自動車の各メーカーは、今世界に販路を拡大させています。なぜ、日本国内ではなく、世界に力を注いでいるのか?それは、現在日本国内での販売台数は縮小傾向にあり、逆に世界での販売台数が増加傾向にあるからです。
かつては、日本国内の自動車需要も多かったので、日本国内に生産拠点を置き生産・販売を行い、国内で海外向け(環境対策など)に直して輸出を行っていました。
しかし、世界各国への販路拡大に伴い、世界のニーズに合った車両を生産するために、生産拠点を海外にシフトしつつあります。日本国内の工場がマザー工場としての役割を担っているのも、こういった背景が影響しています。
これからの時代は自動車メーカーにとって、世界で自動車を生産・販売していく「世界戦略」が重要になってきます。そして、その戦略の中で最も重要になるのが「世界戦略車」でしょう。
世界戦略車とは
世界戦略車とは、世界各国の基本的なニーズが盛り込まれた仕様で生産され、世界各地で販売される自動車を言います。中には、プラットフォームは同様でも、国別のニーズに合わせて開発・生産される場合も有ります。
また、ニーズ以外にも国・地域のレギュレーション(規制)に合わせた開発を行う場合も有ります。ヨーロッパは環境規制が厳しいので、東南アジアなどの新興国へ販売される車両と、全く同じ仕様というわけにはいきません。
世界戦略車とは真逆の「現地専用車・国内専用車」といった車種も有ります。
ちなみに、日本国内で販売されている国内メーカーの自動車が国内専用車とは限りません。日本人のニーズに合わせて開発・生産された世界戦略車である場合も有ります。例えば、トヨタのカローラが該当しますね。
各メーカーの世界戦略車の状況
それでは、各メーカーの現在の世界戦略車の状況を見てみましょう。
トヨタのIMVプロジェクト
出典:トヨタアニュアルレポート
トヨタの世界戦略の一つ「IMVプロジェクト」。IMVとは「世界多目的車」という意味で、東南アジアや南アメリカ、アフリカなどの新興国のニーズに沿う車を生産・販売していくプロジェクトです。
生産される世界戦略車は、ピックアップトラック(ハイラックス)・ミニバン(イノーバ)・SUV(フォーチュナー)の3種で、これらはIMVシリーズとされています。
日産のダットサンブランド
出典:ダットサン
日産は、かつてアメリカなどで販売されていたブランド「ダットサン」を復活させて、新興国向けに世界戦略車として販売しています。
生産される世界戦略車は、コンパクトカー(ダットサン・GO)・ステーションワゴン(ダットサン・GO+)・小型セダン(ダットサン・on-DO)・小型ハッチバック(ダットサン・mi-DO)です。
スズキの海外戦略
出典:スズキ
スズキの海外戦略は、軽自動車と小型車に特化した集中戦略で、高いシェアを獲得しています(特にインドにて)。
世界戦略車は、第一弾がスイフト(小型車)、第二弾がエスクード(小型SUV)、第三弾がSX4(SUV)です。
参考:スズキはなぜインドの自動車市場でシェア1位を獲れたのか?
三菱自動車は新型車投入で勝負
出典:三菱自動車
三菱自動車は、新型車を市場に投入して、販売台数・売上高の増大を狙っています。
新型車として投入されるのは、トライトンやパジェロスポーツ、パジェロなどのピックアップトラック・SUVがメインです。
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