4つ有る季節の中で、車にとって最も厳しい季節は「冬」です。低温・降雪・凍結などによって最もトラブルが発生するからです。そのため、冬を迎えるにあたっては、なるべく早く愛車の冬支度をやっておいた方が良いです。
そこで、今回は「愛車の冬支度」と銘打って、冬に向けてやっておきたい対策を紹介したいと思います。
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愛車の冬支度
冬支度として、以下の部品等々に関する対策は最低限やっておきたい所です。
- バッテリー
- 冷却水
- ワイパー
- 凍結防止
- タイヤ&チェーン
- サビ 等
【冬対策】車のバッテリー
車のトラブルで最も多いのが「バッテリー上がり」です。特に気温が低下する冬場に多い。
車のエンジンスターターは、バッテリーからの電力供給によって起動します。気温が低下する冬場は、エンジンオイルの粘度が強くなり、その他の季節よりも多くの電力が必要になります。さらに、気温低下によって、バッテリーの起電力・容量ともに低下してしまいます。
そのため、必要な電力を供給出来ずにバッテリー上がりを起こしてしまうわけです。
では、冬場にバッテリー上がりに遭わない為に何をすべきか?それは「バッテリーの性能チェック」です。経年劣化によってバッテリーの性能が下がっていなければ、電力が多めに必要となる冬場でもバッテリー上がりを起こす可能性は低くなります。
バッテリーの性能チェックには2つの方法があります。基本的にいずれもカーショップなどで受ける事になります。
- 負荷テスト・・・スターターを起動させるのに必要な電流を実際に流して、バッテリーの容量や内部抵抗などを診断
- コンダクタンステスト・・・内部抵抗を測定し、そこから容量などを計算して性能をチェック
電流を流さないコンダクタンステストの方がバッテリーに負荷がかからないのでオススメです。バッテリーに不安が有るなら、冬を迎える前にバッテリー性能をチェックしておきましょう。
冬のバッテリー上がりから車を守れ!オススメDIYグッズ
気温の低下の影響を和らげるグッズを紹介します。それが「バッテリーキーパー」です。素材にはグラスウールが使用され、断熱材としてバッテリーを気温低下から守る事が出来ます。
使用方法は、バッテリーの形状に合わせてバッテリーキーパーをカットして巻き付けるだけ。いわゆる、DIYグッズです。夏場の高温からもバッテリーを守る事が出来るので、冬場だけではなく1年中効果の有るグッズと言えます。
冷却水の濃度チェック
冷却水は「水」と「LLC(ロングライフクーラント)」を混合させた液体である事はご存知ですか?水の氷点は0℃、沸点は100℃ですが、LLCを混ぜる事で氷点を下げ、なおかつ沸点を上げる事が出来ます。
つまり、LLCは冷却水を凍結又は蒸発する事を防止するために混ぜているわけです。
もし、冷却水が凍結してしまうと、エンジンがオーバーヒートを起こして、最悪の場合エンジンの交換が必要になります(その他にもトラブルは発生します)。
こういったトラブルを起こさない為にも、冬前に冷却水の濃度(LLCの濃度)のチェックはしておきたい所です。冷却水の濃度と氷点の関係は以下の通りです。
冷却水の濃度 | 氷点 |
---|---|
30% | マイナス15℃ |
40% | マイナス24℃ |
50% | マイナス36℃ |
一般的には、冷却水の氷点が居住地域の最低気温よりも5℃低くなるようにLLCを混合させます。寒冷地仕様車では冷却水の濃度を50%としていますね。
ただし、冷却水の濃度が高いほど冷却効果が低くなる点には注意が必要です。最近は北海道でも夏は異常に暑くなるので、冬を超えたら冷却水の濃度を下げた方が良いかもしれませんね。
冬用のワイパーに交換
冬のドライブでは、ワイパーが機能しなくなると視界が確保出来ず、命取りになってしまいます。そのため、冬支度として冬用のワイパーに交換しておきましょう。最近は冬用でも1年中使える商品も販売されています。
ちなみに、一般のワイパーでは雪がブレードに詰まったり、金属部分が凍結してしまいます。視界が確保出来なくなるばかりか、ブレードの劣化・フロントガラスの損傷に繋がります。
そして、もう1つ忘れてはいけないのが「ウインドウォッシャー液を寒冷地仕様にする事」です。ウインドウォッシャー液の濃度が低いと、出したそばから凍結してしまいます。運転中ならかなり危険な状態に陥ります。
寒冷地仕様のウインドウォッシャー液なら、マイナス35℃~マイナス40℃まで凍結しません(原液のまま使用)。忘れずに交換しておきましょう。
