普通車を所有する場合、ごく一部の地域を除いて車庫証明を取得しなければなりません。車庫証明とは、車の保管場所いわゆる駐車場を確保している事を証明する書面です。(参考:車庫証明の取り方などの基礎知識)
ほとんどの人が車庫証明通りに車を保管しているのですが、車庫証明とは違う場所に駐車したり、虚偽の車庫証明を提出する人もいます。これらの行為を一般的に「車庫飛ばし」と言い、車庫飛ばしがバレると重い罰則が課せられます。
車庫飛ばしとは?
車庫飛ばしとは、車庫証明に記載した保管場所とは違う場所に車を保管する事を指します。車庫証明は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」に規定されている手続きであり、それに反して違う場所に車を保管する行為である”車庫飛ばし”は犯罪行為です。
車庫飛ばしには色々なパターンが有り、意図的に車庫飛ばしをする場合も有れば、書類提出を失念して車庫飛ばしとなってしまう場合なども有ります。少し具体的に見てましょう。
意図的な車庫飛ばし
意図的な車飛ばしの具体例としては、以下のような場合が考えられます。
- ディーゼル車の規制を逃れるために、規制対象外の地域で車庫証明を取得(*1)
- 駐車場代を安くするために、自宅から遠く離れた場所で車庫証明を取得(*2) 等
*1 東京都や大阪府などの自治体によっては、対象地域内での排出基準を満たしていないディーゼル車の運行を禁止しています。この規制を逃れるために、書類上は規制対象外で車庫証明を取得し、実際は規制対象内の地域で車を保管・運行させている人が居るようです。
*2 車庫証明に記載する保管場所は使用の本拠の位置(自宅)から2km以内でなければなりません。
また、自宅から2km以内の駐車場を契約しても、毎回駐車場に駐車するのが面倒くさくて、自宅前に路上駐車する事も車庫飛ばしに該当します。
意図的ではない車庫飛ばし
引っ越しをする時は、利用する駐車場も変わるので、新たに車庫証明を取得しなければなりません(参考:車庫証明の住所変更って必要?)。
しかし、車庫証明以外にも様々な手続きをしなければならないので、車庫証明の手続きを後回しにしてしまう人も多いです。
慌ただしく1日1日が過ぎていき、車庫証明の手続きを失念してしまう事も有ります。意図的ではなかったとしても、車庫証明の内容に変更が生じれば、届け出なければならない事に変わり有りません。残念ながら、これも車庫飛ばしとなってしまい、罰則の対象です。
車庫証明に記載した保管場所以外に車を止めている場合の罰則・罰金
車庫飛ばしをした場合の罰則は以下の通りです(自動車の保管場所の確保等に関する法律第17条)。
違反の種類 | 罰則・罰金 |
---|---|
虚偽の保管場所証明申請 | 20万円以下の罰金 |
道路を保管場所として使用 | 3か月以下の懲役又は20万円以下の罰金及び違反点数3点 |
道路上に長時間駐車 | 20万円以下の罰金及び違反点数2点 |
保管場所の不届・虚偽届出 | 10万円以下の罰金 |
これらの罰則は道路交通法違反としての取り締まりでは無いので反則金制度は適用されません。そのため、起訴されて裁判で罰金刑等が言い渡されれば前科が付きます。
そこまで行ってしまう事は中々無いと思いますが、お金を払って簡単に済む問題では無いことを知っておきましょう。
軽自動車の届出忘れも罰則の対象
軽自動車は普通車とは異なり、車の登録手続きに車庫証明は必要有りません。登録後に管轄の警察署に保管場所届出を提出する、という簡易的な手続きだけでOkです。
従って普通車の場合よりも届け出を失念しがちですが、残念ながらこちらの場合も罰則の対象なので注意して下さい。
まとめ
「車庫飛ばし」は立派な犯罪である事はお分かりいただけたでしょうか?
ちなみに、車庫飛ばしをする人は、路上駐車をする事が多いようです。路上駐車をすれば、近隣の住民に迷惑を掛けるばかりか、緊急車両の出入りを妨げる恐れも有ります。
自分の事だけ考えるのではなく、周りの事も考えて「車庫飛ばし」は行わないようにしましょう。