自動車の運転免許を取得する際に、自動車教習所に通う事になるのですが、教習所には「指定自動車教習所」と「届出自動車教習所」とが有ります。
それぞれの教習所の違いは何なのでしょうか?また、どの様なメリット・デメリットが有るのでしょうか?以下で、見ていきましょう。
指定自動車教習所とは?
指定自動車教習所(公認教習所)は、「人的基準・物的基準・運営基準」を満たしたものとして、公安委員会が指定した教習所です。(参照元:警察庁「指定自動車教習所 業務指導の標準」)
指定自動車教習所は、平成27年末時点で全国に1,339校有ります。数だけ見ると多く感じるかもしれないですが、ピーク時の平成3年には約1,550校あった事からすると、大分減少していますね。これは、少子化や車離れが原因と言われています。
入学から卒業まで教習所で完結!
指定自動車教習所で実施される卒業検定に合格すると、卒業証明書が発行され、これを運転免許試験場に持って行くと技能試験が免除され、運転免許試験場での試験は「学科試験のみ」となります。
教習所での卒業検定(技能試験)は、教習を真面目に受けていれば高い確率で合格する事が出来ます。一方で、運転免許試験場で実施される技能試験は、合格するのが非常に難しいと言われているため、この試験免除制度が指定自動車教習所に通う最大のメリットと言えますね。
参考:技能検定の難易度は、どこで受けようが変わりません。しかし、指定自動車教習所での試験は、慣れ親しんだ場所での試験なので、届出自動車教習所での試験と比べるとプレッシャーが軽く、判定も若干甘い事も有ります。
このメリットが大きいので、免許を取得しようとしている方の実に95〜97%程度が、指定自動車教習所を卒業した方と言われています。
教習料金は高め
指定自動車教習所では、卒業生の運転免許試験場での実技試験を免除する代わりに、十分な能力を身につけるべくカリキュラムがガチガチに組まれています。
また、生徒が好きな時間に教習を予約して受講するスタイルを取っているので、いつ予約が入っても対応出来る様に、教官が必要十分に配置されています。
その結果、運営費用が高くなり、その分を生徒が負担する事になるので、指定自動車教習所の教習料金は25万円前後(普通車AT)と高めの設定になっています。
自動車教習所を経て運転免許を取得するまでの費用・時間(期間)のまとめ
ちなみに、通学タイプの指定自動車教習所よりも早く&安く卒業する事が出来る、合宿免許も有ります。
通うのは休日だけでもOK!
指定自動車教習所は、毎日朝から夜遅くまで営業しているので、学校や仕事で中々時間の取れない方も、合間を縫って予約し、卒業までのカリキュラムをこなす事が出来ます。また、土日も営業しているので、平日に通うのが難しい方は土日だけ通うのでもOKです。
但し、指定自動車教習所は、一度入学したらずっと通い続けられるという訳ではなく、以下の様に検定期限や教習期限が設けられています。
期限の種類 | 期限 | 内容 |
---|---|---|
教習 | 9ヶ月 | 教習を開始してから、全ての教習を終えるまでの期間 |
検定 | 3ヶ月 | カリキュラムを修了してから、卒業検定に合格するまでの期間 |
仮免学科試験 | 3ヶ月 | 修了検定に合格してから仮免学科試験に合格するまでの期間 |
仮運転免許証 | 6ヶ月 | 仮免学科試験に合格してから、卒業検定に合格するまでの期間 |
しっかりとスケジュール管理をして真面目に教習を受けていれば、これらの期限に間に合わないといった事態にはならない筈ですが、特定の技能や学科試験が苦手だという方もいるので、実際に期限に間に合わなくなる人もいる様です。
教習料金を再度払わなければならないという事態にもなりかねないので、期限内に免許が取れる様にしましょうね。
教官は教習所指導員資格有り
指定自動車教習所の教官は、「教習所指導員資格」を持っており、厳しい審査に合格した方々です。従って、指導に関する知識や技術は皆十分に備わっています。
教官によって、性格や相性の差は有るでしょうが、指導能力については心配する必要は無いですね。
届出自動車教習所とは?
