中古車の売却をキャンセルする理由は色々と有りますが、代表的なものとして以下の様な物が挙げられます。
- 家族が反対するのでキャンセルする
- やはりこの車が好きなのでまだ乗り続けたいからキャンセルする
- 他にもっと高く買い取ってくれる店が見つかったのでキャンセルする
キャンセル自体は消費者の権利とも言えるので、キャンセルすること自体に問題は無い場合が多いですが、まれに買取店から理不尽なキャンセル料を請求されてトラブルになる事が有ります。
今回は、理不尽なキャンセル料・解約料を請求された場合の考え方について紹介したいと思います。
なお、トラブルに巻き込まれたら、すぐに国民生活センターや法律の専門家に相談するようにしましょう。
そもそも中古車の売却契約にキャンセル料は発生する?
中古車の売却契約成立後に、キャンセルをして中古車買取店に損害を生じさせれば、当然損害賠償責任として「キャンセル料」は発生します。
ただし、キャンセル料が発生するのは、あくまでもキャンセルによって「中古車買取店に実際に損害が生じている場合」です。つまり、キャンセルをしたからと言ってキャンセル料を支払う義務が必ず発生するとは限りません。
しかし、平成12年までは、契約前にキャンセル料について説明を受けていたら、損害が実際に生じていなくてもキャンセル料は発生していました。これは民法420条に「賠償額の予定」が規定されているためです。
第四百二十条
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
もちろん、暴利を貪るようなキャンセル料は無効です。しかし、悪徳業者とのキャンセル料トラブルは頻繁に発生していました。
そこで、平成12年に消費者を保護する目的で消費者契約法が制定され、消費者が負担するキャンセル料は「キャンセルによって中古車買取店に生じる平均的な損害額」までとなり、それ以上のキャンセル料は無効となりました。
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(消費者契約法第9条一号)
平均的な損害額とは、実際に生じた損害額ではなく、当該業者が同種の契約をキャンセルされた場合に発生する平均的な損害額を言います。
つまり、中古車の売却契約をキャンセルする場合、キャンセル料はキャンセルによって発生する平均的な損害額までとなります。また、キャンセル時点で損害が発生していないのであれば、当然キャンセル料は発生しません。
しかし、消費者を保護する法律が制定されてもキャンセル料トラブルは発生しています。イメージしやすいように事例を1つ紹介しておきます。
中古車を売買代金25万円で売却する契約を結んだが、契約から3日後にキャンセルしたら、キャンセル料として10万円を請求された、というトラブル事例が国民生活センターに寄せられています。
売主は契約時にキャンセル料について一切説明を受けていませんでした。トラブルの相手である買取業者のキャンセル料の仕組みは、損害額に関わらず売買代金100万円以下は一律10万円という物でした。つまり法外なキャンセル料だったのです。
上記のような相談を受けた国民生活センターは、適正なキャンセル料である平均的な損害額までを支払うように助言を行っています。
このような中古車買取業者とのキャンセル料トラブルに巻き込まれた場合は、住んでいる地域の国民生活センターに相談するようにしましょう。
続いて、中古車の売却に関する適正なキャンセル料はいつから、そしてどれくらい発生するのか確認しておきましょう。
これを知っておくことで、法外な解約料やキャンセル料を請求された場合に少しは抗弁出来るのかなと思います。(あくまでも話し合いの時点でという意味ですが。)
キャンセル料はいつ、そしてどれくらい発生する?
まず、キャンセル料がいつ発生するのか?については、中古車買取業者が当該中古車の事務処理をキャンセル時点でどれだけ進めているのか、という点がポイントになります。
事務処理状況 | キャンセル料発生の有無 |
---|---|
契約書作成 | キャンセル料は発生しない。 契約書作成のみで業者に損害はおそらく発生していない。 |
中古車引取 | キャンセル料は発生する可能性有り。 引き取り費用が業者負担の場合や車庫での管理費用が既に発生している可能性が有る |
オークション出品予約 | キャンセル料発生の可能性有り。 上記の損害に加え、オークション出品手数料が損害となる |
オークション会場へ陸送 | キャンセル料発生の可能性有り。 上記の損害に加え、会場への陸送費用も損害となる |
中古車の売却契約を結んだだけでは、キャンセル料は発生しないと考えるのが一般的です。一方で契約後に中古車を引き渡してしまうと、多少なりともキャンセル料は発生する可能性が出てくると思います。
発生するキャンセル料
次に、発生するキャンセル料についてです。
業者によって異なりますが、買取額を基準として設定した金額を上限額として、実際に発生した損害額をキャンセル料としている業者が多いです。
例えば、買取金額が50万円なら、その10%の5万円を上限額と設定しておいて、実際の損害額と比較して安い方をキャンセル料とする、という感じですね。
ちなみに、オークション会場へ出品された場合、出品手数料だけで約1万円のキャンセル料が発生します。また、陸送費用なども加算されるでしょう。
中古車買取業者は、中古車引取後から速やかにオークションへの出品やその他の業者への販売の事務を進めていきます。そのため、キャンセルが遅れれば遅れるほどキャンセル料は高くなります。
また、売却から一定期間を経過するとキャンセルが出来なくなる業者もいます。キャンセルする場合は、なるべく早く店に連絡を入れるようにしましょう。
キャンセルトラブルを避ける為に
中古車のキャンセルトラブルが発生する原因の1つとして、少数の買取業者の査定提示額で売却を決定してしまう事が考えられます。
試しにもう1社に話を聞いてみるともっと高く買い取ってくれるというので、最初の売却契約をキャンセルしようと思ったら、キャンセル料トラブルに巻き込まれた!という話はよく聞きます。
そのため、売却先を決定する段階、つまり査定の時点でしっかりと多くの業者の査定額を吟味する事が大切です。
一括査定なら最大10社の査定額を簡単に知る事が出来ます。キャンセルトラブルを防ぐためにも、一括査定を利用して納得のいく売却額で車を手放しましょう。
コメント一覧
この記事へのコメントはありません。