車の盗難防止の為に、最近の車に搭載されている事が多い「イモビライザー」。確かに、イモビライザーは盗難防止に有効で、搭載している事で車の盗難件数は減少するでしょう。
しかし、それでも絶対安心という訳では有りません。イモビカッターによってイモビライザー搭載の車が簡単に盗難されてしまう可能性が有るのです!
ここでは、イモビカッターやその対応策として注目を浴びているイモビカッターキラーについて紹介していきます。
イモビカッターとは?!
イモビカッターという言葉が、初めて世間で話題となったのは2010年のことです。イモビライザーを解除する装置を使って、車の盗難がされたのです(※)。
※:イモビライザー搭載車両が初めて盗難されたという訳ではなく、あくまでも新聞やテレビで初めて話題となったとき、という意味です。
この盗難は、キーに与えられたIDと、車に搭載されたコンピューターに登録されたIDとが一致しないとエンジンがかからない、というイモビライザーの機能を逆手にとった手口でした。
まず、車に搭載されているコンピューターにアクセスし、ID情報をリセットします。そして、別のキーのID情報をコンピューターに登録する事で、エンジンがかかる様になるのです。
このID情報をリセットする装置は、元々は鍵屋が合鍵を作るために開発された業務用品なのですが、最近はインターネットである程度の物は購入出来てしまいます。
その結果、車の盗難に悪用される事が増えて来ているのです。
いたちごっこ状態?
自動車メーカーはイモビカッターに対処するための工夫を凝らしていますが、高度なイモビライザーを開発してもすぐにそれを破るイモビカッターが登場する為、いたちごっこが続いています。
また、車の盗難の多い愛知県や茨城県では、県の条例としてイモビカッターを業務以外の目的で所有する事を禁じていますが、全国的にはまだまだ法規制が遅れています。
イモビカッターキラーは救世主!?
イモビライザーとイモビカッターがいたちごっこをしている最中、2014年に「イモビカッターキラー」というイモビカッターを妨害する装置が登場しました。
車に搭載されたコンピューターを常時監視して、不正アクセスを検知すると無効化し、30秒間ホーンが鳴り、ハザードも点滅します。
参考:特にトヨタ車がイモビカッターの被害を受け易いとされているため、このイモビカッターキラーはイモビライザーを搭載したトヨタ車で使用が可能です。
従来からイモビカッター対策の製品は有ったのですが、イモビカッターを検知する機能が無かった為、OBD IIコネクタに接続されている他の機器が使えなくなるといった問題点が有りました。また、車検時には動作を解除する必要も有ったので、不便な上に手間がかかっていました。
イモビカッターキラーは、これらの問題点を克服しより高い盗難防止効果を実現しました。今後も機能の拡大を目指し、イモビカッターに勝ち続けて欲しいですね。
ちなみに、他にも下記のようなイモビカッター対策商品が出ていますので、色々と調べてみるのも良いかもしれませんね。
コラム:イモビライザーと車両保険
イモビライザーが登場した当初、「イモビライザーが装着されているのだから車を盗難する事は出来ないはず!」と誰もが思っていました。
その結果、損害保険会社は「イモビライザーの解除は出来ないのだから盗難は不可能」と主張し、イモビライザーの装着されている車の盗難事例に対して、保険金の支払拒絶をする事が多く発生していました。
民事訴訟をすれば、最終的に保険金の支払をしてはくれるのですが、中には盗難から支払まで2年近くの時間がかかる様なケースも有りました。
とはいっても、最近はイモビライザーは簡単に解除が出来てしまう事が知れ渡って来ているので、保険金の支払を拒否される事も殆ど有りません。
イモビライザーが簡単に破られてしまうのは困りますが、保険金がきちんと支払われるという点については助かりますね。
参考:イモビライザーの登場した頃は、イモビライザーを搭載している車が車両保険を契約すると保険料の割引を受けられる「イモビライザー割引」が有りました。最近は、イモビライザーの搭載が一般的となって来たので、多くの保険会社がこの割引を廃止しています。