街中を走る「わ」ナンバーの車。これは、旅行時やちょっとしたドライブに便利なレンタカーを表しています。(関連記事:「わ」「れ」などナンバープレートの「ひらがな」部分の意味)
レンタカー業者には、トヨタレンタカーやタイムズレンタカーなどよく耳にする会社が有りますが、レンタカー事業者として開業しようと思ったら出来るものなのでしょうか?
ここでは、レンタカー事業者になる方法や仕事内容などについて紹介していきます。
レンタカー事業を始めるのに必要な許可は?
レンタカー事業(正式名称:自家用自動車有償貸渡業)をするには、国土交通省から自家用自動車有償貸渡業の許可を得る必要が有ります。(根拠条文:道路運送法第80条第1項)
許可の申請には、以下の書類が必要となります。なお、レンタカー事業は個人事業主として開業する事も出来ますし、株式会社などの法人として事業を始める事も出来ます。
申請書等の雛形は、各地域運輸局のホームページから取得する事が出来ます。お住まいの近くの運輸局のホームページを検索してダウンロードされて下さい。
- 許可申請書
- 貸渡料金表及び貸渡約款
- 確認書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡しの実施計画
- 会社の登記簿謄本(個人の場合は住民票)
貸渡しの実施計画でも保険加入状況を書く箇所が有りますが、レンタカー事業をする場合「対人8,000万円以上・対物200万円以上・搭乗者保険500万円以上」の保険に加入する必要が有ります。規則上求められているのはこれだけですが、実務上は対人対物は無制限にしておかないと、後々大変な事になりかねませんね・・・。
なお、レンタカーとして使用する車は1台からでも構いません。但し、レンタカー業で頑張っていこうとしているのであれば、1台ではちょっと厳しいですけどね。
許可申請をすると審査が行われ、問題無ければ1ヶ月程度で許可がおります。許可後は、運輸支局の登録窓口でレンタカー登録(「わ」ナンバー登録)をします。また、許可書を貰う際に登録免許税9万円の納付が必要です。
レンタカー事業開始後は、レンタカーを配置する事務所で貸渡しの状況や整備状況などを適切に管理する必要が有り、年に1度レンタカーの実績を運輸支局に報告しなければなりません。
レンタカーに付随して運転の労務提供をしない様に注意が必要です。これをすると白タク行為になってしまいます(運転者の紹介や斡旋も×)
使用出来る車両の種類
レンタカー事業に使用出来る車両は、以下の通りです。
- 自家用自動車
- 自家用マイクロバス(乗車定員29人以下、車両全長7m未満のもの)
- 自家用トラック
- 特殊用途自動車(霊柩車を除く)
- 2輪車
参考:原付やミニカー、小型特殊自動車にはレンタカーという概念がないので、許可が無くても貸渡しする事が出来ます。但し、交通事故時には車両所有者としての責任を問われる事になるので注意が必要です。
欠格事項
以下の欠格事項に該当する方はレンタカー事業をする事は出来ません。
1:許可を受けようとする者が1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき
2:許可を受けようとする者が一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車
運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき3:許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合において、
その法定代理人が1及び2に該当する者であるとき4:申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けているとき
(参照元:国土交通省「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いに ついて」)
整備管理者の届出
以下の条件に合致する場合は、整備管理者を定めた上で管轄の運輸支局に届け出る必要が有ります。
車の種類 | 登録台数 |
---|---|
乗車定員11名以上のバス | 1台以上 |
総重量8t以上のトラック | 5台以上 |
自家用自動車 | 10台以上 |
なお、整備管理者となる方は以下の条件を満たす必要が有ります。(根拠法令:道路運送車両法施行規則第31条の4)
- 1:自動車整備士の資格を有している。
- 2:資格を有していない場合は、2年以上の実務経験(自動車の整備)が有り「整備管理者選任前講習を修了」を修了している。
- 3:上記1・2に掲げる技能と同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準(※)以上技能が有る。
※:当該基準は今のところ告示されていません。
レンタカー事業の活用法
レンタカーというと、何十台も車を用意して旅行に行こうとしている方などに貸すというイメージが有りますよね。確かにそれが一番オーソドックスなレンタカー事業者の仕事ですが、他にもレンタカー事業の展開の仕方は有ります。
例えば、整備工場をしている方が、レンタカー事業許可を得て代車をレンタカーとして貸し出す事で、レンタカー料金を客から貰う事が出来ます。
また、自動車販売店でフロントエンド商品としてレンタカーを貸し出して客の購買意欲を掻き立て、バックエンド商品として車を売るというのも1つの活用法ですね。
まとめ
いかがでしたか?レンタカー事業は、許可を得れば誰でも開業出来る事が分かりましたね。但し、レンタカーをメイン事業とするのであれば、初期投資としてある程度まとまったお金が必要になります。
また、既に自動車関係の事業をしている方でも、レンタカー事業を取り入れて収益拡大を図る事が可能なので、許可の取得を検討してみてはいかがでしょうか?
なお、自分で一から全て手続きをするのが無理だという方は、ニコニコレンタカーの様にレンタカー事業のフランチャイズ展開をしている会社が有るので、FC店としてスタートするのも良いかもしれないですね。
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