消費税が8%から10%へと増税される時期は「2019年(平成31年)10月」の予定です(当初予定されていた2017年(平成29年)4月から延期されました)。
消費税の増税時期が延期されたとはいえ、消費税が10%になるのはほぼ確実です。
ここで気になるのが「車の買い時」です。
つまり、消費税増税の「前」と「後」のどちらで買った方が得なのか?という事です。
そこで今回は消費税の増税前後での車の買い時について検証してみたいと思います。
車の買い時は消費税増税前?それとも増税後?
消費税の増税前後での車の買い時を考えるにあたって、消費税の増税だけでなく以下の点も併せて考慮しなければなりません。
- 消費税が8%から10%に増税
- 自動車取得税が廃止され、新税「環境性能割」の導入
- 環境性能割にエコカー減税は適用されない
ちなみに、今のエコカー減税が適用されるのは、自動車税と自動車取得税が2017年3月31日まで、自動車重量税が2017年4月30日までです(2016年7月時点)。
現時点で延長されるかは不明ですが、エコカー減税が延長される事を想定して検証しています。
買い時の検証にあたっては、ホンダの「N-BOX(カスタムのグレードGのFF)」とトヨタの「ヴォクシー(グレードXの2WD7人乗り)」と「アクア(グレードG)」をサンプルとして利用します(オプションは考慮しません)。
消費税の増税による影響
消費税が8%から10%に増税される事で購入価格に与える影響は以下の通りです。
車種 | 増税前(8%) | 増税後(10%) | 差額 |
---|---|---|---|
N-BOX | 1,480,000円 | 1,507,408円 | 27,408円 |
VOXY | 2,480,073円 | 2,526,000円 | 45,927円 |
アクア | 2,007,818円 | 2,045,000円 | 37,182円 |
「差額」の欄に記載されている金額が増税によって多く支払わなければならないお金となります。2%多く消費税を支払うわけですから当然の結果ですよね。ただその差額が万単位となる点は注目しておかなければならないでしょう。
なお、登録代行手数料や納車費用などにも消費税が課税されます。増税が与える影響は購入価格と比べると少額ですが、支払額が数百円から千数百円増加すると思われます。
自動車取得税の廃止と新税「環境性能割」の導入による影響
新しく導入される「環境性能割」は、車の燃費性能によって課税される税率が変化するシステムです。現時点で予定されている内容は以下の通りです。
(出典:ソニー損保)
増税前に車を購入した場合は自動車取得税が課税され、増税後に購入すれば上記の環境性能割が課税される事になります。ただし、自動車取得税にはエコカー減税が適用されます。
では、消費税増税前後でのそれぞれの税額について見てみましょう。
以下の表の自動車取得税の金額はエコカー減税適用後の金額です。また、環境性能割の課税標準は取得価額ですが、詳細がまだ不明なため、自動車取得税と同様に購入価格(税抜)の90%に税率を乗じて計算しています。
車種 | 自動車取得税 | 環境性能割 | 差額 |
---|---|---|---|
N-BOX | 約9,900円 | 約12,300円 (税率1%) | 約2,400円 |
VOXY | 約37,200円 | 約41,300円 (税率2%) | 約4,100円 |
アクア | 0円 | 0円 (税率0%) | 0円 |
アクアのようなハイブリッドカーや電気自動車などの燃費性能に優れた車は、税制の変更で影響を受ける事は有りません。しかし、その他の車は増税後に購入すると負担が増える事になりそうです。
環境性能割の導入で税負担が軽減される車種も有りますが、基本的に税負担が増える車が多いと言われています。
買い時は消費税増税前
これらの事から、車の買い時は消費税の増税「前」です。トヨタのヴォクシーなら増税前の方が5万円リーズナブルになりますからね。
消費税の増税前後で車の価格が変化するかも
上記の検証では、消費税の増税前後での車の価格を同額で計算しました。しかし、検証結果からも分かるように、車を購入するなら「増税前」です。つまり、増税前の時期は自動車メーカーにとってかき入れ時となります。
そのため、販売量を増やす為に価格を安くする可能性が高いです。
消費税増税前後の新車価格
増税前の駆け込み需要は、消費税が5%から8%に増税された2014年にも起こっています。それを表したグラフが以下のものです(参考:日本自動車販売協会連合会)。
増税前に爆発的に売れている事が分かりますよね。2013年と2015年と比較すると、約10万台/月も多く売れています。
各自動車メーカーは、以前のように駆け込み需要が起こる事を想定しているでしょう。そのため、1台でも多く車を売る為に競争が激化する事が予想されます。他メーカーにお客様を取られまいと新車価格を安くする販売店が多くなるはずです。
消費税増税前後の中古車価格
中古車価格も基本的には同じです。増税前の売り時に価格を安くする可能性が高いです。
また、増税後の中古車価格は高くなると予想されます。なぜなら、以前の増税時には価格が高く推移したからです。増税後の新車需要の冷え込みによって、中古車を購入する人が増え、中古車販売店が強気の価格を設定したためです。
以下のグラフは、2013年~2015年の中古車のオークション価格の推移を表したものです(参考:オークション業者USS)。
消費税が増税される前の2013年の価格と比べると、増税後の2014年の価格はやや高めに推移しており、2015年の価格に至っては急騰している事が分かります。
このような事が2019年・2020年にも起こる事が予想されます。なので、中古車を購入するにしても基本的には増税前に買っといた方が良いでしょう。