車で出かけている時に、仕事上の付き合いなどでどうしてもお酒を飲まなければならない事が有りますよね。最近は飲酒運転の罰則が非常に厳しく、違反すると一発で免許取り消しとなります。
お酒を飲んだときは運転は絶対にしてはいけませんが、車を持って帰る必要が有ります。近所であれば家族や友人に迎えにきてもらう事もできますが、それが出来ない場合は「運転代行」を利用するのも1つの手です。
運転代行業者を利用すると、代行業者が2人で車に乗って迎えにきてくれます。そして、業者のドライバーが客の車を運転してくれるので飲酒時でも運転をせずに自宅まで帰る事が出来るのです。
代行業者のスタッフは皆、タクシーの運転手と同じ第二種運転免許を持っており、仕事として車を運転しているので、一般の運転手と比べると、より注意深く丁寧に運転をします。しかし、それでも事故が起きる可能性はゼロでは有りません。
不運にも、運転代行業者に依頼して帰る際に、業者が運転していた愛車で交通事故を起こす事が有ります。しかし、車はあなた(サービス利用者)のものです。この様な場合、あなたに賠償責任は発生するのでしょうか?
代行業者の責任
まず運転代行業者は、交通事故の被害者に対して民事上の賠償責任を負います。
また、それ以外にも自賠法(自動車損害賠償保障法)3条の定める「運行供用者責任」も負う事になります。
(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
しかし、代行業者は自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の第12条に従って賠償責任保険に加入しているので、加入している保険から賠償金の支払がされます。
(損害賠償措置を講ずべき義務)
第十二条 自動車運転代行業者は、代行運転自動車の運行により生じた利用者その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するための措置であって国土交通省令で定める基準に適合するものを講じておかなければならない。
なお、加入が義務付けられている賠償責任保険は、対人8,000万円以上、対物・車両200万円以上となっています(参照元:国土交通省)。
上記の法律上の義務に対して、ほとんどの運転代行業者は全国運転代行共済協同組合(全代協)の共済に加入する事で対応しています。内容としては、対人無制限・対物7,000万円・車両保険1,000万円といったタイプが基本で、他にも様々なタイプが存在しています。
従って、代行業者がどのタイプを契約していたとしても、法の求める最低ラインはクリアしているので、心配は無いでしょう。
利用者の責任
運転代行業者が交通事故を起こしたとしても、客であるあなたが車を運転していた訳ではないのだから、「責任を負う必要は無いのでは?」と思いますよね。しかし、そうはいきません。あなた(サービス利用者)も被害者に対して損害賠償責任を負う事になります。
具体的には、民法715条の「使用者責任」を負います。
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。(一部省略)
あなたは、運転代行業者という他人を使用した事になるので、それによって生じた損害に対しては賠償責任を負う事になるのです。
また、運転代行業者と同様に運行供用者責任も負う事になります。
なお、この賠償責任は連帯責任なので、被害者が運転代行業者ではなくあなたに直接損害賠償請求をして来たとしても、「まずは運転代行業者に請求して下さい」と主張する事は出来ません。
任意保険を使う事が出来ない!?
任意保険の被保険者の範囲には、自動車取扱業者は含まれず、修理業者や運転代行業者が業務中に起こした交通事故に対しては補償はされない事になっています。
例として「ソニー損保」の普通保険約款を見てみると、以下の様な記載がされています。
第8条(被保険者の範囲-対人・対物賠償共通)
この賠償責任条項における被保険者は、次のいずれかに該当する者とします。
1〜2 (省略)
3 記名被保険者の承諾を得て被保険自動車を使用または管理中の者。ただし、自動車取扱業者が業務として受託した被保険自動車を使用または管理している間を除きます。
4 (省略)
つまり、業務として受諾した人がその車に乗っている間に交通事故を起こした場合、その損害について保険会社は補償しません、という事です。
但し、上述した通り、代行業者は損害賠償保険に加入しており、そちらから保険金が支払われます。従って、最終的にあなたが賠償金を負担しなければならない、という事態にはまずならないでしょう。
注:代行業者の加入している対人賠償責任保険が法律の定める8,000万円に入っていたとしても、賠償金額がそれを超えていて支払が出来ない場合には、あなたが負担しなければならなくなる事も有ります。
「保険スクエアbang!」なら、一度の申し込みで最大19社から見積もりハガキが届く。
自動車保険は同じ保険プランなのに、保険会社によって値段がマチマチ・・・
同じ保証なのに、5万以上安くなった人もたくさんいます。
実際に私も「12万円→5万円」になりました!