コネクテッドカーって聞いたことあるけど、なんなの?なんとなく未来の車ということはわかるのだけど・・・
確かに。コネクテッドカーはたまにビジネス系のテレビ番組や車の雑誌で出てくる言葉なので、気になりますよね。
コネクテッドカーは、ここ数年世界的に普及する車のひとつ。
日本国内でも、このコネクテッドカーが認知され始めており、最新鋭の車としての評価も高まりつつあります。
このコネクテッドカーがどのようなものであるか、そして通常の車とはどのように異なるのかは、誰もが気になる部分であるはず。
そこで今回の記事では、謎が多いコネクテッドカーについて迫ります!
そもそもコネクテッドカーとは?自動運転と何が違う?
コネクテッドカーとは、ICT端末としての機能を有する自動車のことであり、車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
※出典「総務省」より
早い話が、コネクテッドカーとはインターネットに接続できる車のこと。2035年の実用化を目指し、まだ完全に実現していない未来の車です。
コネクテッドカーと自動運転は全然ベツモノです。自動運転はオフラインでも機能するため、ネット接続前提のコネクテッドカーとは似て非なるモノになります。
コネクテッドカーと呼ばれる車は、インターネットへの接続を常に行う状態にあります。通常の自動車は、このようなネットへの接続の環境のないことが一般的ですが、コネクテッドカーでは常時インターネットへの接続が行われています。
また、より明確な定義としては「ICT」の機能を持つ車(後述)がコネクテッドカーと呼ばれるものになります。
情報インフラを頼って、コネクテッドカーの情報が様々なところに伝えられ、一方でコネクテッドカーにも情報がリアルタイムで入ってくる、というわけ。
実は既存の車もコネクテッドカー仕様にできる
コネクテッドカーは「最新の技術を搭載した自動車」という定義が一般的です。つまりは「これまでとは全然違う車」と思われがち。
しかし、既に走行している自動車に関しても、後付けの装備を設置することでコネクテッドカーの仕様にすることが可能です。
通信機能を持った設備を取り付けることで、コネクテッドカーと同様にネットと繋がった状態を確立することができます。
従来から利用され、現在では多くの自動車に搭載されるカーナビとは少し異なり、より幅広いサービスを受けることのできる部分がメリットといえるでしょう。
海外で、コネクテッドカーを後付けの設備によって実現させるケースが増えており、日本国内でも同様の動きの発生することが期待されています。新型の自動車のみがコネクテッドカーであるという認識も、次第に変わるかもしれませんね。
コネクテッドカーができること
コネクテッドカーで実現できることは、多種多様です。
このタイプの車を使いこなすことで、通常の車よりもさらに便利に利用できる可能性があることから、積極的に機能を使っていくことが必要になるでしょう。
そんなコネクテッドカーですが、導入すると以下の機能が使えるようになりますよ。
- 緊急通報システム
- テレマティクス保険
- 盗難車両追跡システム
- 走行サポート
- データ収集
緊急通報システム
車両が事故を検知すると、警察や消防にすぐに通報するシステムです。「eCall」と呼ばれることも。
GPSと連動しているので、警察や救急車等がすぐに事故現場に来るのが強みです。
ちなみにロシアでは2017年1月にすでに実装済。全ての新型車に搭載されています。
仕組みとしては、ボタンを押下するだけで、緊急通報用のセンターのオペレーターと繋がり、すぐに警察などへの通報を進められます。事故が発生した際には、携帯電話での通報が標準ですが、このシステムのあるコネクテッドカーはボタンひとつで通報可能です。そのため、一刻を争う事態となっても、迅速に緊急の手立てを打つことができます。
通報だけではなく、GPSの位置情報のデータも駆使して、すぐに警備車両や救急車などの出発も指令でき、事故の現場の処理までの時間も短縮されます。様々な面で、緊急時の初動対応が迅速になることが、このシステムで実現できるでしょう。
なお、事故だけではなく、車内で人が倒れた場合などにも、このシステムを使うことが可能。そのため、スムーズに応急処置のできる状態を作れることが期待されています。
