中古車市場では代金のやりとりやキャンセル料などのトラブルがたまに発生します。
今回は「売却代金が振り込まれる前に買取査定業者が倒産してしまうトラブル」について紹介します。実際に、以下の事例のようにトラブルに巻き込まれた消費者もいます。
インターネットの一括見積もりで知った買い取り業者に 300 万円で売却する契約をして車を引き渡した。入金の約束日の次の日になっても振り込まれないため、電話をしたら通じず、店舗に行ってみたら、「倒産」の張り紙があった。
(引用:国民生活センター「事例8」)
こういう場合、売却代金はどうなるのでしょうか?
買取業者から売却代金は一銭も入金されないのか
売却代金を受け取る前に買取査定業者が倒産してしまった場合、売却代金を一銭も受け取れない可能性がかなり高いです。もし、受け取れたとしても満額には程遠い金額となるでしょう。
ではどの程度の金額であれば回収できるのか?と言うと、倒産した買取業者に残っているお金・資産次第です。以下詳しく見てみましょう。
債権者として多少の金額は請求できるのか?
中古車の売却代金を受け取っていない売主は、倒産した買取査定業者の債権者です。そして、その債権は一般の破産債権に区分されます。
売却代金である破産債権は破産手続きにおける配当によって回収する事になります。詳しくは、LSC綜合法律事務所の記事を見てください。
簡単に説明すると、破産手続きが開始されると債権者独自で債権を回収する事が出来なくなり、破産管財人によって倒産した会社の資産を金銭化して、債権の種類や金額に応じて分配していきます(破産法194条)。
債権の種類とは一般の破産債権などの事を指すのですが、債権の種類によって分配する優先順位が規定されていて、残念ながら中古車の売却代金(一般の破産債権)は優先順位の低い債権とされています。
そのため、優先順位の高い税金や給料などへの支払いを済ませてから、それでも資産が残っていたらようやく一般の破産債権へと分配される事になります。
ですが、一般の破産債権には中古車の売却代金だけでなく、倒産会社の取引先の売掛金など色々な債権が含まれています。また、分配される金額は債権金額に応じて平等に配当されます。
こういった破産手続きを考慮すると、買取査定業者が小規模であればあるほど分配出来る資産も少なく、中古車の売却代金を回収する事は難しくなります。
そのため、買取査定業者の倒産トラブルに巻き込まれないために、売却する前段階でなんらかの対策を講じておいた方が良いでしょう。
倒産トラブルに巻き込まれない為の対策方法
倒産トラブルへの対策方法としては、以下のような物が考えられます。
- 代金の受取日と車両の引渡日を同じ日にする
- 車両は引き渡しても名義変更に必要な書類は代金を受取ってから渡す
- 倒産しそうな会社には売却しない
代金の受取日と車両の引渡日を同じ日にする
売却代金の受取日と車両の引渡日を同じ日にすれば、取りっぱぐれる事は有りません。
また、車両の引き渡しをしていなければ、仮に売却代金を受け取る前に買取査定業者が倒産したとしても、手元に車両が残るので、他の買取査定業者に売却をする事が出来ます。
ただし、代金の支払い方法に関しては、車両引き渡しが完了してから数日後に売却代金を振込む、という方式を採用してる買取業者が多いので、売却代金の受取日と車両の引渡日を同日にするのは厳しいかもしれません。
ですが、倒産トラブルを回避するために、契約前に担当者と相談してみるべきでしょう。
車両は引き渡しても名義変更に必要な書類は代金を受取ってから渡す
上記の対策方法が無理だった場合は、車両を引き渡しても名義変更に必要な書類を代金と引き換えに渡すようにしましょう。名義変更に必要な書類は以下の通りです。
- 譲渡証明書
- 委任状
- 印鑑証明書 など
これらの書類が手元にあれば、引き渡した車両が誰かに売られる事は有りません。
売却代金の入金を確認してから上記の書類を買取査定業者に渡すようにしましょう。
倒産しそうな会社には売却しない
やはり、倒産しそうな会社に売却しないのが倒産トラブルを避ける一番の方法です。そのため、「一括査定サービス」に登録している優良業者の中から売却先を選ぶべきでしょう。
もちろん、一括査定サービスに登録している業者が倒産しないわけでは有りませんが、登録していないその辺の買取業者より倒産リスクは低いはずです。
なぜなら、一括査定サービスを提供している業者にとっても信頼は大切だからです。利用者が安心して利用出来るように、登録業者の財務状況などを厳しくチェックして、倒産のリスクが低い所を厳選しているはずですからね。
一括査定を利用する事で愛車の買取相場を確認する事が出来ます。一括査定で調べた相場よりも異常に高い査定額を提示してくる買取査定業者は、もしかしたら倒産するかも、と疑った方が良いかもしれませんね。
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