グローバル化が進む中、自動車企業は海外に工場を建設して、現地で開発・生産そして販売を行うようになってきています。
そして、海外に工場を建設する際又は稼動する中で、重要な役割を担うのが「マザー工場」です。
マザー工場の意味
マザー工場とは、海外に工場を建設する際に、生産システムや生産技術などのモデルとなる工場を言います。
新しい工場は、何も出来ない赤ちゃんと同じです。そのため、母親である国内の工場が見本となったり、時には問題を解決する事で、赤ちゃんの成長を促してあげるわけです。ものづくりの「母」という事ですね。
企業・業種によっては、マザー工場の意味も変わります。また、その数も一つの場合もあれば、複数の場合も有ります。
マザー工場の役割
マザー工場の役割は主に3つ有ります。
- 技術移転及び研修・訓練
- 問題解決
- 最先端技術の研究・開発
技術移転及び研修・訓練
マザー工場から海外工場へ技術者を派遣したり、海外工場からマザー工場に人材を集め集中的に研修・訓練を行う事が、マザー工場の一つの役割です。
研修・訓練は常にマザー工場で行われるわけではなく、既に稼動している海外工場で行う場合も有ります。
問題解決
製造技術を現地向けに開発したり、現地でのトラブルの解決をする事もマザー工場の役割です。
さらに、発生した問題の原因や解決策などをマニュアル化して、今後に活かす事も役割の一つとされています。
最先端技術の研究・開発
製品や生産方法などの最先端技術を研究・開発し、それらを海外工場に伝達する事が最も重要な役割です。
トヨタの場合
2015年3月時点で、トヨタは27か国/地域に54の海外製造事業体を構えています。
トヨタでは、1959年に操業を開始した元町工場(愛知県)が単独でマザー工場の役割を果たしていました。しかし、海外進出を進めていく中で海外工場の数が増えた事を受けて、元町工場だけではなく、1966年操業開始した高岡工場(愛知)と1970年に操業開始した堤工場(愛知県)を、新たにマザー工場とする体制へと変化していきます。
トヨタのように、グローバル化が進んでいる企業では、マザー工場を複数設置する事もあるようですね。
今後マザー工場に期待される事
日本は「市場がある程度成熟している事」と「人口が減少している事」から、製造業は海外へ市場を求めて、さらに進出していく事になるでしょう。
こういった時代の流れの中で、まずマザー工場の重要な役割は、海外の生産拠点がスムーズに立ち上がる為に、製造技術・製造ノウハウを移転する事です。つまり、今ある知識を海外の工場に身に付けさせる事が優先されます。
しかし、海外で市場を拡大していくには、マザー工場のモノマネだけではうまくいきません。現地の労働者・市場・競争相手などの色々な問題を解決していく必要が有ります。
そういった問題を解決する為に、マザー工場は「現地の労働者に合ったマニュアルの作成」や「製品自体の開発」など、さらなる付加価値を追求していく事、これが今後マザー工場に期待される役割となります。
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