大雨が降ると必ず1度はニュースで目にする「車の冠水」ですが、どのように対処すべきなのか気になっていませんか?
車の冠水といえば、大雨によって車が浸水してしまい、外に出ることが困難になってしまう状況のこと。
大事な車ですから、自分の命はもちろんのこと、車も何とかしたいと思いますよね。
しかし冠水にまで至ってしまったら、もう自分の車は捨てなければならない覚悟を持つことが重要だということをご存知でしょうか?
もしこの事実をしっかり腑に落としていなかったら、車に必要以上に執着してしまったせいで気持ちが焦ってしまい、適切な対処が取れないでしょう。
最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。
しかし、ご安心ください。今回の記事では車が冠水したときの対処法を、きっちりと紹介しています。
実際にあなたが冠水したときに焦らなくてすむように、事前の心構えと用意しておくべきモノなども解説していますよ。
よく大雨が降る地域にお住まいの方には必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
車の冠水とはどんな状況?冠水後はどうなる?
車の冠水とは大雨によって車が浸水してしまい、外に出ることが困難になってしまう状況のこと。
水が車内へ浸水してしまい、車内の足元が水につかってしまった状態も、れっきとした冠水です。
こうなると、エンジンや排気機構に水が入っているので「冠水車」として扱われます。
冠水車は廃車になるのが一般的で、売却しても二束三文になるのが一般的。修理しても完全に治しきることが難しいからです。
また以下のような現象も、冠水車には見られます。
- カビや細菌が繁殖して不衛生な車内になる
- 内部部品が劣化してしまう(錆びてしまう)
- 電気系統がショートして正常に動かなくなる
このように冠水してしまうと、もはや昔の愛車ではなくなってしまい、まともに走れる状態ではありません。
完全に修理するなら、関連部品を全て交換することになるので、車を乗り換えるほどの費用が発生します。
中途半端に修理した状態で走ると、最悪の場合、車が炎上・爆発ということも考えられるので注意が必要ですよ。
だからこそ、基本的には「廃車の運命からは逃れらない」と思っておくべきでしょう。
車が冠水した時の対処法を3つのシチュエーション別に解説
ここまで冠水とは何なのか、冠水した車はどうなるのかを紹介してきましたが、では実際に冠水に遭ったしまった時、どのように対処すればいいのか解説していきましょう。
冠水の対処は、以下のシチュエーションによって変わってきますので、注意してください。
- 駐車している車が水に浸ってしまった場合
- 運転中に足元まで水が浸ってしまった場合
- ドアが開かないほど水が浸ってしまった場合
それでは、それぞれのシチュエーションについて紹介していきましょう。
冠水した車の対処法1.駐車している車が水に浸ってしまった場合
もし自宅の駐車場以外で駐車している車が、大雨によって冠水しまったら、レッカー車で自宅もしくは修理工場まで運搬する必要があります。
キチンと自動車保険に入っているなら、付帯するロードサービスによって無料でレッカーしてもらえますよ。
ただし自動車保険に加入していないなら、「JAF」に自己負担にてレッカーを依頼することになるでしょう。
入会金2,000円・年会費4,000円でJAFに加入していれば15Kmまでならレッカー費用が無料になりますが、加入していないと以下の金額がかかるので要注意。
会員でない場合 12,880円+けん引料(昼間)
※部品・油脂・燃料代は実費
※けん引料は1km毎に720円※出典:JAF「ロードサービス」より
ただ大抵の場合は、自動車保険に加入しているでしょうから、付帯するロードサービスを利用することで手出しなしで解決できるでしょう。
冠水した車の対処法2.運転中に足元まで水が浸ってしまった場合
一気に雨が降ったり、急に川が氾濫したりして、運転中に冠水してきたら、とにかくエンジンを止めてください。
もしこれから運転しようとしていた時に冠水してきたなら、エンジンをかけてはいけません。
とにかく起動しているエンジンと水は相性が非常に悪いですから、すぐにエンジンをかけてない状態にしましょう。
特にハイブリッドカーの場合、エンジンをかけたままだと感電する可能性大ですよ。
そして、さらに水かさが増しそうであれば、車内に閉じ込められる前に避難すべきです。
なお、通行の妨げになる状態であっても、エンジンをかけて運転してはダメです。シフトレバーを「N(ニュートラル)」にして、手押しで移動させてください。
なお、車から脱出した後の行動は「JAF」が詳しく解説してくれているので、参考にするといいでしょう。
すぐさまクルマを止め、慌てずにエンジンを停止させましょう。その上で避難経路を考えます。その際、いきなり水たまりに出るのではなく、足を浸け水深を測りながら、ゆっくりと足をつき、進んできた方向とは逆(もどる)方向に歩いて避難しましょう。水たまりが濁っている場合は道路の状況がわからないため、マンホールのふたが外れていたりすることもありますので、一歩一歩、確かめながら歩くことが大切です。
