?「はたらいく」の平均年収は300万円足らずと出ていますが。
確かにそれぐらいの年収の人はガソリンスタンドを経営している人でも多いですよ。従業員を多く雇ったりすると、やはり300万円を下回ってしまうことが多いですね。
なるほど。ということは上本さんは、ガソリンスタンド経営者の中でも年収が高い方に入るんですね。
いや、それがそうでもないんです。確かに600〜700万近辺にしている経営者は多いですが、すごい人になると年収1,000万円の人もいますよ!自分もそれぐらいを目指したいんですが…。
なるほど…。年収650万円と聞いたら、かなり高い水準と思いますが、上には上がいるんですね。
このように今回聞き取り調査をした感じだと、ガソリンスタンド経営者は年収600〜700万円近辺に収まっていることが多いとの事でした。
ただ驚きだったのは、ガソリンスタンド経営者であったとしても、年収300万円を下回る場合があるということ。
経営者と言えば、ある程度お金をもらってるというイメージがあるのですが、これは意外でした。
吉本さんのおっしゃっていた通り、やはり従業員を多くしたりしてしまうと、自分の給料を少なくせざるを得ないのでしょう。
【補足知識】ガソリンスタンドの販売員(社員・アルバイト)の年収
ここまではガソリンスタンドの傾斜の年収について見てきましたが「販売員」の年収についても見ておきましょう。
そもそもガソリンスタンドの販売員とは、ガソリンスタンドで給油や洗車などの車に関する総合的なサービスを提供する仕事です。
ガソリンスタンドを経営する会社に勤務する事になり、基本的には学歴や経験・資格などは特に問われず、誰でもなる事ができますよ。
どれぐらいの給料もらうことができるのか、今話題の求人サイト「indeed」を使って傾向を見てみましょう。
「indeed」にて「ガソリンスタンド」で検索してみると以下のような結果がでてきますよ。
アルバイト時は時給800~900円程度ですが、正社員になると給料が大きく異なります。
最初は年収200~300万円程度ですが、順調に出世して役職が上がる(店長になる)と年収650万円まで上がることも可能になります。
ガソリンスタンド経営を成功させる3つのコツ
ここまではガソリンスタンド経営者が狙えることができる年収について見てきましたが、年収をアップさせるためには経営を成功させなければなりません。
ガソリンスタンドの経営を成功させるためには、どうすれば良いのでしょうか。先ほどもお世話になった吉本さんにその秘訣を聞いてみました。
すいません、まだもう少しお時間いいでしょうか?もしよろしければ、ガソリンスタンドの経営がどうやったらうまくいくか、教えて欲しいんですけど…。
そうですね、自分も完璧だとは思いませんが、実際に20年ほど続けてきたという自負があるので、ちょっとしたコツはありますよ(笑)
おお!何なんですか、ぜひ教えてください。
正直言って、どこのガソリンスタンドも知っていることだと思いますが「トイレを撤退的にきれいにする」というのが1番重要だと思っています。
トイレですか…!ガソリンスタンドにはトイレに来る人が多いから、でしょうか?
はい、そうです。ガソリンスタンドは車も止めやすいですし、場所的にトイレがしたくなるようなところに立地しているんですよね。
確かに…長距離運転することになる大通りなどに面していますもんね。
だから、トイレがてらに給油してくれるというのは非常に多いんですよ。なので「トイレの場所を目立たせる」「トイレをきれいにする」というのは非常にこだわっています。
僕も先ほど使わせてもらいましたけど、すごくきれいでした。
ありがとうございます。とにかく「このガソリンスタンドをもう一度使いたい」と思ってもらいたいんですよね。1番良いのは金額を安くすることなんですが…。
やっぱりガソリン料金を安くするのには、限界がありますか?
はい、負の競争に突入するので、私の場合は人件費を削ることの方に専念してますね。つまり、私自身がめちゃくちゃ働くということです(笑)
やっぱりそうなんですね(汗)人件費があるのとないのでは全然違いますか?
はい、全然違います。ガソリンスタンドは忙しい時間帯と日時が存在します。お昼休み時などは多くなりますし、平日よりも土日の方が人が来ますね。
そんな忙しい時だけ、アルバイトを雇うわけですね?
はい、忙しい日以外は自分1人ともう1人で対応するようにしていますね。人件費がやっぱり大きな1番の経費ですから。
やっぱり人件費って、めちゃくちゃかかるんですね…。その他にも何か心がけていることってありますか?
トイレ以外にも「このガソリンスタンドに寄りたい」と思うような機器を多く取り揃えるようにしてますね。低価格の洗車はもちろん、掃除機の無料レンタルがキモです。
確かに。これらは本当に助かります。
とにかく「ついでに給油していくかと思ってもらえるような仕掛け」をたくさん用意しておくことが重要だと思います。
【総評】たくさんの人が来る仕掛けを作るのが重要
今回、ガソリンスタンドを経営している吉本さんに教えてもらったことをまとめると以下の通りになります。
- トイレをきれいにすること
- 人件費を極力かけないこと
- 来店理由をたくさん用意すること
簡単にまとめると、痛手となるような経費を抑えて、たくさんの人が来てもらえるような仕組みを作れば、ガソリンスタンドはうまくいくわけです。
確かにガソリン料金だけで勝負をすると、低価格競争に巻き込まれることになります。
一度この競争に巻き込まれると終わりがないので、やはり価格とは違ったベクトルで勝負をすべきなのでしょう。
上記の3つのポイントを意識するだけで吉本さんのように20年間維持できるガソリンスタンドを経営できるというわけです。
もしガソリンスタンドを今から始める、もしくは実際に今行っていて苦戦している人は、吉本さんのノウハウを参考にしてほしいですね。
まとめ
ガソリンスタンドは平均年収が300万円を下回るような業界です。
しかしうまく立ち回ることができれば、年収1,000万円を超えることもできる夢のある業界とも言えます。
今回紹介したノウハウを使えば、1,000万円に近づくことも可能でしょう。
もしガソリンスタンド経営について気になっているのであれば、ぜひ今回紹介した内容についても参考にしてみてください。
以上「年収1,000万円も可能?!ガソリンスタンド経営を成功させるコツを現場の人に聞いてみた」でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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