速度違反(スピード違反)は、交通違反の中でも取締り件数がダントツで多いです。
平成25年では、約740万件の交通違反の取締りが実施されましたが、そのうち速度違反は205万件とトップで、2位の一時停止違反を約80万件上回っています。(参考資料:内閣府)
ところで、この速度違反はどの様にして取締りが行われているのでしょうか?ここでは、速度違反の取締り方法の種類を見ていきます。
何キロ以上が取締り対象?
速度違反は、その時に出していた速度によっては一発で免停になるので、注意が必要です(参考記事:スピード違反の反則金や点数。一発免停や免許取り消しは何キロオーバーから?)。しかし、そもそも最高速度は何で決まり、何キロオーバーしたら取締りを受けるのでしょうか?
道路交通法第22条1項では、速度違反について以下の様に定めています。
(最高速度)
第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
街中を走っていると、以下の画像の様に道路標識で最高速度が表示されている事が有りますよね。
これは、各都道府県の公安委員会が「指定」しているもので、「指定最高速度」といいます。
一方で、道路標識で最高速度が指定されていない場合は、条文に有る「政令で定める最高速度」、つまり道路交通法施行令で定められている最高速度(これを法定最高速度といいます)が適用されます。
この場合は、例えば普通車は一般道では時速60キロ、高速道路では時速100キロが最高速度とされています。
なお、いずれの場合も1キロでもオーバーすると違反ですが、数キロオーバーしたからといってすぐに取り締まられるという訳では有りません。
参考までに、平成24年の速度違反の取締り件数を速度毎に見てみると、以下の通りです。(参照元:警察庁:「速度違反の取締り」)
超過速度 | 件数 |
---|---|
50km以上 | 24,236 |
50km未満 | 284,051 |
30km未満 | 395,015 |
25km未満 | 802,358 |
20km未満 | 715,420 |
15km未満 | 40 |
合計 | 2,221,120 |
最も多いのは最高速度を時速20~25キロ超過していた場合で、15キロ未満の超過は40件しか有りませんね。但し、捕まらないからといっても違反は違反です、最高速度は守る様にしましょうね。
速度違反の取締り方法
速度違反には、大きく分けると以下の3つの取締り方法が有ります。
- ネズミ捕り
- オービス
- 追尾式
ネズミ捕り
ネズミ捕りは、警官が複数人でチームを組み、歩道などで待ち伏せして測定機(※)で速度測定し、100mほど先で別の警官が赤い旗などを持って道路に飛び出して、違反車両を捕まえる方法です。
※:レーダー式と光電式が有ります。
警官のネズミ捕りチームは、主に以下の5つの係で構成されています。
- 測定現認係・・・測定機で違反車両を選定する
- 記録係 ・・・違反車両の情報を記録する
- 停止係 ・・・違反車両を停止させる
- 取調係 ・・・違反キップを切る
- 追跡係 ・・・逃げたドライバーを追跡する
測定現認係は、ヘッドセットを装着し、測定機を持って物陰に潜んでいます。予め設定した速度以上で走行する車が検知されると「ピー」と音がなるので、すぐに記録係に車の情報を無線(有線の場合も有る)で伝えます。
停止係にもこの音や情報は聞こえる様になっており、即座に赤い旗(※)を振りながら道路に飛び出して違反車両を停止させます。
※:夜間の場合は、長めの点滅する赤い棒をもって車道に飛び出して来ます。
ネズミ捕りの際は、多くの方が検挙されるので路肩などにサイン会場が設置されています。停止係がドライバーをサイン会場に誘導すると、取調係が測定速度や日時が印字された速度記録紙をプリントアウトし、速度測定カードに貼付してドライバーに確認させ、違反キップを切ります。
オービスや追尾式などの速度違反の取締りを全てまとめて「ネズミ捕り」と呼ぶ方がいますが、正式にはここで紹介する取締り方法が「ネズミ捕り」です。
オービス
オービスは正式名称を「自動速度違反取締装置」といい、高速道路などを法定速度を超えて走る車を自動で検知し、撮影するものです。
メインは固定式のオービスですが、最近は移動式も有ります。
追尾式
追尾式は、パトカーや白バイが速度違反の車両を後ろからほぼ同じ速度で追尾する事で、違反速度を測定し、取り締まる方法です。多くの場合、通常のパトカーではなく覆面パトカーによって取締りが行われます。
参考:追尾式は基本的には測定機を使用しませんが、パトカーの屋根にレーダー式測定機を搭載しているものも有ります。
測定値に誤差は無い!?
速度違反は、何キロ超過したかによって違反点数が大きく異なります。「あと1キロまけてくれたら・・・」という事はよく有るでしょうが、測定機に数値が出ているのでそうもいきません。
そこで、屁理屈にも聞こえますが「測定値は誤差が有るのでは!?」と突っ込みたくなりますよね。
スピード違反を考える際、スピードとしては以下の3つが有ります。
- 実際の速度
- メーターに表示された速度
- 測定機が測定した速度
車のメーターは、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の第148条によると、以下の様に定められています。
速度計の指度は、平坦な舗装路面での走行時において、著しい誤差のないものであること。
また、測定機については誤差は有るものの、予め一定の数値を差し引いて小数点以下を切り捨てて測定をしています。従って、マイナス誤差は有るかもしれませんが、プラス誤差は生じない設計になっている様です。
結局のところ、メーターや測定機の設計上、誤差は多少有ったとしても警察官からは受け入れてもらえなさそうですね。
但し、スピード違反によって免停や免許取り消しとなった場合、意見の聴聞によって処分の軽減は求める事が出来るので、トライしてみる価値は有るでしょう。