テレマティクス保険
テレマティクス保険とは、車の走行データを利用して保険料を出す自動車保険のこと。(以下、チューリッヒ保険より引用)
テレマティクスとは、カーナビをはじめとした情報端末を利用して電子メールを送受信したり、交通渋滞情報を受信したりする最先端のテクノロジーをさすものです。安全運転につなげられる点や、運転者ごとの特性から事故のリスクが測れるようになったことで注目を集め、保険会社がこの特徴を活かした保険を提供するようになりました。
テレマティクス保険は、ヨーロッパやアメリカの先進国では既に認知が高まっている保険サービスです。とはいえ、まだ新しい保険で国土交通省の発表によれば、現在イタリアやイギリスでは普及率が10%程度。しかし、今後2020年には欧米の自動車保険加入者のうち約3割がテレマティクス保険の加入者となる見通しであるとしています。
普及の理由は、保険料が自身の運転技術によって減額される仕組みがお得に感じられることや、保険料の算出方法が明確であり、よりフィットした保険料が適用されることが挙げられます。また、テレマティクス保険に加入していると、安全運転の意識が高まり、交通事故の抑制にもつながるため、どの国でも政府が奨励しているという背景も認知が高まっている理由の一つです。
早い話が、ブレーキ操作が緩やかな人などは安全運転をする人だと判断され、保険料が安くなる仕組みです。
評価方法は各保険会社によって変わりますが、真の意味で自分だけのプランができると、期待されています。
盗難車両追跡システム
盗難車両追跡システムとは、盗難された車の位置を追跡できる機能です。
位置情報が随時記録されることから、盗難発生時にも追跡をすぐに進めることができます。また、コネクテッドカーを所有する人や家族の情報を登録しておくことで、関係のない人が運転しようとした際にも、緊急で通報される仕組みになっています。
万一盗難されてしまった場合でも、GPSによる位置情報ですぐに割り出すことができ、車を失う可能性を大きく下げることが可能。こうした機能の付くコネクテッドカーは、非常に高い割合で存在し、このような車の特色としても挙げられています。
位置情報での盗難の抑止を行う際には、事前に運転する人のデータを登録することが望ましいとされています。盗難そのものを、早い段階で食い止めることが期待できるためです。
この位置情報を使った盗難防止機能ですが、先の動画にもありましたが、実は既に実装されており、トヨタの「T-Connect」として市場に出ています。
車両の異常を検知したら、携帯にお知らせが入り、さらに位置情報を自動で警備会社に送信するスグレモノ。
レクサスなどのハイクラス車種では、当たり前のように搭載されている機能です。
トヨタ以外にもコネクテッドカーに力を入れているメーカーはもう1つあります。
それこそまさに「ホンダ」。ソフトバンクと組んで、人工知能搭載型コネクテッドカーの開発に着手しています。
非常時の走行のサポート機能
地震などの災害が発生した際には、渋滞の発生するケースがあります。そのような際には、コネクテッドカーでは最も短時間で目的地に到着できるルートを探してドライバーに伝える仕組みが役立ちます。
非常時には、通常とは大きく異なるルートに迂回したり、変更したりする必要があります。運転する人がその場で検討することが今までは一般的でしたが、コネクテッドカーでは全て自動で判断されます。
柔軟に交通量などを見極めながら、最善のルートを割り出すことから、突発的な災害時にも安心して運転できます。
自動車の走行に関するデータの収集
コネクテッドカーで実現できることの一つが、自動車の走行に関するデータの収集です。
随時ネットに繋がった環境で、車の走行状況をリアルタイムで記録することができます。そのため、自動車が通った道や走行時間などが細かく記録され、データとして残る特徴が。
燃料の残量や、走行中の危険の有無なども自動で記録されることから、安全にドライブできる状態をキープすることにも繋がります。こうしたメリットは、コネクテッドカーを購入する多くの人から待望される部分として挙げられていますね。
コネクテッドカーには課題・問題点はないの?
