日本と欧米の間で「電気自動車の充電規格」を巡って争いが起こっていました。充電規格とは、電気自動車の充電をするための充電口の構造を言います。ガソリン車における給油口に相当する部分の事ですね。
充電スタンドの設備を「日本の自動車メーカーの標準規格」と「欧米の自動車メーカーの標準規格」のどちらに合わせて普及させていくのか?が焦点となっているわけです。
日本の標準規格「チャデモ方式」
日本の充電規格の標準は「チャデモ方式」です。
電気自動車の充電口を見た事が無い人もいると思うので、取り敢えず、下の日産「リーフ」の充電口の画像を見て下さい。
出典:日産-充電方法について
電気自動車の充電には、通常の充電速度の「普通充電」と短時間で充電出来る「急速充電」の2つの種類が有ります。チャデモ方式は、普通充電と急速充電の充電口を別々にした方式です。
参考:電気自動車(EV車)の充電時間や料金と充電スタンドの整備状況
メリットは特に無く、むしろ充電口が二つ有る事で、ユーザーにとっては不便さを感じずにはいられないでしょう。初めての人は、どちらを利用すれば良いのか分からず、戸惑ってしまいますよね。
好材料を挙げるとするなら、日本のチャデモ方式を採用した電気自動車が他国のメーカーより先行して世界で販売されているので、チャデモ方式の充電スタンドの設置数の方が、次に紹介する「コンボ方式」よりも多いという現状でしょうか。
欧米の標準規格「コンボ方式」
欧米の標準規格である「コンボ方式」についても同様にまず画像を。こちらは「BMWのi3」の充電口です。
出典:オートックワン
チャデモ方式とは違い、コンボ方式は充電口が一つである事がわかります。シンプルな作りなので、ユーザーにとって利便性が高い構造ですね。
しかし、欧米がコンボ方式を提唱した時期に、コンボ方式を採用している電気自動車が1台も販売されていなかったので、充電インフラはチャデモ方式に大きく遅れをとっています。現在は、コンボ方式を採用した電気自動車「i3」や「テスラ モデルS」などが販売されています。
現在と今後の充電規格
現在、国際標準規格として承認されているのは「チャデモ方式」「コンボ方式(アメリカ式・ドイツ式)」「中国のGB/T」の4つです。
チャデモ方式は他に先行してインフラ整備が行われていたので、かなり有利な状況にあります。
「チャデモ方式VSコンボ方式」が起こった2012年には、欧州からチャデモ方式の充電スタンドが消える恐れも有りましたが、現在は両方式でも充電出来るスタンドの設置が進んでいます。
しかし、今後コンボ方式で魅力的な電気自動車が販売されて、チャデモ方式を採用している日本の電気自動車のシェアが奪われた時には、チャデモ方式の充電スタンドは姿を消す恐れも有ります。そのため、チャデモ方式とコンボ方式の争いの行方は、今後開発・生産される電気自動車に委ねられていると言えます。
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