「早朝にガソリンを入れると少し得!」という話を聞いた事が有りますか?この話は結構前から言われていて、それを信じて毎朝給油している人もいるかもしれませんね。
なぜこのような事が言われるのかと言うと「物質の熱膨張」に起因します。物質は温まると体積が大きくなり、冷めると体積が小さくなります。これが熱膨張です。固体でも液体でも起こり、当然ガソリンにも起こります。
そのため、温度の低い早朝に冷えたガソリンを給油すれば、温まった時に体積が増えているからお得と考えられているんですね。この話は果たして本当なのでしょうか?
熱膨張とは
熱膨張とは、物体の温度が上昇する事によって、体積が増加する現象を指します。物体とは固体・液体・気体です。そして、上昇した温度に対して体積が増加する割合を熱膨張率と言います。それぞれの物体は固有の熱膨張率を有しています。
ガソリンの熱膨張率は
ガソリンの熱膨張率は20度の温度差で「0.00135」です。気圧も関係するようですが、ここでは一定とさせていただきます。
では、このガソリンの熱膨張率を用いて、ガソリンの体積がどれくらい増えるのか計算してみましょう。
計算上、ガソリンは熱膨張でどれくらい増える?
熱膨張による体積変化の計算式は以下のようになります。
元の体積×温度差×熱膨張率⁼増加する体積
例えば、10度のガソリン50Lの温度が上昇した場合には、以下のようにガソリンの体積は増加します。
温度 | 式 | 増加する体積 |
---|---|---|
20度 | 50L×(20度-10度)×0.00135 | 0.675L |
30度 | 50L×(30度-10度)×0.00135 | 1.35L |
40度 | 50L×(40度-10度)×0.00135 | 2.025L |
50度 | 50L×(50度-10度)×0.00135 | 2.7L |
ガソリンの温度が10度から30度に上昇した時には、体積が1.35L増加します。ガソリンの単価を100円/Lとすれば、「1.35L×100円/L」で135円お得になる計算となります。
そのため、ガソリンの温度が低いだろう早朝に給油すれば、温度が上昇した時には熱膨張によって体積が増加してお得になると言われています。ただし、これはあくまで計算上の話で、実際どうなるのかが気になる所ですよね。
早朝にガソリンを給油すると増やす事が出来るのか?
この事に関してインターネット上に色々と書かれていますよね。「単純に熱膨張するからお得だ」などなど。これらの「お得意見」への反対意見としては「①ガソリンは地下に貯蔵してるから温度の影響は受けない」とか「②ガソリン給油機には温度補正機能が付いているので関係無い」などです。
①つ目の反対意見は少しズレているような気がしますね。あくまでも給油した時の温度の話をしているのであって、貯蔵してる時の熱膨張の話は誰もしてませんからね。そのため、正当性が有りそうな意見は②つ目です。
ガソリン給油機の温度補正機能によって、熱膨張の体積変化も考慮されて給油量は算出されているのであれば、早朝に給油してもガソリン代がお得になる事は無いでしょう。
ちなみに、ガソリン給油機は±0.3%~0.5%程度の誤差が有るみたいですよ。
もしご存知の方がいれば、ご教示頂けると幸いです。