マルチテスターでのブレーキ検査などが終了したら、車を前進させ「排気ガス検査」に挑みます。
いよいよユーザー車検の全工程の終盤に差し掛かってきました。残すは「排気ガス検査」と「下廻り検査」のみです。
(出典:国土交通省)
今回は「排気ガス検査」について紹介します。
なお、排気ガス検査が行われるのはガソリン車です。ディーゼル車は排気ガス検査が有りません。その代わりに「黒煙検査」又は「オパシメータ検査」が行われます。また、黒煙検査又はオパシメーター検査が行われるのは検査ラインに入る前です。
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ガソリン車の排気ガス検査
排気ガス検査では、車のマフラーから排出されるCO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の濃度を測定します。排気ガスの測定には、排気ガス検査機のプローブと呼ばれる測定用の細長いパイプを用います。
合格基準は?
排気ガス検査の合格基準は以下の通りです。
(出典:長崎県自動車整備振興会)
「2サイクル」や「4サイクル」は、「~スト(ストローク)」とも呼ばれ、排気ガスに着眼して説明すると、排気ガスを1回排出するのにエンジンのピストンが上下に何回動くかを表しています(1往復で2回)。
例えば、「2サイクル」ではピストンが1往復する間に排気ガスが排出されます。「4サイクル」ではピストンが2往復する間に排気ガスが排出されます。
そのため、4サイクルのエンジンの方が排気ガスの排出量は少なくなります。上の表の4サイクルの排気ガス検査の合格基準が2サイクルより厳しくなっているのはこのためです。
なお、ほとんどの車が4サイクルのエンジンを積んでいます。
検査の流れ
車を所定の位置まで前進させて停車させます。エンジンは掛けっぱなしで、ギアを「P(パーキング)」又は「N(ニュートラル」に入れ、パーキングブレーキを引きます。
電光掲示板に「プローブを入れて下さい」と表示されるので、車から降りて排気ガステスターのプローブをマフラーに60cmほど差し込みます。すると、電光掲示板の表示が「検査中」に切り替わるので、10秒程度プローブを差した状態で待機します。
(出典:国土交通省)
その後、電光掲示板に排気ガス検査の結果が表示されます。合格なら、【CO「○」HC「○」】となります。検査結果を確認したら、プローブを元に戻します。
最後に、排気ガステスターの近くに有るスタンプポストに自動車検査票を差し込んで、サイドスリップテストから排気ガス検査までの結果を印字させます。
これにて排気ガス検査は終了です。車に乗り、次の下廻り検査に進みます。
ディーゼル車の排気ガス検査「黒煙測定」と「オパシメータ測定」
ディーゼル車の排気ガス検査は、CO・HCの濃度測定ではなく、黒煙測定又はオパシメータ測定となります。
黒煙測定とは、排気ガスに含まれるPM(粒子状物質)を測定する検査を指します。一方、オパシメータ測定とは、黒煙測定よりもPM測定の精度が高く、軽油などの未燃焼成分であるSOF成分(可溶有機成分)も測定する検査を指します。
以下の条件に該当するディーゼル車は、車検時に「オパシメータ測定」で検査を受ける事になります(黒煙測定車でもオパシメータ測定を受ける事は可能)。
- 車検証の備考欄に「オパシメータ測定」と記載されている自動車
- 型式の1桁目(排出ガス記号)が「L・M・R・S」の自動車
- 型式指定番号が16000番以降の自動車(特殊自動車を除く)
初度登録年月が平成19年9月以降のディーゼル車のうち、上記のいずれかの条件に該当する車両。
合格基準は?
黒煙測定又はオパシメータ測定の合格基準は以下の通りです。
黒煙測定は3回検査して、その平均値で合否判定を行います。
一方、オパシメータ測定は、2回目までに測定結果が閾値(しきいち)以下であれば合格となります。2回の測定結果が閾値を超えた場合は、3回分の平均値で合否判定を行います。その際の基準は規制値又はスクリーニング値です。
ちなみに、検査前にエンジンの空吹かしをした方が検査に通りやすいです。なぜなら、運輸支局に到着するまでの走行時又は検査待機時に、マフラー内に溜まった黒煙等を空吹かしで有る程度排出する事が出来るからです。
ただし、運輸支局近隣から空吹かしに対する苦情が多く、空吹かしをすると何かしらの注意を受けるかもしれませんので、個人判断でお願いします。
検査の流れ
黒煙測定もオパシメータ測定も基本的な流れは同じです。ただ、黒煙測定は必ず3回測定するのに対して、オパシメータは測定値が閾値以下で有れば1回の測定で終了します。
なお、ガソリン車の排気ガス測定とは異なり、黒煙測定とオパシメータ測定はアクセルを踏み込んでの測定となります。
(出典:http://minkara.carview.co.jp/userid/16927/car/1086330/3129564/4/note.aspx#title)
ただ、検査官がアクセル操作・測定をするので、その光景を側で見ているだけで検査は終了します。車に乗り、サイドスリップテストへと向かいます。
サイドスリップテストからいよいよテスターゾーンへ突入【ユーザー車検のステップ②】
以下の動画は、ユーザー車検の全体の流れを紹介している内容となっています。参考にして下さい。