空走距離と制動距離と停止距離のそれぞれの意味を覚えていますか?車を運転する以上、これら3つの距離の意味と計算方法くらいは把握しておいた方が良いです。
今回は空走距離と制動距離と停止距離の意味や様々な路面状態でのそれぞれの距離を紹介したいと思います。
空走距離
空走距離とは、運転手が危険を察知してからブレーキを踏むまでに車が進む距離を言います。
イメージしにくい人は、鉛筆やペンを落として掴み取るゲームをしてみて下さい。誰かに鉛筆を縦に持ってもらい、その真下に手を輪にして待ち構えます。そして、鉛筆を放すのを確認してから、鉛筆が手で作った輪を通過するまでに掴み取ります。鉛筆が落ちてくると分かっていても、辛うじて先っぽを掴んだり、掴み損ねてしまいます。
つまり、人間誰しも、反応するまでに一定の時間を要してしまうものなのです。しかも、車の運転では突然人が飛び出してきたりするので、反応するのが遅れてしまいがちです。
一般的に、反応するまでの時間はおよそ1秒と言われています。ただし、疲れていたり、集中力を欠いていると、反応時間は遅くなります。
そして、空走距離は走行速度に比例します。速度が速いほど、当然進む距離は長くなります。
制動距離
制動距離とは、ブレーキを踏んでから車が停止するまでに車が進む距離を言います。この制動距離は、路面状態と速度によって変化します。
例えば、雨で路面が濡れていると、路面とタイヤの間に生じる摩擦が少なくなり、その分制動距離が長くなります。また、速度が速ければ速いほど、制動距離は延びます。
停止距離
停止距離とは、運転手が危険を察知してから車が停止するまでに進む距離を言います。つまり、停止距離は空走距離と制動距離の合計距離となります。
停止距離=空走距離+制動距離
計算方法
空走距離と制動距離の計算方法は、それぞれ以下の通りです。
- 空走距離・・・反応時間(秒)×速度(m/秒)
- 制動距離・・・速度(km/時)の2乗÷(254×摩擦係数)
摩擦係数は、乾いた路面で0.7、濡れた路面で0.5、積雪のある路面で0.15です。
では、路面の状況毎にそれぞれの距離を計算してみましょう。反応時間は1秒とします。
乾いた路面では
乾いた路面での空走距離と制動距離、そして停止距離は以下のようになります。
速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
---|---|---|---|
時速10km | 2.78m | 0.56m | 3.34m |
時速20km | 5.56m | 2.25m | 7.81m |
時速40km | 11.11m | 9m | 20.11m |
時速50km | 13.89m | 14.06m | 27.95m |
時速60km | 16.67m | 20.25m | 36.92m |
時速80km | 22.22m | 36m | 58.22m |
時速100km | 27.78m | 56.24m | 84.02m |
時速120km | 33.33m | 80.99m | 114.32m |
濡れた路面では
濡れた路面での空走距離と制動距離、そして停止距離は以下のようになります。
速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
---|---|---|---|
時速10km | 2.78m | 0.79m | 3.57m |
時速20km | 5.56m | 3.15m | 8.71m |
時速40km | 11.11m | 12.6m | 23.71m |
時速50km | 13.89m | 19.69m | 33.58m |
時速60km | 16.67m | 28.35m | 45.02m |
時速80km | 22.22m | 50.39m | 72.61m |
時速100km | 27.78m | 78.74m | 106.52m |
時速120km | 33.33m | 113.39m | 146.72m |
積雪のある路面では
積雪のある路面での空走距離と制動距離、そして停止距離は以下のようになります。
速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
---|---|---|---|
時速10km | 2.78m | 2.62m | 5.4m |
時速20km | 5.56m | 10.5m | 16.06m |
時速40km | 11.11m | 41.99m | 53.1m |
時速50km | 13.89m | 65.62m | 79.51m |
時速60km | 16.67m | 94.49m | 111.16m |
時速80km | 22.22m | 167.98m | 190.2m |
時速100km | 27.78m | 262.47m | 290.25m |
時速120km | 33.33m | 377.95m | 411.28m |
まとめ
空走距離と制動距離と停止距離の関係を理解出来たでしょうか?例えば、乾いた路面を時速40kmで走行している場合では、車が停止するまでに約20mも進んでしまいます。
車がすぐに止まれない事を考えると、前方車両との車間距離をなるべく保った方が良いでしょう。また、見通しの悪い道路ではなるべく速度を落として走行する方が良いですね。
なお、当記事で紹介している停止距離等はタイヤの摩耗状態が良好な場合を前提としています。タイヤが摩り減っている場合は、停止距離は長くなってしまいます。
あなたの車のタイヤの状態はどうなっているでしょうか?もし、溝が少なくなっているのなら、早めにタイヤ交換をするようにしましょう。