※出典:JAF「クルマが冠水・浸水してしまったら?」より
冠水寸前の道路なら安全な場所まで走りきるのもOK
もしまだ車内まで冠水していないのであれば、車を捨てて逃げる必要もありません。
水が溜まっている場所から脱出して、安全な場所(ショッピングセンターの屋上駐車場など)に移動させてしまいましょう。
冠水寸前の水が溜まった道路を走るのであれば、エンジンの回転数を一定数に保って運転するのがコツです。
エンジンの回転数を一定に保って走れば、排気圧が上がることでマフラー(エンジン機構)への浸水を防ぐ事が出来ますよ。これで「冠水車」にならなくて済むでしょう。
冠水した車の対処法3.ドアが開かないほど水が浸ってしまった場合
車に乗った状態で一気に冠水して、車内に閉じ込められてしまう可能性もゼロではありません。そうなれば、エンジンだけを切ってすぐさま脱出です。
シートベルトをはずして、もし窓が開閉できるようなら、すぐさま開けて脱出しましょう。
なお窓から脱出する時はちょっとしたコツがあります。「ホンダ」がわかりやすく紹介しているので、マネしてみてください。
落ち着いてシートベルトをはずし、窓を開けて脱出しましょう。
この時、仰向けになり、背中側から外に出るようにすると脱出しやすいです。
もし冠水が進んで、窓から脱出するのが難しい場合、まずはドアロックを解除してください。
ロックを解除しても手では開かないでしょうから、足で思い切りドアを蹴って開けるようにしましょう。
ドアが開かない時は専用グッズで脱出を図る
場合によってはロック近辺の機構がダメになり、ドアが開かないときがあります。
そんな時は専用グッズを使って、窓を破壊して脱出するしかありません。
- 商品名:「長谷川刃物 レスキューハンマー 緊急脱出 緊急ツール RE-20 イエロー」
- 価格:1,845円(税込み 送料別)
保管場所をとらないうえに、コレひとつでシートベルト切断から窓ガラス破壊までできる優れモノです。使い方は以下の動画を参考にしてみてください。
有事の時に備えて、用意しておくことをオススメします。
【補足】車が冠水した時に焦らないためには?
車が冠水したときの対処法について紹介してきましたが、これらの対処法をうまく実行するためには、何にも増して「焦らないこと」が重要です。
焦ってしまっては、上記に解説した対処法を迅速かつ確実に行うことができません。
対処法を実施するなら、とにかくまずは焦らないようにしましょう。
ただ、そんな緊急事態に置かれた時、「焦るな」と言われても難しいもの。やっぱりジタバタとしてしまいそうですよね。
しかし実は「焦りを生み出す原因」についてしっかりと理解していれば、有事の時にしっかりと動くことができますよ。
では一体何が「焦り」を生じさせるのかと言うと、それは「自分の命も車も両方とも助けたい」と思うことです。
まず「脱出する=自分の命を守る」ことを考えれば何とかなりますが、「車を傷つけたくない」「この後も車に乗りたい」という気持ちがあると焦りを生じさせてしまいます。
そのため冠水が起こってしまったのであれば、もう腹をくくって「もう車は手放さなきゃならない」という気持ちのもと、自分の命だけを優先するようにしてください。
【総評】車が冠水することを想定して事前準備をしておこう
ここまで車が冠水したときの対処法について紹介してきましたが、はっきりって1番大切なのは対処法ではありません。冠水が起こる前の事前準備です。
まずは冠水が起こりそうな大雨時には、「危ない道路」を走らないことです。
あなたがお住まいの地域でも、増水で道路に水が溢れる可能性がある河川があるはずです。
冠水が起こりそうな雨が降ったら、運転前にニュースをチェックして、河川の近くなど「危ない道路」をあらかじめ把握しておきましょう。
なるべくならば外に出ないのが一番ですが、仕方なく外に出るのであれば、道路の状況チェックは最低限をおこなっておくべきです・
また周囲に比べて、少し凹んでいる道(アンダーパス)の場所も把握しておくべきです。
普通の道路よりも水が溜まりやすい構造になっているので、大雨時にアンダーパスは絶対に通ってはダメですよ。
「もしも」を意識して専用グッズも手に入れておく
上記でも説明しましたが、車内に閉じ込められた時、ドアが開かない・シートベルトがとれないという事態になれば、もう詰んでしまいます。
そのため、大雨でも運転しないといけない事情にあるのであれば、かならず先述した専用グッズは用意しておきましょう。
たった2,000円で自分の命を救えると考えれば安いものです。購入してサイドドアのくぼみにいれておけば、焦らずすぐに取り出すことができますよ。
まとめ
今回は車が冠水したときの対処法について、深掘りしてきました。
様々な対処法を紹介してきましたが、1番重要なのは焦らないことです。
車を失うことを覚悟して、とにかく自分の命を1番に行動することが、何よりも重要だということを忘れないようにしてください。