スズキと言えば、日本国内ではトヨタや日産に押されている感があるけど、インドではどうなの?
確かに自動車メーカー「スズキ」は局所的に人気の車種はあるものの、日本で圧倒的なシェアを誇っているわけではありません。
しかし実はインドの自動車市場では「スズキ一強」の状況であることをご存知でしょうか。
あまり知られてはいませんが、自動車大国というイメージもあるドイツを抜いて、インドは今、世界第4位の自動車大国となっています。
そんな国の中でスズキはシェア約50%近くを確保し、圧倒的1位という結果を残しているのです。
もしこの事実について知らなければ、スズキに対して間違ったイメージを持ったままだったかもしれませんよ?
しかし、ご安心ください。今回の記事ではスズキがインドでなぜシェア拡大できたのか、そしてこれからどのように成長していくのかを解説していきます。
スズキのインド戦略の「過去と未来と現在」について知りたい人は、必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
インドにおける自動車メーカー「スズキ」の現在地
インドは、中国やブラジルなどとともに、経済発展が著しい国の一つです。国民の所得が上昇したせいか、自動車の販売台数も伸びています。
インドの2017年の国別自動車販売台数が、初めてドイツを抜いて世界第4位に躍り出た。前年比10%と大きく伸びて401万台と、初めて400万台を突破したのだ。
※出典:「ダイヤモンドオンライン」より
このようにインドは現在、世界第4位の自動車大国となっています。
こうしたインドの自動車市場の発達を、うまく利用した自動車メーカーが日本にあります。それは軽自動車で有名な「スズキ」です。
インドでのスズキは「マルチ・スズキ」と名を変えて、自動車販売シェア約50%と圧倒的な数字をたたき出しています。
最大手のマルチ・スズキは販売好調でシェアを拡大させており、同市場で他社を圧倒している。
同市場の12年度通年の販売台数は265万7929台で、16年度は304万7457台と38万9528台増加した。マルチはこの間、105万1046台から144万4378台で39万3332台増加し、シェアは39.5%から47.4%と1割近く拡大した。さらに、17年度4~10月をみると、同社のシェアは50.2%まで拡大している。
※出典:「sankeibiz」より
「マークライン」が統計した2017年間のシェアを見てみると、以下の通りになります。
上記「sankeibiz」の記事にあるように2017年4~10月は50%を超えたインドでのシェアですが、2017年の1年間を通しても、44%と高い水準を維持しています。
なぜスズキはインドでシェア1位を獲れたのか
スズキがインドでシェア1位を獲得出来た理由は、主に以下の2点だと考えられます。
- インドに進出する時期が早かった
- 低価格で小型車を製造する技術があった
インドに進出した時期が他メーカーよりも圧倒的に早かったのが、一つの理由です。
メーカー名 | 進出時期 |
---|---|
スズキ | 1983年 |
GM(ゼネラル・モーターズ) | 1994年 |
ホンダ | 1995年 |
現代自動車 | 1996年 |
トヨタ | 1997年 |
インドにいち早く進出したスズキですが、最初からインドを狙っていたわけではなかったようですね。スズキのスズキ修会長が講演にて、以下のような話をしていました。
よく『スズキさんは先見の明があって素晴らしいですね』などと言われる。冗談じゃない。先見の明なんてどこにあるかって。本当は、我々だって大手と同じように先進国に進出したかった。しかし、先進国の中で(軽自動車のような)小さなクルマを造ってほしいと言ってくれる国はどこもなかった。別に先見の明があったわけではない。行くところがなくて、仕方がないからインドに行ったのだ。
※出典:日経ものづくり-suzukiのスズキ社長の講演より
早期の進出によるアドバンテージは確かにありますが、そのアドバンテージだけで成功出来たわけではありません。
軽自動車を中心に生産してきた「ノウハウ」と「技術力」を活かして、低価格でも利益を出せる小型車を製造・販売出来たのが、スズキをシェア1位まで押し上げたもう一つの理由です。
スズキがインドで展開している主要車種5台
ここまではスズキがインドでどれほどの実績をあげてきたのか、そしてなぜインドで成功してきたのかを解説してきました。
では実際にスズキはインドでどのような車種を展開して、約50%ものシェアを獲得できているのでしょうか。主なラインナップは以下の通りです。
- アルト
- ワゴンR
- ディザイア
- ヴィターラブレッツァ
- エルティガ
それではそれぞれの車種について、簡潔に紹介しておきましょう。
