前の車両のノロノロ運転にイライラした経験をお持ちの人は多いでしょう。また、我慢しきれずに前方車両を追い越した経験が有る人も相当数いらっしゃると思います。
しかし、どの場所でも追い越しをして良いわけでは有りません。追い越し禁止場所で追い越しをした場合は当然罰則の対象です。
「追い越し禁止場所ってどこだろう?」と思った人もいるかもしれませんね。そこで、今回は追い越し禁止場所や違反をした場合の罰則について紹介したいと思います。
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追い越し禁止場所一覧
道路交通法第30条に追い越し禁止場所が規定されています。その内容は以下の通りです。
- 追い越し禁止の道路標識等が有る場所
- 道路のまがりかど付近
- 上り坂の頂上付近や急な下り坂
- トンネル内(車両通行帯が有れば可)
- 交差点や踏切、横断歩道、自動車横断帯とそれらの手前30m以内
トンネル内は原則追い越し禁止ですが、車両通行帯が設けられているトンネル内では追い越しが可能です。車両通行帯とは、車線の間の車が走行する部分を指し、片側2車線以上の道路に設置されています。
つまり、同じ進行方向に進む車線が2つ以上有れば、トンネル内でも追い越しが可能という事ですね。ただし、標識や車線の標示によっては車両通行帯が設けられていても追い越しが禁止となる場合が有るので注意が必要です。
【参考】追い越しと追い抜きの違い
追い越し禁止の標識や車線に関する説明をする前に、「追い越し」と「追い抜き」の違いを簡単に紹介しておきます。
「追い越し」とは、”進路変更をして”前方車両の前に出る事を言います。一方、「追い抜き」とは、”進路変更をせずに”、前方車両の前に出る事を言います。両者の違いは「進路変更を伴うか伴わないか」に有ります。
ちなみに、進路変更には右側の車線に”はみ出して”走行する事も含まれます。
車と車の場合は追い抜きは難しいですが、車とバイクでは同じ車線で追い抜く事が出来ますよね。
では、本題に戻ります。
追い越し禁止の標識
下記の画像が追い越し禁止の標識です。見たことが有りますよね。
(画像出展:「追越し禁止」の意味は補助標識の有無で違います – シンク出版株式会社)
これらの標識が有る道路では、当然追い越しは禁止です。ただし、「補助標識なし」の場合は「追い抜き」は禁止されていません。進路変更をしなければ前方車両を追い抜く事は可能です。
注意しなければならないのは、「追越し禁止」の補助標識が有る場合です。この補助標識が有る道路では「追い越し」も「追い抜き」も禁止となります。
追い越し禁止の車線
次に車線についてですが、車線には以下の3種類が有ります。
- 黄色の実線
- 白色の破線
- 白色の実線
「追い越し」又は「追い抜き」に関しては、これらの車線が中央線か車両通行帯の車線かによって取り扱いが異なります。
車線の種類 | 中央線の場合 | 車両通行帯の場合 |
---|---|---|
黄色の実線 | 追い越し不可 追い抜きは可 | 追い越し不可 追い抜きは可 |
白色の破線 | 追い越し可 追い抜きも可 | 追い越し可 追い抜きも可 |
白色の実線 | 追い越し不可 追い抜きは可 | 追い越し可 追い抜きも可 |
車両通行帯の有る道路での「追い抜き」は、現実的にはあまり無いと思いますが一応記載しておきます。
もちろん、追い越し禁止の標識が有れば、標識に従わなければなりません。
ちなみに、黄色の実線と白色の破線が二重に引かれている道路の場合は、黄色の実線が有るレーンからの進路変更は禁止ですが、白色の破線の有るレーンからの進路変更は可能です。図にすると以下のようになります。
追い越し違反した場合の罰金・点数
追い越し違反をした場合の罰則は以下のようになっています。
- 罰則・・・3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条1項二号)
- 反則金・・・9,000円(普通車の場合)
- 点数・・・2点
ちなみに、追い越される車は追い越そうとしている車両の追い越しが完了するまで加速してはならず、また左側に寄って道を譲らなければなりません。
もし、追い越される際に加速または進路を妨害した場合は「追いつかれた車両の義務違反」となり、罰則を受けます。その内容は以下の通りです。
- 罰則・・・5万円以下の罰金(道路交通法第120条1項二号)
- 反則金・・・6,000円(普通車の場合)
- 点数・・・1点