ここまでコネクテッドカーについて基礎的な知識を紹介してきましたが、実は課題や問題点が存在します。
具体的には以下の3点ですね。
- ハッキングによる事故
- システムエラー
- 責任の矛先が不透明
ハッキングによる事故
車がネットワークに繋がれば、ハッキングの危険性と戦うことになります。
ハッキングされると、エンジン操作されて事故にも繋がりかねません。実用化に向けて最大のハードルと言ってもいいでしょう。
ハッキングの被害に関しては、コネクテッドカーを利用する上では心配になる人が多いはず。(以下「東洋経済」から引用)
警察庁による発表では、2017年の自動車盗難件数(認知件数)が1万213件で、1日におよそ28台のペースで盗難の被害に遭っていることになる。2003年(6万4223件)のピーク時以降、減少傾向にあり、2017年は2003年の6分の1以下にまで減少している[3]。
これらの数字は、自動運転車の実現によって、これまで以上に自動車とインターネットなどのネットワークとが積極的につながっていく近い将来において、変化が起こる可能性が大である。
上記のようにコネクテッドカーが出始めた当初は、容易にハッキングされる状況であったため、こうした懸念が現在もあります。
しかし、昨今はコネクテッドカーのハッキング対策会社があるほど、対策は強化されつつあり、リスクが大幅に低減されてきました。
コネクテッドカーのハッキング対策の主軸はパソコンと同じで「システムアップデート」です。
システムを最新の状態に維持することができれば、ハッキングされるリスクは少なくなります。
システムのエラーによる自動車の停止
ネットに常時繋がった状態が特徴ですが、システムやネット接続でエラーが発生した場合に、自動車が停止することも懸念材料に挙げられています。
コネクテッドカーでのこのようなトラブルは、未然に発生を防ぐ手立てがしっかりと施されているため、エラーによって自動車が動かなくなるケースはゼロに近いでしょう。
また、万一エラーや問題が発生した場合でも、ネット接続とは切り離してコネクテッドカーが問題なく走行できる技術も。(以下「NEC」より引用)
万が一装置故障を検知した場合には、その装置を切り離して車載システムが機能するようにネットワークを高速に再構成します。これにより安全・安心に走行を続けることを可能とします。
ネットに常に接続される反面、このようなトラブルが生じた際の対処は非常に重要視されていますが、多くのコネクテッドカーではこのような問題に直面しても、安心して走行できることが期待できるのではないでしょうか。
責任の矛先が不透明
コネクテッドカーを導入すれば、オンラインによる自動操作が主流になります。
つまり、事故が起きたとき、運転するドライバーに責任追及しにくいのです。操作してませんからね。
そのため、責任は製造した自動車メーカーが負うべき、という声もチラホラ。
今のところはこのケースに明確な答えを出した法律は存在しないため、法整備を行わないといけないでしょう。
コネクテッドカーは当分様子見!動向を見守ろう
ここまでコネクテッドカーの課題などを解説しました。これらが問題で、なかなか完全実用化までこぎつけるのは”まだ”難しいでしょう。
だからこそ、当分の間はコネクテッドカーは様子見です。
もし最新の動向を知りたいなら、コネクテッドカーEXPOというイベントに参加してみてはどうでしょうか。
コネクテッドカーEXPOはトヨタやホンダのコネクテッドカー関連の最新技術を垣間見れるイベント。
自動車関係従事者しか参加できませんが、それ故に濃密な最新動向を知ることができますよ。
コネクテッドカーの未来は・・
コネクテッドカーは、様々なメリットの期待できる車です。
通常の自動車に比べて、スマートに走行できることや、様々なデータを蓄積して解析できるところが、大きな特色として挙げられています。
また、位置情報を駆使して緊急時の通報や災害発生時にもドライバーの負担軽減を図ることも期待できるでしょう。
ネットに繋がった状態が常時保たれることから、多角的な視点からコネクテッドカーでの走行がサポートされています。今後は更に豊富なサービスが確立されたり、機能が充実したりするのではないでしょうか。
以上「コネクテッドカーとは?普及すれば便利になる?専門家が予想してみた」でした。