「放置駐車違反と駐停車違反の罰金・反則金・点数のまとめ」の記事で書いたように、放置駐車違反を犯した場合、警察に出頭せずに後日送付されてくる納付書で違反金を支払えば、違反点数は加点されずに済みます。
そのため、放置駐車違反で取り締まりを受けても警察に出頭しなければ、ゴールド免許の人はゴールド免許のままですし、累積点数によって免許停止になる事も有りません。
しかし、放置駐車違反を短期間に何回も繰り返していると、車両の「使用制限命令」を受ける事になります。
使用制限命令とは
一定期間内に放置駐車違反を複数回行うと、車両の使用制限命令が下されます。使用制限命令とはそのままの意味で、違反を行った車両を一時的に使えなくなる処分を言います。
何回放置駐車違反をしたら使用制限命令を受ける?その期間は?
使用制限命令を受ける事になる放置駐車違反の回数は、使用制限命令の前歴によって異なります。また、使用制限命令の処分期間も「前歴」と「一定期間内に放置駐車違反による納付命令を受けた回数」によって異なります。
使用制限命令の前歴は、放置駐車違反をした日を基準日として、過去1年以内の使用制限命令を受けた回数です。また、一定期間内の放置駐車違反による納付命令の回数も放置駐車した日を基準日として、過去6か月以内に納付命令を受けた回数です。
放置駐車違反をした回数ではない点に注意が必要です。つまり、放置駐車違反をして警察に出頭し、違反点数が加点され反則金を納めた場合は回数に数えません。
で、使用制限命令を受ける期間と前歴や放置駐車違反の納付命令の回数の関係は以下のようになっています。
(出典:https://www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/shidou/shidou20050325.pdf)
例えば、普通自動車で放置駐車違反をして納付命令を受けた場合、前歴なしで過去6か月以内に3回の納付命令を受けていたとすると、20日間の使用制限命令を下されます(処分期間が軽減又は加重される場合も有ります)。
表の納付命令の回数の表示の仕方が分かりにくいのですが、表の回数は過去の納付命令の回数を表しています。前歴なしの場合で言えば、6か月以内に4回の納付命令を受ければ使用制限命令を下される事になります。
なお、4回の納付命令で前歴1回となるはずなのに、表には前歴なしの箇所に4回や5回以上の欄が設けられています。これはおそらく、使用制限命令を受ける前に、短期間で違法駐車違反を繰り返すケースを想定しているためだと思われます。過去には納付命令を10回受けて、150日間の使用制限命令を言い渡された例もあるようです。
運転禁止標章を勝手にはがしても大丈夫?
使用制限命令が下されると、警察官が自宅に来て使用制限書を交付し、使用者又は代理人の前で違反車両に運転禁止標章を貼り付けます。以下の画像のような感じですね。
ちなみに、居留守をしたとしても、使用制限書をポストに投函し、運転禁止標章を貼り付けて帰っていくようです。
(出典:http://cherry.naturum.ne.jp/e1139432.html)
この運転禁止標章は、駐車違反の標章のように勝手に剥してはいけません。駐車違反の標章は勝手に剥しても何も罰則は有りませんが、運転禁止標章を勝手に剥すと2万円以下の罰金又は科料の罰則を受けます(道路交通法第121条1項九号)。
また、使用制限期間が明けたとしても勝手に標章をはがしてはいけません。原則は警察官が標章をはがす事になっていて、警察署に許可を得た場合のみ運転手自ら標章を除去する事が出来ます。
車を運転出来る事にテンションが上がって、勝手に標章をはがさないようにして下さいね。たとえ使用制限期間外で有っても2万円の罰金又は科料となります。
使用制限期間中に車を運転したらどうなる?
使用制限期間中に車を運転したら、当然罰則を受ける事になります。罰則の内容は3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金となっています(道路交通法第119条1項十二号)。
使用制限命令は車の使用を禁じる物なので、放置駐車違反をした人は勿論の事、家族・友人・他人もその車を使用制限が明けるまでは運転してはいけません。
ちょっと動かしてもばれないのでは?と思うかもしれません。しかし、警察の規定には運転禁止標章を貼る時点の車の状態を確認する旨が定められています。おそらく走行メーターの数値をメモしておくのでしょう。
車を運転出来るようになるのは、さきほど運転禁止標章のセクションで説明したように、運転禁止標章をはがしてからです。使用制限期間が明けたら、まずは警察に連絡するようにしましょう。
最後に
放置駐車違反による使用制限命令について紹介してきました。使用制限期間中は、一切車を動かしてはなりません。その期間が明けるまでおとなしくしていましょう。
ただし、使用制限を受けるのは違反を繰り返した車両のみです。他に車を所有している場合は運転する事が出来ます。この点は一切運転をする事が出来なくなる「免許停止」と比較すると軽い処分と言えますね。
なお、どうしても使用制限命令を受けたくない場合は、放置駐車違反の納付命令が行われる前(違反日からおよそ1週間)に、警察署に出頭して反則金の納付書を貰って下さい。この場合は違反点数が加点されるので、累積点数によっては免許停止になる点には注意が必要です。