交通違反をして「意見の聴取」の通知を受け取ったことがある方はいるでしょうか。
通常、交通違反をして30〜60日の免許停止処分を受けるときは、「出頭の通知」が送られてくることになります。しかし、免許停止処分が90日以上となる方や免許取り消し処分を受ける方には、「意見の聴取」の通知が送られてくるのです。
ここでは、「意見の聴取」が何をする場なのか、出席すれば処分が軽減されるのか?について見て行きましょう。
違反の事実関係を争う場ではない!
まず、「意見の聴取」の法的根拠ですが、以下の道路交通法の規定(103条及び104条)によって実施されるものです。(1994年までは「聴聞」と呼ばれていたのですが、行政手続法の施行により呼び方が変わりました。)
第104条 公安委員会は、第103条第1項第5号の規定により免許を取り消し、若しくは免許の効力を90日以上停止しようとするとき、(途中省略)、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、公安委員会は、意見の聴取の期日の1週間前までに、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し、かつ、意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
第103条第1項第5号
自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき
この条文に基づいて、意見の聴取の通知が送られてきますが、出席は任意なので、特に言いたいことが無ければ出席する必要もありません。
また、条文に「交通違反をしたとき」とある様に、交通違反をして免許の取り消しや免許の停止がされる場合に実施されるものであって、違反がそもそも成立しているのかどうかを争う場ではありません。
従って、聴取の現場では最初に「違反事実が有ったか無かったかを争う場所では有りませんので」といった感じに釘を刺されることがあります。
聴取では何を言えばいい?
上記の様に、「意見の聴取」が違反の事実を争う場ではないのであれば、実際の聴取時には何を言えばいいのでしょうか。
多くの方は特に何もいうこともなく終わってしまうことが多い様です。というのも、意見の聴聞が何かをそもそも知らずに、ただ意見の聴取通知が来たから出席したという方が多いからです。
意見の聴取に当たって参考になることが、以下の様に道路交通法104条2項に規定されています。
意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事実について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
つまり「違反した事実については認めるけど、違反をそのまま受けてしまうと困った事になる」といった意見を述べたり、その意見を裏付ける証拠を提出することが認められているのです。正に、意見の聴取の意図はここにあると言えますね。警察側としても、違反者の意見を聞く事で処分を公正かつ適切にしようとしている訳です。
有効と考えられる意見としては、例えば以下の様なものがあります。
「私には重病で長く通院している母がいます。母を病院に連れて行く為に私が運転をする必要があります。今回の違反は重く受け止めていますが、免許停止が長期に渡ってしまうと、家族が困ってしまいます。二度と同じ様な違反を繰り返しませんので処分を軽減していただけないでしょうか」
※ あくまでも一例です。
上記の意見に加えて、母親の診断書を裏付ける証拠として提出することも考えられますね。
意見を言えば処分が軽減される?
意見の聴取に出席した結果、免許停止期間が軽減されることがあります。(例:免許停止期間90日→60日)
しかし、上記の様な理にかなった意見を言うと処分が軽減されるか?というと必ずしもそういう訳ではありません。警察側では、意見の内容や何かしらの形式的な基準によって処分の軽減を判断しているので、意見がどこまで取り入れられるかは分かりません。
形式的な基準の例として、一般的に法定速度を50km/hを越えていると、処分の軽減は受けるのが難しい様です。違反速度が50km/h未満の方は違反点数1〜6点ですが、50km/hを越えると一気に12点に上がります。50km/hを越えている方は救う余地がない、と考えているのかもしれませんね。
しかし、違反が50km/hぴったりの場合は処分が軽減され易い傾向にある様です。ぴたり賞といった感じのお情けでしょうか。
飲酒運転や無免許運転など、悪質な違反の場合は処分が軽減されることがほぼないでしょうし、軽減されるかどうかは地域や担当者によっても異なるかもしれません。ただし、減免の可能性が少しでもあるのであれば是非「意見の聴取」に参加したいところですね。
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