車種1.アルト
スズキのインド展開において主力モデルなのが「アルト」です。エントリーモデルとして人気のですよ。
日本未発売の様々なバリエーションもあるため、高級志向のニーズを取り入れることにも成功しています。
車種2.ワゴンR
日本でも人気の「ワゴンR」ですが、日本よりも少し強めの出力を持つエンジンを搭載。
それでいて低価格と、日本のユーザーも欲しくなるようなモデルとなっていますよ。
車種3.ディザイア
https://www.youtube.com/watch?v=oEv7cPAhD14
日本国内では発売されていないインド市場限定の車です。ベースは「スイフト」に待っていますよ。
優れた走行性能と低燃費を両立させているということで、インドの幅広い層から人気です。
車種4.ヴィターラブレッツァ
インド市場でもっとも人気があるSUVです。幅広いオプションを用意し、様々なニーズに対応しているのが特徴。
「Indian Car of the Year(ICOTY)2017」(インドのカー・オブ・ザ・イヤー)を受賞しています。
車種6.オムニ
「エヴリィ」をベースにしたインド市場用の7人乗りミニバンです。
コンパクトでありながら、3列目にも大人が乗る事ができる広い室内空間が魅力。多くの支持を集めています。
【総評】スズキはこれからもインドに力を入れていく
ここまではスズキがインドで展開している主力車種について紹介してきましたが、最後にスズキがこれからどのようにインド市場を盛り上げていくつもるなのかを見ていきましょう。
インドの自動車市場は2014年の段階では世界7位でした。しかしその4年後の2018年には世界第4位まで上がってきています。
これだけの伸びを見せていますから、インドが世界のトップ3に入るまでそんなに時間はかからないでしょう。
世界の中でも稀に見る市場になるのですから、他の自動車会社の参入も考えられます。しかし、数年はスズキがシェア1位をキープするでしょう。
実際にスズキもさらにインド市場のシェアを拡大すると明言しています。
俊宏社長は「インドの乗用車市場は2030年に1000万台になる。スズキが現在のシェア50%を維持すれば、500万台の規模ということだ。そのほかの市場でも200万台売ると考えれば、スズキが世界で販売する車は700万台になる。理論値ではあるが、現在から倍増するまったく未知の領域だ。今後の成長に向けて、スズキはチャレンジしていく」と断言した。
※出典:「東洋経済」より
スズキは今まで中国とアメリカにも注力していましたが、それらをすべて撤退。その分をインドに注ぎ込むと発表しています。
スズキは中国と米国という世界1、2位の市場から実質的に撤退することになる。スズキと同じ国内中堅のマツダはトヨタ自動車と共同出資会社を設立して米国市場の開拓に臨むが、スズキに世界の2大市場から撤退することへの後ろめたさはない。
その一方で、インドを起点にインド対岸のアフリカや中近東など、日本車メーカーが手つかずの「未開拓地」に進路をきる。スズキのラインアップにないEVが主流になる中国や、SUVなど大型車が中心の米国市場は勝ち目がないと見て、ためらいなく中国・米国市場を見切る。
※出典:「日経新聞 電子版」より
今まで分散していたリソースをインドに注力していくわけですから、スズキは本気でインドの市場占有に着手していると言えるでしょう。
具体的な占有策として、スズキはインドで電気自動車を本格的に導入していくと発表しています。
スズキは10月、2020年をめどに投入する電気自動車(EV)の試験走行をインドで始める。開発中のEV試作車約50台を投入し、性能面の課題などを検証する。シェア約5割を握る同国では政府が自動車メーカーのEV導入を後押しする方向で、スズキも第1弾の投入後は成長する市場と足並みをそろえて品ぞろえを拡充する構えだ。
※出典:「日経新聞 電子版」より
まだ普及ができていないインドの電気自動車を早いうちから押さえておき、スズキのインドでの立ち位置を盤石にしようと考えているわけです。
このスズキのアメリカと中国市場を蹴ってまでインド市場に注力する戦法が、本当に実現するのか今後の動向が楽しみなところです。
まとめ
お金は日本の自動車メーカー「スズキ」がインドでどのように発展してきたのか、そしてこれからどうまた成長していくのかを解説してきました。
世界的企業であるトヨタやホンダ、日産を差し置いて圧倒的な実績を出しているとことを理解いただけたと思います。
以上「【スズキのインド戦略】世界第4位の自動車大国でシェア約50%を誇る理由」でした。最後まで見ていただき、ありがとうございます。
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