山道などで、長い下り坂を走っていると、「エンジンブレーキを使いましょう!」という看板を見かけたりしませんか?
エンジンブレーキは様々な場面で活用出来るとても重要な機能です。ここでは、エンジンブレーキを使うメリットや仕組み、燃費への影響などについて見ていきます。
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エンジンブレーキの仕組み
エンジンブレーキは、足で踏んで使うブレーキ(フットブレーキ)とは違い、エンジンの回転を利用してかけるブレーキです。エンジンブレーキという名前のスイッチや装置が有る訳ではありません。
簡単に言うと、走行中にアクセルから足を離すと徐々にスピードが落ちて行きますよね、この状態がエンジンブレーキがかかっている状態です。実は、エンジンブレーキを知らない人でも、無意識にエンジンブレーキを使用しているのです。
アクセルから足をを離す以外にもギアチェンジを利用したエンジンブレーキも有るので、以下で見てみましょう。
ギアは車種によって何速まで有るかは異なりますが、例えばオートマ5速の場合、1速が一番大きいギアで力強いですが回転数は少ないです。一方で、5速は一番小さいギアで力が弱いですが、回転は速いです。
ギアを下げる(シフトダウン)につれて回転数が少なくなっていく(一時的には回転数は上がりますがすぐに下がります)ので、走行中にギアを1つ下げると、強制的に回転数を減らし制動力を働かせる事が出来るのです。この仕組みを利用してブレーキをかけるのが、エンジンブレーキです。
車種によっては、シフトレバーにオーバードライブスイッチ(O/D)が付いていたり、ステアリングにパドルシフトが付いていたりする事が有ります。これらを利用すると、簡単にギアチェンジが出来ます。
エンジンブレーキを利用するメリット・使い道
エンジンブレーキを利用すると、運転時に様々なメリットが有ります。
まず、長い下り坂を走るときにはブレーキが必要ですが、フットブレーキを踏み続けているとブレーキが効かなくなる事が有ります。これは、フェード現象(※)と呼ばれ、ブレーキの伝達経路である液圧系統内部に気泡が生じる事で力が伝わらず、ブレーキが効かなくなるというものです。とても危険なので避けなければなりません。
※:ヴェイパーロック現象やペーパーロック現象とも呼ばれる事が有ります。
エンジンブレーキを使うと、フットブレーキを使う頻度を減らす事が出来るので、結果的にフェード現象を防ぐ事が出来るのです。
また、エンジンブレーキはフットブレーキと併用する事で、上手く減速して静かに停車をする事が出来ます。停車した時の衝撃は何だか同乗している人に不安感を与えてしまいますよね。
さらに、高速道路の減速区間でも活用する事が出来ます。高速道路出口や料金所付近では減速する必要が有りますが、直前で急にブレーキを踏むとスリップや事故の原因となります。
前もってエンジンブレーキを使って、徐々にスピードを落として行く事で安全に減速区間に進入する事が出来るのです。
エンジンブレーキを使うメリットは他にも様々な場面で有るでしょうから、是非コツを掴んでいきたいですね。
燃費への影響
エンジンブレーキを使うと燃費が向上する、という話を聞いた事が有るかもしれませんがこれは本当でしょうか?
最近の自動車のエンジンはコンピューターによる自動制御が働いており、エンジンブレーキをかけると燃料カットが働きます。この状態だと、エンジンは回っているのですが、燃料は供給(消費)されない事になります。
注:走行に伴う燃料の消費が無いだけで、エンジンがかかっているだけで燃料は少しずつ消費されていきます。
従って、エンジンブレーキが効いている間は燃費が向上するのです。
とはいっても、乗用車ではエンジンブレーキを使用する事による燃費の向上は、それほど実感は出来ないでしょう。大型トラックなどであれば、効率的にエンジンブレーキを使う事で燃費の改善が期待されます。
エンジンブレーキの注意点
便利なエンジンブレーキですが、いくつか注意点が有ります。
まず、エンジンブレーキは使用してもブレーキランプは点灯しません。急激なエンジンブレーキをかけると後続車に追突される可能性が有るので、注意が必要です。
また、5速から2速など急激なシフトチェンジをしてしまうと、エンジンの回転数が一気に上がり、エンジンやトランスミッションにダメージを与えてしまいます。それだけで故障する事は滅多に無いでしょうが、愛車の事を思うのであれば、急激なシフトチェンジは控えましょうね。