「雪道に強い車は?」と聞かれると「四駆の車!」と答える方が多いのではないでしょうか?なぜ四駆の車は雪道に強いと言われているのでしょうか?
また、SUV車やクロカン車はアウトドア派に人気の車で、雪道にも強そうな感じがしますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ここでは、雪道に強い車の条件について見ていきましょう。
雪道に強い車とは?!
雪道に強い車かどうかを判断するには、以下の要素を見れば分かります。
- 最低地上高
- 駆動方式
- タイヤの幅
- 車重
以下で1つずつ内容を見ていきましょう。
最低地上高
最低地上高によって、雪道に強いかどうかが左右されます。最低地上高とは、地面から車体の底までの距離の事ですが、一般的な車の場合、最低地上高は150mm前後で、RV車は160mm〜200mm以上有ります。
最低地上高が低いと、雪道にはまった際に車体の底が雪でつっかえて、タイヤが浮いてしまう事が有ります(これを「亀の子状態」と言います。)そこで、最低地上高が150mm以上有る車が、一般的に雪道に強いと言われています。
注:元々は最低地上高の高めの車だったとしても、乗員数が多かったり荷物をたくさん積んでいると車高が低くなる、という点は知っておきましょう。
駆動方式
車の駆動方式は、大きく以下の5種類に分かれます。
- FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
- FR(フロントエンジン・リアドライブ)
- MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)
- RR(リアエンジン・リアドライブ)
- 4WD(4 Wheel Drive)
エンジンの位置とギア(ドライブ)の位置によって駆動方式は決まるのですが、それぞれに以下の様な特徴が有ります。
FF車は日本車に最も多いタイプで、プロペラシャフトを用いない為、車内空間を広く確保する事が出来ます。また、前輪にトラクションがかかり易いので、初心者にも運転が簡単です。一方で、前方に重量物が集中するので、重量のバランスは良くありません。
FR車は、プロペラシャフトによってフロントに有るエンジンから後輪に動力が伝わります。前輪・後輪で操縦・駆動の役割が分かれているので効率が良く、ドリフトがし易いので走るのが好きな方に人気が有ります。一方で、プロペラシャフトが有るので車内の居住性は悪く、多くの部品が必要となるので車体価格も高くなります。
MR車は、後席付近にエンジンが有るので、2シーターとなります。FR同様に、前輪・後輪で役割が分かれているので効率が良く、高い馬力にも対応が出来ます。一方で、車内空間や荷室は狭く、エンジン音が大きいです。
RR車は、エンジンが車体の後方に有るタイプで、ポルシェなど一部の車に見られるものの、殆ど採用されていない駆動方式です。前方にエンジンが無いので、コーナリングなどが得意で急な勾配にも強いです。一方で、荷室は狭く、オーバーステアの傾向が強いです。
4WDは、前輪と後輪を直結し、全てのタイヤに駆動力がかかるタイプです。4つのタイヤが効率良くパワーを路面に伝えるので、高出力のエンジンでも安定して走る事が可能です。一方で、車重が重く燃費が悪いという欠点も有ります。
参考:4WDはさらに、普段は2WD走行で、必要な時だけ4WDに切り替える「パートタイム4WD」と常に4WD走行をする「フルタイム4WD」とに分かれます。
「4WD車は雪道に強い」と言われますが、その理由は簡単です。4つのタイヤ全てが駆動するからです。これだけで、他の駆動方式とは雲泥の差が生じます。
一方で、他の駆動方式は、駆動輪にかかる荷重の大小で雪道の対応力が決まります。雪道に強い順序としては、「FF>RR>MR>FR」と言った感じですね。
注意:4WDは、走行性能が優れていますが、ブレーキや旋回の性能は他の駆動方式とあまり変わりません。従って、雪道に強いからといってスピードを出し過ぎると、事故に遭う可能性も当然上がるという事です。
タイヤの幅
太いタイヤと細いタイヤとでは、どちらの方が雪道に強いと思いますか?多くの方が「太いタイヤ!」と答えると思いますが、実は細いタイヤの方が雪道に強いです。
これは、細いタイヤの方が接地圧力が高くなるので、よくグリップするからです。但し、これは雪道での話です。凍結路の場合は、タイヤのゴムを密着させてグリップする事になるので、逆に接地面積が広い方が強くなります。
従って、雪道と凍結路のどちらを多く走るかによって、適したタイヤの太さは変わって来るという事ですね。道毎に使い分ける事はなかなか難しいので、標準的な幅のタイヤを選んでいれば雪道では問題無いでしょう。
車重
車重の重い車は、雪道に強そうな感じがしますよね。確かに、重い車にはそれ相応のブレーキやタイヤが装備されています。しかし、雪道では、ブレーキやグリップ力の高いタイヤというのはあまり意味が有りません。
車重が重過ぎると、ブレーキを踏んでも止まるまでに慣性の法則により停止距離が長くなってしまいます(参考:空走距離・制動距離・停止距離の意味と違い)。また、コーナリング時も車重が重いと、ちょっとしたハンドル操作やブレーキのミスで、大きく外回りしてしまい、コースアウトやスピンをしてしまう可能性が有ります。
一方で、車重の軽い車は、コーナーを曲がる際の遠心力が小さいので、難なく曲がる事が出来ますし、仮に滑ったとしても小回りが効くので、簡単にリカバリーする事が出来ます。
従って、雪道では車重は重すぎない事が重要ですね。
参考:FR車の場合、後部座席に人が乗ったりガソリンを満タンにしたりすると、雪道での走破性が高まると言われていますが、これは駆動輪に体重をかけてトラクション(駆動力)を得る事が出来るからです。
まとめ
いかがでしたか?雪道に強い車と言っても、色々な条件を満たす必要がある事が分かりました。
これらの条件を満たす車は色々有るでしょうが、中でも雪道に強いのは「4WDの軽トラック」でしょうね。雪道でもスイスイと走っている軽トラックを見た事が有る方もいるのではないでしょうか?
車を選ぶ際に、「雪道に強い」という条件を加えるのであれば、軽トラックの特徴をイメージしながら車選びをすると良いですね。
(画像参照元:Favcars)
ちなみに、SUVの代表格である「三菱・パジェロ」「トヨタ・ランドクルーザー」「スバル・フォレスター」などは、基本的にここで紹介した条件を満たしており雪道での走破性は高いでしょう。
但し、ランドクルーザーについては、車両の総重量が3,000kgを超えるグレードが有ります。ここまで重いと、一旦スリップしたら止まるのが難しいでしょうね・・・。