運転中に携帯電話(スマートフォンを含む)が鳴ったら貴方ならどうしますか?運転中でも構わずに通話をしますか?
運転中の通話(操作を含む)は危険なだけでなく、道路交通法違反として罰則規定も有ります。ここでは、運転時の携帯電話の使用が違反となる基準や違反の点数などについて紹介していきます。
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携帯利用時の事故は多い!
交通事故総合分析センターの発表しているテーマ論文によると、携帯電話使用中の事故(第1当事者が携帯電話を使用していたケース)は平成21年から徐々に増加傾向に有ります。
グラフを見ると、平成19年は「通話目的」で使用している時の事故が多いですが、近年は「画像目的」での使用時に事故が多く発生しています。これはスマートフォンが普及し始めた事で、メールに添付されている画像を見たり、ネットに表示されている画像を見る事が増えたからですね。
また、携帯電話は今や老若男女を問わず多くの方が使用していますが、特に画像を見る事が多いスマートフォンの使用は20〜30歳代の方がメインです。従って、運転中に画像目的で携帯電話を使用し、事故を起こした方の若い方が占める割合は非常に多くなっています。
上記の様に、携帯電話使用時の交通事故が増えた結果、取締りも厳しくなり平成18年以降は毎年100万件以上の取締りがされ、平成26年度は1,096,222件の取締りが行われています。
違反となる基準
運転時の携帯電話の使用禁止については、道路交通法第71条第5号の5で以下の様に規定されています。
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。(一部省略)
要約すると、「車が停止しているとき以外は、通話の為に携帯電話を使用したり画面を注視してはいけません!」という事です。
但し、「停止中以外の携帯電話の使用はいかなる時も違反」という訳ではなく、条文の中で運転中でも違反とならない状況が以下の様に2つ規定されています。
- 手で保持しないと送受信が出来ない物以外
- ケガをした人を助ける時などの緊急時
違反とならない状況について、以下でもう少し詳しく見ていきましょう。
電話を手で持つのは×
手で保持しないと使用が出来ない物が対象という事は、逆に言うと「手で持たずに通話が出来るのであれば問題無い」という事です。従って、ハンズフリー機能を使ったり、イヤホンマイク・ブルートゥース(Bluetooth)を活用すれば運転中でも通話が出来るという訳です。
参考:タクシー無線の様な車載型の無線機は対象外となります。
但し、ハンズフリーで話していたからといって必ずしも安全という訳では有りません。イギリスで行われた調査では、ハンズフリーで通話しながら運転しているときの反応時間の遅延率は27%と、飲酒運転の13%を大きく上回っています。(参考:Transport Reseach Laboratory「The Effect Of Text Messaging On Driver Behaviour」)
通話中は注意が散漫になりがちなので、なるべく電話の着信があったら道路の脇に停車してから通話をする様にしましょうね。
注:条例で運転時のイヤホンマイク等を使用した通話を禁止している都道府県も有る様です。自分の住んでいる地域の条例でどうなっているかは1度確認しておいた方がいいかもしれませんね。
信号待ちや渋滞で止まっているときに携帯電話を操作する事に関しては、特に規定がされていません。しかし、違反として扱われた方もたくさんいる様なので、極力携帯電話は触らない様にしましょうね。
緊急時はOK
条文にも有る様に「傷病人の救護や公共の安全を維持する為」であれば、運転中でも携帯電話を使用して構いません。
ただ、「公共の安全を維持する為」と言われても結構曖昧ですよね。「高速道路に落下物が有る場合にはどうするんだ?」「人が目の前で連れ去られそうになっているときはどうするんだ?」と色々な場面で気になります。
「緊急時だけど違反になるから携帯電話が使えない」というのでは携帯電話の意味が有りませんしね。
詳細な決まりは無いでしょうが、上記の様に高速道路に落下物が有った様な場合は、PAやSAに止めて電話するか高速道路の路肩に有る緊急電話を使用する方が良いでしょうね。一方で、後者の様に人が連れ去られそうになっている様な場面では、特に緊急性を要するので運転しながら携帯電話を使用しても問題にならないでしょう。
違反点数や反則金
携帯電話の使用時に適用される違反としては「交通の危険」と「保持」の2つが有ります(※)。
※:「交通の危険」は平成11年の道路交通法改正、「保持」は平成16年の改正により規定されました。
「交通の危険」は、携帯電話の使用や画面の注視をした結果、交通事故を起こした様な場合(※)が該当します。
※:実際には事故が起きていなかったとしても、事故しそうになっただけで該当する事も有ります。下を向いて運転していると、それだけでも交通危険とも言えますからね
一方の「保持」は、携帯電話を手に持って「通話」「メールの送受信」「画面の注視」をする事などが該当します。つまり、両者は携帯電話の使用によって「危険が及んだか及ばなかったか」という点が違うという事です。
違反点数
違反時の点数は「交通の危険」は2点、「保持」は1点となっています(参照元:警視庁「交通違反の点数一覧表」)。通話しているだけの場合より、通話により交通事故を起こした時の方が違反点数が高いです、当然の話ですね。
反則金
違反時に課せられる反則金は、以下の様に車両の種類毎に定められています。
交通の危険 | 保持 | |
---|---|---|
大型車 | 12,000円 | 7,000円 |
普通車 | 9,000円 | 6,000円 |
二輪車 | 7,000円 | 6,000円 |
小型特殊車 | 6,000円 | 5,000円 |
原付 | 6,000円 | 5,000円 |
(参照元:警視庁「反則行為の種類及び反則金一覧表」)
また、罰金刑となってしまった場合、保持の場合は「5万円以下」、交通の危険の場合は「5万円以下(又は3ヶ月以下の懲役)」が課されますが、交通反則通告制度の適用により、上記の反則金を納付すれば免除される事になります。