【豆知識】降雪時にワイパーを上げる理由
雪が降っている時に、ほとんどの車がワイパーを上げて駐車している光景を見た事が有ると思います。あれは何故か知っていますか?なんとなく真似している人も多いはずです。
ワイパーを上げる主な理由は2つです。
- ワイパーを壊さない為
- ワイパーのリンク機構を壊さない為
降雪時にワイパーを下げたままだと、ワイパーのブレードの部分がフロントガラスにベッタリと凍り付いてしまいます。その状態でワイパーを無理矢理動かせば、ブレードのゴムがちぎれてしまうんですね。その結果、水捌けが悪くなってしまいます。
最悪の場合、ワイパーのリンク機構が破損してしまう事も有ります。リンク機構とは、簡単に説明するとワイパーを左右に動かすモーターなどの構造部分の事です。リンク機構が壊れてしまうと、ワイパーの動く範囲が狭くなったり、全く作動しなくなります。
そのため、降雪時にはワイパーを上げて駐車するんですね。
ただし、長時間駐車する時は大量の積雪によって上げたワイパーが折れる可能性が有るので、注意が必要です。ワイパーは見た目通り強度はそこまで有りません。駐車時間も考慮して、ワイパーを上げるようにして下さいね。
凍結防止
冬場にやっかいなのが、ドアやフロントガラスの「凍結」です。ドアが凍結してしまうと通常の何倍もの力が必要になります。また、フロントガラスが凍結してしまうと、氷解作業にかなり時間を要します。
冬を迎える前にフロントガラスのカバーや氷解スプレーを用意しておいた方が良いでしょう。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
【冬対策】車のタイヤ&チェーン
寒冷地では、冬を迎える前にタイヤをスタッドレスタイヤに交換するのは基本中の基本ですよね。一方、雪があまり降らない地域ではノーマルタイヤのまま冬を迎える人が多いはずです。スタッドレスタイヤは数万円、商品によっては十数万円するので、仕方が無いところです。
そこで冬を迎える前に用意しておきたいのが「チェーン」です。寒冷地でもチェーンが有れば、鬼に金棒です
しかし、ほとんどの人が天気予報で「雪」と聞いてからチェーンを購入しがちです。すると、チェーンを購入する人が増えるので、カー用品店では品切れが続出します。購入出来ない人も当然出てきます。
やはり、冬を迎える前にチェーンは必ず用意しておきましょう。また、購入したチェーンを一度試しに装着しておくと、降雪した日に慌てずミスなく装着出来ますよ。
サビ対策
寒冷地では道路の凍結防止の為に「塩化カルシウム」が散布されます。実は、この塩化カルシウムがサビの原因なんです。
塩化カルシウムは「塩分」です。塩分は水分を吸収する性質が有ります。除湿剤にも使われますよね。塩化カルシウムが車体に付着すると、空気中の水分を吸収し、車体(鉄)の表面を水分で潤す事になります。
鉄に付着した水分は、空気中の酸素と反応し、その過程で鉄を酸化させます。つまり、サビが発生するという事です。
そのため、塩化カルシウムが散布される冬が訪れる前に、車のタイヤハウスやアンダーボディにボディコート剤を吹き付けておきましょう。防錆被膜が生成されるので、サビを防ぐ事が出来ます。
また、車の下回りを洗車して、付着した塩化カルシウムを洗い流すのも有効です。
【参考】車の寒冷地仕様って何が違うの
北海道などの寒冷地では、寒冷地仕様車が販売されています。標準仕様の車と見た目は全く変わりませんが、値段は数万円高く設定されています。この寒冷地仕様車は一体何が標準仕様車と違うのでしょうか?
寒冷地仕様車と標準仕様車の主な違いは以下のようになっています。
装備 | 寒冷地仕様 | 標準仕様 |
---|---|---|
冷却水の濃度 | 50% | 30% |
ヒーター | ヘビータイプ 補助ヒーター、ヒーターリアダクト有り | 標準タイプ 補助ヒーター、ヒーターリアダクト無し |
ウインドシールドデアイサー * | 有り | 無し |
ワイパー | モーター強化 | 標準 |
リアフォグランプ | 有り | 無し |
* ワイパーがフロントガラスに凍り付かないように、ワイパー位置の部分に張った電熱線で温める機能
主に視界の確保や凍結防止の機能が施された車が寒冷地仕様車となります。車種によって装備している機能は異なりますが、ほとんど違いは有りません(メーカーオプションの場合も有り)。
今回紹介した「愛車の冬支度」の多くは、寒冷地仕様車に倣った内容又は応用した内容となっています。次の冬を迎える際には、今回紹介した冬支度を参考にしてみて下さいね。