飲酒運転に対する罰則は年々厳しくなり、最近では、捕まると1発で免許取消になりますし罰金も高額です。
何よりも、飲酒運転は非常に危険なので絶対にしてはいけません。
ところで、飲酒運転に対する取締りが厳しくなった事で注目を浴び始めたのが、運転代行業者です。
乗ってきた車をスタッフが代わりに運転してくれるので、飲酒運転となる心配もなく、利用料金もタクシーに乗るのと殆ど変わらないので、とても便利ですよね。
ここでは、そんな運転代行業の開業方法や開業に必要となる資金などについて見ていきます。
運転代行業とは?
運転代行(正式には自動車運転代行業)は、他人に代わって自動車を運転するサービスを提供するもので、以下の3点に該当するものを言います(自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律第2条)。
一 主として、夜間において客に飲食をさせる営業を営む者から酒類の提供を受けて酒気を帯びた状態にある者に代わって自動車を運転する役務を提供するものであること。
二 酔客その他の当該役務の提供を受ける者を乗車させるものであること。
三 常態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること。
なお、日本で初めて運転代行業を開始したのは、碓井運転代行社(現在の㈱JDSインターナショナル)で、1966年7月に開業しています。飲酒運転の厳罰化に伴って誕生したのかと思いきや、実は結構昔から運転代行業自体は有ったのですね。
運転代行業の開業方法
従来は、運転代行の業界に法規制が特に無かったので参入障壁が低かったのですが、2002年の飲酒運転厳罰化に併せて「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が施行され、現在では営業を開始するには公安委員会の認可が必要となっています。
また、運転代行業を営む場合、各営業所に安全運転管理者を設置する必要が有りますが、この安全運転管理者は誰でもなれるという訳ではなく、以下の条件を満たした人でなければなりません。
- 20歳以上
- 2年以上の自動車の運転管理経歴
- 過去2年以内に一定の違反(※)が無い事
※:ひき逃げ、酒酔い運転、無免許運転、麻薬等運転など。
なお、屋号を申請する時点では、2名以上の運転免許取得者が必要となります。そして、その内1人は第2種運転免許が必要です。
運転代行業では、客の車を代わりに運転するので、2種免許が無いと運転が出来ないのです。
ちなみに、代表者が第2種免許を持っている必要は無く、免許保持者を雇うのでも問題有りません。
同法3条では、運転代行業を営む事が出来ない「欠格事由」が定められており、成年被後見人や被保佐人、禁錮以上の刑に処され、執行後2年が経過していない者など、一定の条件に該当する方は営業が出来ません。
警察への登録
運転代行業を始めるには、まずは公安委員会の認可を貰う為に、管轄の警察署に届出をする必要が有ります。
必要書類は、各県警のホームページで紹介されています。都道府県によって内容が異なる事も有るので、各自で確認する様にして下さい。
個人事業主の場合、届出には以下の書類が必要となります。
- ①認定申請書(警察署で貰えます)
- ②戸籍謄本若しくは抄本 ※1
- ③登記事項証明書 ※2
- ④損害賠償責任保険契約の証書と車検証のコピー
- ⑤安全運転管理者の住民票の写し
- ⑥安全運転管理者の自動車の運転管理経歴書
- ⑦安全運転管理者の運転記録証明書
- ⑧手数料(13,000円)
※1:外国人の場合は、住民票の写し
※2:成年被後見人等として登記されていない事の証明書
一方で、法人の場合は上記の②・③の代わりに以下の書類が必要となります。
- ①法人の登記謄本
- ②定款
- ③役員の戸籍謄本若しくは抄本
- ④役員の住所及び氏名の記載された名簿
- ⑤役員の登記事項証明書
なお、申請してから認定がおりるまで、大体2ヶ月程度かかります。
認定がおりたら、次に人材確保が必要です。随伴車両を運転する運転手が必要ですが、上述した様に、随伴車両の運転は普通自動車第1種免許が有ればOKなので、パートやアルバイトの方を雇っているケースが多い様です。(代表者が2種免許を持っていない場合は、2種免許を持っている方を雇う必要が有ります。)
開業に必要な資金
運転代行業を開始するには、随伴車両(※)はもちろんの事、運転代行料金メーターやメーター用のプリンター、業務用の無線、携帯電話、ステッカーなどの備品が必要となります。
※:運転代行では、客は自分の車に乗るので、随伴車に乗るという事はまず有りません。また、客は随伴車を見て利用する業者を選ぶ訳では無いので、購入する車は中古車で構いません。
また、車を置いておく駐車場が必要ですし、タクシーと違って、町中を流していて客が捕まえてくれるというビジネスモデルではないので、チラシやホームページなどによって地道に広告宣伝をする必要も有ります。
駐車場は立地によって金額が左右されますが、他の備品や広告費なども合わせて概ね200万円程度有れば、開業資金としては十分でしょう。
運転代行業に関する保険
運転代行をしている際に、客の車で交通事故に遭遇する事が有ります。この場合、客の車にかけられている保険を使う事は出来ません。
そこで、独自に保険に加入する事になるのですが、一般的には代行業者は全国運転代行共済協同組合で、損害賠償責任保険(共済)に加入する事になります(代行業者の保険加入は、任意ではなく義務です。)
運転代行のフランチャイズ
いきなり個人で運転代行業を始めても、集客面や仕組み作りが大変ですよね。
そこで、フランチャイズ(FC)により開業する事も可能です。
現在の所、フランチャイズ展開を確認できたのは以下の2社となります。
フランチャイズだと、開業までの手続きや集客なども支援してもらう事が出来るので、安心して事業を始める事が出来ますよ。
運転代行を開業してからの集客方法
開業をしてもお客さんがいなければビジネスとして失敗します。
集客が一番の肝になります。
そこで筆者は開業後、ナビタイムの集客支援をオススメしています。
ナビタイムは地図やルート検索、乗り換えナビで有名ですので、使われている方も非常に多いです。
ナビタイムでは以下3つの集客支援があります。
- 無料掲載して露出を増やす
- 広告掲載して露出を増やす
- ネット予約
1.の無料掲載をすることで月10~30人ほどの集客見込み、2の広告掲載をすることで月平均100~200人ほどの集客が見込めるとのこと(※ナビタイム担当者にヒアリング)
無料掲載をすると、ナビタイムの運転代行サービス一覧に登録されます。
まずは1の無料掲載は確実に実施するようにしましょう。
そして、タイミングを見て、2.の広告掲載を検討するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?運転代行業を始めるには資金的には200万円程度で足りますが、それ以外にも警察への申請など色々しなければならない事が有りますね。
なお、他社に名義貸しを依頼して開業しようとする方がたまにいる様ですが、運転代行業での名義貸しは禁止されています。ちゃんと自己名義で認可を取る様にしましょうね。
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