届出自動車教習所(非公認教習所)は、道路交通法第98条1項に基づいて公安委員会に届出をした自動車教習所の事です。平成28年4月時点では全国に91ヶ所有ります(全国届出自動車教習所協会のホームページより。)
指定自動車教習所の様に、公安委員会から指定される訳ではなく自由度が高いので、規模や設備は様々です。中には、自社で教習コースを持たずに借りコースで教習を行う届出自動車教習所も有る様です。
参考:届出自動車教習所に通って免許を取得するのは、俗にいう「一発試験」を受けるのと同じ事です(関連記事:自動車学校に通わずに一発試験で運転免許を取得する方法・流れ・費用のまとめ)
検定は運転免許試験場で!
指定自動車教習所と異なり、届出自動車教習所は独自に仮免許試験や卒業検定を実施する事が認められていません。従って、生徒は自分たちで運転免許試験場に行って手続をし、仮免許試験や技能試験・学科試験を受けなければなりません。これは、生徒からすると結構面倒ですね。
参考:届出自動車教習所の中でも、特に国家公安委員会規則で定められた特定教習の実施が出来る教習所を「特定届出自動車教習所」と言います。特定教習を修了した方は、免許取得後に実施される取得時講習が免除されるので、路上免許試験合格後、免許証が即日交付されます。
要は、届出自動車教習所は有料の運転練習場といった感じですね。ここで運転の練習をして、運転免許試験場で試験を受ける事になります。
なお、上述の通り、運転免許試験場での試験は非常に難しいと言われており、運転初心者の方が届出自動車教習所に通って試験に合格するのはなかなか難しいのが実状です。途中で挫折し指定自動車教習所へ転校するケースも多い様です。
教習料金が安い!
届出自動車教習所の最大のメリットとして挙げられるのが、教習料金が安い事です。
届出自動車教習所は、学科や技能に関する公安委員会のカリキュラムに従う必要が無いので自由度が高く、学科については講義はDVDで好きな時に受講するという事も有る様です。そして、最低教習時間も無いので、教習料金が安く抑える事が出来ます(最低限で1〜3万円程度)。
但し、教習料金は最低限の教習分で技能10コマ程度しか含まれていません。それで合格出来なかった場合、補講を受ける事は出来ますが、それには別途受講料がかかります。
教習料金が安くても、技能試験に中々受からなかった場合は、最終的に指定自動車教習所に通うよりも高くついた、という可能性も有るという訳ですね。
従って、届出自動車教習所は、運転技術に自信の有る方や、過去に免許を取得したものの取消処分を受けた方などには向いていると言えますね。
試験が平日しかない!
運転免許試験場は、平日しか開いていません。従って、試験の申込や試験の為に、何度か平日に仕事を休んで試験場まで行く必要が有ります。学生やフリーターなどであればまだ良いですが、サラリーマンにとっては平日に仕事を休んで、、、というのは厳しいでしょうね。
指導力がマチマチ
届出自動車教習所の指導員は、運転免許は持っていますが、それ以外に必須の資格は特に有りません。各校で独自の指導員養成を行っているので、指導力にはバラツキが有り、中には試験場での評価基準を間違えて指導してしまう様な教官もいる様です。
従って、指導力の低い教官に当たってしまうと、免許取得までの道のりが遠くなってしまう可能性が有ります。
まとめ
いかがでしたか?
指定自動車教習所は、教習の料金は高めですが入学から卒業まで綿密に組まれたカリキュラムが有るので安心です。一方で、届出自動車教習所は料金は安いですが、手間がかかりますし、技能試験に受かるのが難しいです。どちらで免許を取得するか、よく考えて決めたいですね。